34-19634

DECCAではこれがこのコンビの唯一のモーツァルト交響曲録音。

ミュンヒンガーは大戦後に、主としてバロック音楽を小編成のオーケストラで演奏することを目的として設立されたシュトゥットガルト室内管弦楽団の創設者で、ヴィヴァルディやバッハを得意としていました。ヴィヴァルディの音楽なんて、戦前はほとんど演奏されなかったそうです。しかしながら、ミュンヒンガー指揮による「四季」のLPが発売され、それがヴィヴァルディが再評価されるきっかけとなったそうです。尤も、バッハの名前でパブロ・カザルスの演奏盤があったり、ヴィヴァルディ作曲のヴァイオリン協奏曲として出典不明のSPレコード盤を目のあたりにすると、ヴィヴァルディの名は知られていたが作品と作曲家が結びつくような認識ではなかったというだろうし、同時代の作曲家は大方同様な扱いを受けています。とはいえ、ヴィヴァルディの12曲のヴァイオリン協奏曲からなる作品集《和声と創意への試み》から4曲を抜き出し、4つのシーズンとして一纏めにしたのは、LPレコードにピッタリの寸法だったし、売り込みやすかったことでしょう。実際季節のハッキリしている日本では、春夏秋冬が分かりやすかったことが受け入れられた大きな効果であり、ミュンヒンガーの功罪でもあるでしょう。それはともかく、ミュンヒンガーは、そうした「四季」の成功から録音に邁進します。古楽器による横に流れるラインを強調した最近の多くの演奏と違い、響きの美しさで聞かせるのが、ミュンヒンガー盤であります。ライバル独 DGG のリヒターの演奏は、この対極にあるようです。アンサンブルの厳粛さは特筆されるべきものであります。冒頭から息を飲むような緊迫感がみなぎり、何気ない雰囲気から次第に全体へと視野が広がっていくような趣。そのミュンヒンガーが演奏するモーツァルト青年期の名曲《ハフナー》ですから、英デッカも力が入っていて空気まで収録しているような明確な録音です。

Karl Münchinger, Klassische Philharmonie Stuttgart – Mozart – Symphony No.31 «Paris», No.32, No.35 «Haffner»

  1. 19634_2
  2. SXL6402

カール・ミュンヒンガー(Karl Münchinger, ドイツ 1915.5.29〜1990.3.13)

父親は早くに他界しており、「教会音楽なら勉強しても良い」と母親から言われていたカール少年は、学校に通い始めた頃にはすでにヴァイオリンを弾けるようになっていたので、入学と同時にオーケストラに所属した。学生生活を送るなかで「指揮者になりたい」という想いが募り、母に相談するも「短いスカートを履いた娘たち(バレリーナやオペラの歌手を指す)の指揮者」になることを反対され、学費は出さないと言い渡された。
その後ミュンヒンガーはライプツィヒに渡り、自分で学費を稼ぎながら指揮者ヘルマン・アーベントロートに師事した。また、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーやクレメンス・クラウスに影響を受けた。
戦後、従軍から帰還したミュンヒンガーは自身のオーケストラを作りたいという思いを実行に移し、団員を集め、シュトゥットガルト室内管弦楽団を設立した。たまたま入手した、手稿の写真をコピーしたものを写譜したりした、この経験がバロック・オーケストラを志向するようになり、まもなくバロック音楽ブームの火付けの成果となった。

戦争兵器の技術がもたらした音楽の快楽。― 世界大戦への気配の最中、潜水艦ソナーのために開発された〝Hi-Fiサウンド〟はレコード・マニアに大いに喜ばれ「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけた。

第二次世界大戦勃発直前の1941年頃に潜水艦ソナー開発の一翼を担い、その際に、潜水艦の音を聞き分ける目的として開発され、当時としては画期的な高音質録音方式であった。1945年には高域周波数特性を12KHzまで伸ばしたffrr仕様のSP盤を発売し、1950年6月には、ffrr仕様の初のLP盤を発売する。特にLP時代には、この仕様のLPレコードの音質の素晴らしさは他のLPと比べて群を抜く程素晴らしく、当時のハイファイ・マニアやレコード・マニアに大いに喜ばれ、「英デッカ=ロンドンのffrrレコードは音がいい」と定着させた。日本では、1954年1月にキングレコードから初めて、ffrr仕様のLP盤が発売された。1958年にヨーロッパや米 RIAA のステレオ・レコードの規格として 45/45 方式を採用したのを期に、自社で開発した V/L 方式を断念し、ステレオ・レコードの標準規格となった45/45方式によるステレオ・レコードを7月には、発売。ffrr 技術を受け継いだ ffss ( Full Frequency Stereophonic Sound 全周波数立体音響)を発表、そのハイファイ録音にステレオ感の良さが加わり、「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけた。録音自体は早く1955年7月、世界初のステレオによるワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」全4部作を録音を皮切りに、米RCAビクターへの録音をステレオで開始して Living Stereo シリーズは大成功する。

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Sym Nos 41,35,39,40,36,38
Stuttgart Chamber Orch
Intercord
1995-05-23


プロダクト・ディテール(オリジナル盤)

  1. レーベル
    DECCA
  2. アナログレコード
    カール・ミュンヒンガー モーツァルト・交響曲31番「パリ」/35番「ハフナー」/32番 DECCA SXL6402
  3. レコード番号
    SXL6402
  4. 作曲家
    ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
  5. オーケストラ
    シュトゥットガルト・クラシック・フィルハーモニー
  6. 指揮者
    カール・ミュンヒンガー
  7. 録音日
    1969年4月,5月
  8. 録音場所
    シュトゥットガルト
  9. 録音チーム
    Producer [Uncredited] – John Mordler, Engineer [Uncredited] – Martin Fouqué
  10. 表紙絵画
    Painting [Cover, The Palace Of The Tuileries] – F. Raguenet
  11. 録音種別
    STEREO
  12. 製盤国
    GB(イギリス)盤
  13. レーベルガイド
    このED3が初版(1W/1W)。
  14. カルテ(交響曲)
    MADE IN ENGLAND BY THE DECCA"WIDE BAND ED3, ffss、溝無し、1枚組 150㌘重量盤、1969 Stamper 1W/1W。
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