通販レコード→JP 1950年代後半国内初出 東京芝浦電機製白ラベル「見本盤」, STEREO 1枚組, 160㌘重量盤, 米国Capitol同一スタンパー使用盤
スウィング時代の名門バンドの当たり曲を忠実に再現。
ビッグ・バンドの黄金時代を1枚のLPレコードで見事に再現した「Sounds Of The Great Bands」シリーズの第4弾。本盤はファンからのリクエストによる選曲で、オリジナルはSPレコードでしか聴けないようなスイング黄金時代のマイナーなナンバーを集めたサービス企画。ゴージャスなアレンジのスロー・ブルースに酔っていると、そこにドラムのソロが割り入ってくるのが印象的な「Star Burst」(A-2)は、ジーン・クルーパ楽団のオープニング・テーマ曲。なかでも、1938年録音のアーティ・ショーの出世作、「Begin The Beguine」(B-5)はジェリー・グレイ編曲で洒脱なバージョンでの録音もしていますが、今度は1940年代半ばのエディ・ヘイウッド楽団のバージョンです。ほぼ全編がエキゾチックなピアノ・ソロで演奏される異色の「ビギン・ザ・ビギン」。オリジナルに忠実なアレンジで、カサ・ロマ・バンドがハイ・ファイ・ステレオで鮮やかに蘇らせます。
オレンジ・ブロッサム/ビッグ・バンド・ジャズ史上不滅のカサ・ロマ・オーケストラ。
白人ジャズ・バンドとして史上最初にビッグ・バンド・ジャズを演奏した点ではジーン・ゴールドケット楽団に手柄を譲るもののカサ・ロマ・オーケストラの名は史上不滅である。1927年デトロイトで結成されたこのバンドは前名をオレンジ・ブロッサム(Orange Blossom)と称しハンク・ビアジニ(ベニーニ)が指揮をとっていたが、実際の所有者はジーン・ゴールドケットである。間もなくカナダに赴きトロントのカサ・ロマ・ホテル ― カナダで、ナイアガラの滝を使った水力発電で成功を収めた大富豪ヘンリー・ミル・ペラット卿が巨費を投じて1914年に完成させた豪邸で。ホテルとして1923年から使われ、裕福なアメリカ人の社交場となっていた。ここのボールルームに出演し成功を収めたのを記念してカサ・ロマ・オーケストラと改称した。余勢をかって1929年ニューヨークに進出し、この年の暮れから録音を開始した。1930年春ビアジニの退団を機に所有者のゴールドケットとも絶縁すると同時に株式組織にしてアルト奏者グレン・グレイ(1906年6月7日イリノイ州ローノーク生まれ)を代表、メル・ジェンセン(Mel Jensen, ヴァイオリン奏者)を指揮者に任命した。彼等は折からの不況をものともせずホットな演奏に情熱を燃やし、「カサ・ロマ・ストンプ」(Casa loma stomp, 1937)、「ブルー・ジャズ」(Blue Jazz, 1932)、「ホワイト・ジャズ」(White Jazz, 1931)、「マニアックス・ボール」(Maniac's Ball, 1932)等歴史に残る傑作を矢継ぎ早に放ち注目された。編曲者ジーン・ギフォードの複雑かつ精巧を極めた手法、快速テンポにのって展開するブラスとサックスの応答などメカニズムに徹したアンサンブルは驚異の的であった。ラリー・クリントンが主任編曲者に迎えられた1935年からスウィート・スウィングに転向したが以前に増して大成功を収め、グッドマンの王座を脅かす存在になった。硬軟自在に使い分ける卓越した演奏技術に加えグレン・グレイの二枚目ぶりが人気の獲得に大いに役立っていた。初期のスタイルはミルス・ブルーリズム・バンド、キャブ・キャロウェー、ドーシー・ブラザーズ、ポール・ベンダーヴィズ及び英国のリュー・ストーンに影響を与え、スウィート・スウィングのラインをラリー・クリントンからグレン・ミラーにつなげる等、その功績は称賛に値しよう。
Sounds Of The Great Bands/SPレコード時代の人気曲のソックリ演奏が録音されるきっかけを作った。
先週聴いたLPレコードの中に、「風と共に去りぬ」の映画オープニングや、映画「サムソンとデリラ」のオープニングを収めた一枚があった。表紙は映画のポスターをうまく真似たイラストだった。初のステレオ録音盤という謳い文句がタイトルを飾っている。聴くと、内容は個性的にアレンジされた名画のテーマ曲集ではなく、主題は解決されず尻切れトンボに終わる。劇場公開時に上映前に演奏されていたインターリュードをステレオ録音した演奏だった。ステレオ・レコードが普及する1950年代後半から1960年代初頭にはSPレコード時代に評判良かった曲をステレオ録音で再現することが流行ったのである。戦争も終わって、演奏技術の高い奏者が多くなったのだろう。
スウィング・エラ/アレンジは知性を、アンサンブルは規律を。アメリカの黄金時代を象徴するゴージャスなショービジネス。
