
GB COLUMBIA SAX2430-1 オットー・クレンペラー エリーザベト・シュヴァルツコップ ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ フィルハーモニア管弦楽団 ブラームス ドイツ・レクイエム(1枚半収録)
《レコード鑑賞のダンジョン ― 名曲を聴く時必ず立ち塞がる名盤。》
死は勝利にのまれた。死よ、おまえの勝利はどこにあるのか。死よ、おまえのとげはどこにあるのか。
GB 英コロムビア製「ターコイズラベル」初出, STEREO 2枚組 160㌘重量盤。
- Record Karte
- 演奏:オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団、フィルハーモニア合唱団、エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)、ラルフ・ダウンズ(オルガン)
- 録音:1961年ロンドン、キングズウェイ・ホールでのセッション、ステレオ。
- プロデューサー:ウォルター・レッグ
- 曲目
- ブラームス:ドイツ・レクイエム
同曲屈指の名盤。クレンペラーとしては意外に遅いテンポではないにもかかわらず、生み出される音楽は極めて重厚。一音一音がしっかりと描かれた壮大かつ繊細な名演中の名演。
小澤征爾の死去のニュースは名盤鑑賞をテーマにしているブログだけでなく、クラシック音楽のブログ全般で振り返られています。筆者其々、踏み込んだ思いを読むことが出来ますが、割合として、世界のオザワに賛辞を贈ると同時に、その演奏は将来記憶されていくのかはわからないというところで共通しているようだ。演奏している姿は未来に伝えられるだろうが、レコードに録音された1960年代から2023年までの演奏は、丼に入れて聴く訳にはいかないだろう。今週は、あらためて永劫聴かれ続けているレコードを振り返る。
ドイツ音楽の独特な世界を継承していたクレンペラーは、ブラームスの作品と相性も良く、誇張のない安定した演奏で抜群のバランスの良さを聴かせてくれます。また、この時期のテンポは晩年の様な遅さがなく、やや速い位です。フィルハーモニア管弦楽団は充実期で力強さもあり、ヴァイオリンの両翼配置など聴き応えある演奏です。ビクともしない堅牢な建造物のような演奏。ピリオド・アプローチの影響からか、近年はブラームスも軽量化しているが、クレンペラーは昔ながらの重量級である。
欧米の音楽家が演奏を解釈する時に宗教の有り様は大きいと思われる。ユダヤ人であることでブルーノ・ワルターは命からがら渡米している。オットー・クレンペラーはユダヤ教から改宗している。そのことを問われて「いやいや、私たちには子供が二人います。アメリカで俳優をしているブルーノと、ここにいるロッテです」と言葉を濁しているので、カトリック教を選んだ本位はわからない。しかし、祖国イスラエルへの想いは強かったことも伝わっている。
この「ドイツ・レクイエム」のタイトルには第2次世界大戦中には意味合いが変わったのだろうが、ブラームスが母親の死を悼んで作曲したラテン語の鎮魂歌の歌詞を借りた私的な思慕の想いで生まれた名曲。葬儀のための音楽ではなく、死、喪失感といったことよりも再生を予兆させる、どこか慰めに満ちた音楽です。
「死は勝利にのまれた。死よ、おまえの勝利はどこにあるのか。死よ、おまえのとげはどこにあるのか。」と戦争や紛争の虚しさを説いている。
クレンペラーは、それに良く応えた。本盤も、そのような基準盤の一枚で、レッグの意図する処がハッキリ聴き取れる快演だ。クレンペラーの解釈は揺るぎのないゆっくりしたテンポでスケールが大きい。ゆったりとしたテンポをとったのは、透徹した目でスコアを読み、一点一画をおろそかにしないようにとも思いたくなる。この気迫の籠った快演は聴き手に感動を与えずにはおきません。また何度聴いても飽きません。フィルハーモニア管弦楽団はまさにクレンペラーの為にレッグが作り出した楽器だと言う事、しみじみと感じました。
レコード鑑賞の魔窟。
