IT MELODRAM  MEL-S108 ルドルフ・ケンペ R・シュトラウス・影のない女(全曲)
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IT MELODRAM MEL-S108 ルドルフ・ケンペ R・シュトラウス・影のない女(全曲)

商品番号 34-13276
シュトラウスの豊饒な音色を知り尽くしたケンペによる壮麗な『影のない女』です。舞台設定は架空の時代の東洋の島。レオニー・リザネク(ソプラノ)の皇后、ハンス・ホップ(テノール)の皇帝。リリアン・ベニグセンの乳母、ヨゼフ・メッテルニヒのバラク、その妻にマリアンネ・シェヒ、霊界の使者がクルト・ベーメ。体裁はまさにおとぎ話。カルロ・ゴッツィの諸作やゲーテのほか、世界各地の民話や伝説、『千夜一夜物語』などに取材しています。オーケストラの魔術師リヒャルト・シュトラウスが、モーツァルトの「魔笛」にならって書いた魔法オペラと称される「影のない女」。前作『アリアドネ』では36人という室内楽編成で成果を収めたリヒャルト・シュトラウスだったが、この『影のない女』ではワーグナー的大管弦楽編成を復活させている。数多い登場人物の描き分けの巧みさ、オーケストレーションの見事さもまさにシュトラウスの絶頂期を示すものと言え、その作曲技法の熟達ぶりは、ホーフマンスタールとの一連の共同作業から生まれた傑作群(『エレクトラ』『バラの騎士』『ナクソス島のアリアドネ』『影のない女』『エジプトのヘレナ』『アラベラ』の6作品)の中にあってもまさに最高クラスの水準を示すものと言えます。リヒャルト・シュトラウスと天才劇作家フーゴー・ホーフマンスタールは音楽史上最高最大の天才モーツァルトの歌劇『フィガロの結婚』をベースにした『薔薇の騎士』完成後、直ちに新作の構想の打ち合わせを行っている。そして今度は同じ神童の歌劇『魔笛』をベースにした楽劇を創作しようという事になった。しかし、神童の『魔笛』がベースに置かれているだけに、『サロメ』や『エレクトラ』の様な強烈さはない。『薔薇の騎士』や『アリアドネ』同様モーツァルト的な様式重視のスタイルによって全体が形成されていく。それはたとえば『魔笛』と同じく現実離れしたメルヘンの世界を題材としていることや、「象徴」の手法が多用されている点にもみてとれますが、このオペラは、ホーフマンスタールの台本がたいへんな力作ということもあって、より複雑で繊細な味わいに富みながらも、全体のスケールはきわめて大きなものとなっているのが特徴。ちなみにホーフマンスタールは、1915年に完成された台本版のほか、4年後には小説版まで書きあげ、作品への深い愛着を示してもいました。作曲時期は1914年から1917年、第一次世界大戦のさなかということもあってか、かえってこの作品に集中的に取り組むことが出来たようで、ホーフマンスタールとの数多い書簡のやりとりからもそのことはよく伝わってきます。劇的要素よりは寧ろ純音楽的様式美を追求し、全体性を重んじる指揮者に向いている。わが国で発売されたレコードはいずれも正統的、標準的な演奏で、しかもオーケストラは十分歌っている。ルドルフ・ケンペ(ドイツ 1910〜1976)はオーボエ奏者でもあったことから、内声部に沈みがちな木管楽器をセンシティヴに鳴らす独特のバランス感覚を持つ指揮者だった。ドイツ人らしく重厚で、しかも若々しい力もある。ただ聴衆をうならせる圧倒的な個性の迫力が乏しい。音楽そのものをじっくりと語るケンペの姿勢から生まれた品格漂うオーケストラを駆使し、その能力を最大限に発揮しながら鮮やかな音絵巻を造り出したリヒャルト・シュトラウス。リヒャルト・シュトラウスはモーツァルトのオペラを現代の大管弦楽編成の中で蘇らせた。しかしそこには一切の虚飾がなく、どぎつさが排除された純粋な音楽美があります。これこそ、ケンペが遺した最大の仕事です。 屈指のシュトラウス指揮者ながら、志半ばでの急逝ゆえかオペラの全曲録音が少ないケンペ指揮による貴重な『影のない女』全曲録音です。1954年8月31日、ミュンヘンでのライヴ録音。1981年初発、4枚組。
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