「英雄」は後年のテレフンケン盤が有名だが、こちらも捨てがたい。同時期録音のEMI盤などと比べても、音は比較的良い。演奏もメンゲルベルク的特徴は随所に聴かれるが、それでも結構端正で驚いた。テンポは常に揺れているが、テレフンケン盤のように不自然ではないし、フレーズの処理や、トランペットの扱いが特徴的な管楽器の音色など、まさにメンゲルベルクそのものです。また、テレフンケン盤や同時期のライヴ録音よりも、ずっと若々しいのも魅力だ。なお、この時代に第1楽章の提示部が繰り返されているのは、非常に珍しく、テレフンケン盤では反復は行われていない。
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【SP盤】GB HMV D.B.1599, D.B.1600, D.B.1601, D.B.1602, D.B.1603,D.B.1604, D.B.1605 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 ("EROICA")

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  • 1930年録音。GB "LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH GOLD LETTERING, 78s D.B.1599, D.B.1600, D.B.1601, D.B.1602, D.B.1603,D.B.1604, D.B.1605 7枚が揃っています。300/320/290/300/320/300/290㌘重量盤。

盤を裏返したらまた同じ音楽が流れてきた! プレスのミスか? いやいや、『英雄』の第1楽章提示部の反復を敢行した最初の録音。


普通の指揮者ではあり得ないようなバランス感覚で以て、聴き手の美感に訴えてくる。

メンゲルベルクを聴くなら後年のアムステルダム・コンセルトヘボウとのもの、一般的にはそう思われている。しかしながら、このニューヨーク時代も十分に個性的であり、完成度の高いものだということがわかる。音質に関しても、強いハム音が混入したりして、ばらつきのあるテレフンケン盤に比べれば、この英 H.M.V.の録音の方がずっと安定している。

1930年のエレクトリック録音。メンゲルベルクが作り出す音楽には、えもいわれぬ気品がある。思うまま大胆に味付けして自分本位の音楽を骨太に奏でているようにみえて、音楽が全く下品にならない。演奏のあちこちからこぼれ出てくる艶や甘みにも品があり、聴き手の美感に訴えてくる。アーティキュレーションを少しもおろそかにすることなく、ルバートやポルタメントを多用し、一音一音が活きるように腐心した。
初期の録音では、メンゲルベルク節は露骨に出ておらず、テンポの揺らし方も「やりすぎ」というほどではないが、聴き慣れたフレーズで思いもかけない楽器を強調させるなど、普通の指揮者ではあり得ないようなバランス感覚を持っているところも面白い。

ウィレム・メンゲルベルク(Willem Mengelberg)は19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したオランダの大指揮者であり、トスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラーを含むいわゆる「四大巨匠」の一人である。彼は必要とあらば楽譜上の指示を自己流に変更し、お馴染みの作品から瞠目すべきニュアンスを引き出して音楽的効果を上げる達人だった。そのロマン主義的なスタイルと、細部の表現に徹底してこだわる奏者泣かせの名人芸は、多くの音楽ファンを魅了し、一時代を築いた。
ウィレム・メンゲルベルクは1871年3月28日にオランダのユトレヒトに生まれ、オランダとドイツで音楽教育を受け、1891年にルツェルン市立管弦楽団の指揮者に就任。1895年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の指揮者に就任してからは、50年間の長きにわたってこのオーケストラを一流の演奏集団に育て上げた。1920年代にはニューヨーク・フィルの指揮台にも立ち、絶大な影響力を及ぼしたが、最終的にはアルトゥーロ・トスカニーニとの権力闘争に敗れ、ポストを明け渡している。戦後は不遇で、戦時中ナチスの招待を受けてドイツやフランスで指揮したため糾弾され、指揮活動を禁じられた。その後スイスに移住し、1951年3月22日に亡くなった。

ベイマックス的指揮者。彼に続くワルター、フルトヴェングラーの内にメンゲルベルク的特徴は生きている。

「英雄」は後年のテレフンケン盤が有名だが、こちらも捨てがたい。同時期録音のEMI盤などと比べても、音は比較的良い。演奏もメンゲルベルク的特徴は随所に聴かれるが、それでも結構端正で驚いた。テンポは常に揺れているが、テレフンケン盤のように不自然ではないし、フレーズの処理や、トランペットの扱いが特徴的な管楽器の音色など、まさにメンゲルベルクそのものです。また、テレフンケン盤や同時期のライヴ録音よりも、ずっと若々しいのも魅力だ。なお、この時代に第1楽章の提示部が繰り返されているのは、非常に珍しく、テレフンケン盤では反復は行われていない。

ヴィンテージレコードの写真

  1. 【SP盤】GB HMV D.B.1599 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  2. 【SP盤】GB HMV D.B.1599 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  3. 【SP盤】GB HMV D.B.1600 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  4. 【SP盤】GB HMV D.B.1600 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  5. 【SP盤】GB HMV D.B.1601 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  6. 【SP盤】GB HMV D.B.1601 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  7. 【SP盤】GB HMV D.B.1602 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  8. 【SP盤】GB HMV D.B.1602 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  9. 【SP盤】GB HMV D.B.1603 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  10. 【SP盤】GB HMV D.B.1603 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  11. 【SP盤】GB HMV D.B.1604 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  12. 【SP盤】GB HMV D.B.1604 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  13. 【SP盤】GB HMV D.B.1605 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
  14. 【SP盤】GB HMV D.B.1605 WILLEM MENGELBERG PHILHARMONIC-SYMPHONY ORCHESTRA OF NEW YORK Beethoven SYMPHONY No.3 IN E FLAT MAJOR, Op.55 (
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