《ドイツ・レクイエム》は、この曲の代表的な演奏として最も名高い1961年録音。これを聴かずに先へ歩みを進められない。いや、この一枚で終わっても良い決定版だ。ドイツ音楽の独特な世界を継承していたクレンペラーは、ブラームスの作品と相性も良く、誇張のない安定した演奏で抜群のバランスの良さを聴かせてくれます。また、この時期のテンポは晩年の様な遅さがなく、やや速い位です。フィルハーモニア管弦楽団は充実期で力強さもあり、ヴァイオリンの両翼配置など聴き応えある演奏です。ビクともしない堅牢な建造物のような演奏。ピリオド・アプローチの影響からか、近年はブラームスも軽量化しているが、クレンペラーは昔ながらの重量級である。
欧米の音楽家が演奏を解釈する時に宗教の有り様は大きいと思われる。ユダヤ人であることでブルーノ・ワルターは命からがら渡米している。オットー・クレンペラーはユダヤ教から改宗している。そのことを問われて「いやいや、私たちには子供が二人います。アメリカで俳優をしているブルーノと、ここにいるロッテです」と言葉を濁しているので、カトリック教を選んだ本位はわからない。しかし、祖国イスラエルへの想いは強かったことも伝わっている。
この「ドイツ・レクイエム」のタイトルには第2次世界大戦中には意味合いが変わったのだろうが、ブラームスが母親の死を悼んで作曲したラテン語の鎮魂歌の歌詞を借りた私的な思慕の想いで生まれた名曲。葬儀のための音楽ではなく、死、喪失感といったことよりも再生を予兆させる、どこか慰めに満ちた音楽です。
「死は勝利にのまれた。死よ、おまえの勝利はどこにあるのか。死よ、おまえのとげはどこにあるのか。」と戦争や紛争の虚しさを説いている。
普遍の演奏こそ名盤。
英EMIの偉大なレコード・プロデューサー、ウォルター・レッグの信条は、アーティストを評価するときに基準となるようなレコードを作ること、彼の時代の最上の演奏(録音)を数多く後世に残すことであったという。クレンペラーは、それに良く応えた。本盤も、そのような基準盤の一枚で、レッグの意図する処がハッキリ聴き取れる快演だ。クレンペラーの解釈は揺るぎのないゆっくりしたテンポでスケールが大きい。ゆったりとしたテンポをとったのは、透徹した目でスコアを読み、一点一画をおろそかにしないようにとも思いたくなる。この気迫の籠った快演は聴き手に感動を与えずにはおきません。また何度聴いても飽きません。フィルハーモニア管弦楽団はまさにクレンペラーの為にレッグが作り出した楽器だと言う事、しみじみと感じました。
両面盤+片面盤の2枚組。
表紙のデザインは同一ですが規格番号が複数ある。アメリカや日本では2枚組は見開きジャケットになるが、イギリス盤は1枚ものが、それぞれにジャケットに入っている。ジャケット裏の解説は、1枚目、2枚目と書き分けられている。BOXか、見開きジャケットがいいかは好みの問題ながら、購入時の店頭在庫との都合もあり、ラベルがちぐはぐな取り合わせにもなる。そのことは、どれだけ人気があったかと裏付けています。ただし、このクレンペラーのドイツ・レクイエムのレコードは、3面収録で1枚目が片面盤。フランス盤は番号がそれぞれ異なるので、ラベルのデザイン違いもわかりやすい。プロダクト・ディテール(オリジナル盤)
- 演奏者
- エリーザベト・シュヴァルツコップ
- ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
- ラルフ・ダウンズ
- フィルハーモニア合唱団
- オーケストラフィルハーモニア管弦楽団
- 指揮者オットー・クレンペラー
- 作曲家ヨハネス・ブラームス
- 曲目ドイツ・レクイエム
- 録音年1961
- 録音場所ロンドン、キングズウェイ・ホール
- 録音プロデューサーウォルター・レッグ
- レーベルCOLUMBIA
- レコード番号SAX2430-1
- 録音種別STEREO
- 製盤国GB(イギリス)盤
- レーベル世代英コロムビアターコイズラベル初出
- レコード盤重量160㌘
CDはアマゾンで購入できます。
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