1935年から1942年に至る7年間をスウィング時代という。その数400を超えるビッグ・バンドが軒を連ね史上空前の王国を築いた。ジャズ史上最も華やかな時代であり、有名無名を問わず個性豊かなビッグ・バンドで彩られていた様相は百花繚乱、豪華絢爛たるものであった。これをジャズのベル・エポックと言わずして何と言おう。文字通り国をあげて熱狂するさまはジャズ界のみならず、アメリカの黄金時代を象徴するものであった。この7年間はジャズがコマーシャリズムと結びついて成功した唯一の時代であった。
1929年10月24日の世界恐慌をきっかけに不況が続いたアメリカが、ルーズベルト大統領のニューディール政策が一時的なカンフル剤の役目を果たして、その状況を脱しはじめるのは1930年代半ばのこと。こうした変化は当然ながら人々の生活や文化にも影響を及ぼし、音楽においては暗い不況時代にラジオで聴かれた、安らぎを与えるようなスウィートなポピュラー音楽に代わって、よりフレッシュで刺激的なサウンドが求められるようになった。アメリカ国民の音楽の嗜好もそれまでの古風なニューオリンズ・スタイルやアーリー・ジャズから離れていって、ダンサフルで刺激的なジャズを求めるようになってく。これがスイング・ジャズの誕生。一旦終焉を迎えていたジャズは、これをきっかけに再び隆盛を迎える。そうした時代の空気のなか、人々は出かけ、集い、踊り、盛り上がりをみせていたのがビッグ・バンド形式のスウィング・ジャズである。1930年代半ばから始まるアメリカのスウィング黄金期、ホテルでのショーやダンス・ミュージックとして裕福なアメリカの人達に愛された華やかな社交音楽であったビッグ・バンド・サウンド。そのムーブメントの中心になった都市はニューヨーク。米国最大の都市であるニューヨークには、多くのダンスホールやレコード会社、レコーディングスタジオやコンサートホールなどがあって必然的に各地のミュージシャンたちが集結する事になり、多数の優秀なビッグ・バンドが進出、結成されて当時の音楽シーンを担っていく事になる。
ビッグ・バンドの宝庫/10年足らずの間に多数の逸材を輩出して、世界的な規模にまでジャズという音楽の認知を広げていったスウィング時代。
ベニー・グッドマンがカーネギー・ホールでコンサートを開催した1938年、この年ビッグ・バンド・ブームは最高潮に達し、グッドマンを筆頭にトミー・ドーシー、アーティ・ショー、カサ・ロマ、ボブ・クロスビー、デューク・エリントン、ジミー・ランスフォード、チック・ウェッブ、カウント・ベイシー等の強豪がひしめき合っている。この景観。その最前列に躍り出たい。最高のお洒落をして、美を振り撒きたい衝動を夢見る。引き締まったお腹の底から、熱気を深呼吸したい。これらを聴きにサヴォイ・ボールルーム、パラマウント劇場、ロサンゼルスの有名なダンスホールであるパロマー・ボールルーム、ブラック・ホーク、ラスティック・キャビン、キャフェ・ルージュ、コットン・クラブなどにせっせと足を運んだろう。〝スウィング〟という名称は黒人によるジャズのメインストリームから出たのではなくて、白人のバンドリーダーであるベニー・グッドマンのバンドがロサンゼルスの公演で大好評を得た時から、彼の楽団を中心とした白人のビッグ・バンドの音楽に対してつけられた。ジャズをチューニングし最高域に引き上げたショーだ。踊りださずにはいられない。ビッグ・バンドという演奏形態の隆盛はバンドの花形としてボーカリストを多数輩出して、ジャズ・ボーカルというジャンルも次第に確立されてくる事になる。ヘレン・ウォードやエディス・ライト。この時期、ダンス・ミュージックとしてスウィング・ジャズは多くの大衆に受け入れられて、非常にポピュラーな大衆音楽の地位を獲得していく中からは、またそれぞれのバンドが、演奏の見せ所であるソロ・パートの充実を図っていく過程で各楽器の優れたソロイストを生み出して、その結果ソロイスト同士のセッションによるスモール・コンボでのレコーディングも数多く行なわれる事になってもいく。スウィング時代は、以降のスタイルや奏法につながっていく様々な可能性が開けてきた時代だった。
1939年に年が移ると、グレン・ミラーの擡頭によってビッグ・バンド界はスウィート・スウィングに移行して更に華やかなものになる。この辺から新旧が入れ替わり、ミラー、チャーリー・バーネット、ハリー・ジェイムス、ジーン・クルーパ、ライオネル・ハンプトン、エディ・デューチン、レイモンド・スコット、ジャン・サヴォットといった新興勢力を片っぱしから聴いて踊る。グレン・アイランド・カジノにクロード・ソーンヒルを聴きに行ったかと思えば、ロサンゼルスのランデブー・ボールルームで聴くのはスタン・ケントンだ。キャピトル・レコードはビッグ・バンドの宝庫だ。
1939年に年が移ると、グレン・ミラーの擡頭によってビッグ・バンド界はスウィート・スウィングに移行して更に華やかなものになる。この辺から新旧が入れ替わり、ミラー、チャーリー・バーネット、ハリー・ジェイムス、ジーン・クルーパ、ライオネル・ハンプトン、エディ・デューチン、レイモンド・スコット、ジャン・サヴォットといった新興勢力を片っぱしから聴いて踊る。グレン・アイランド・カジノにクロード・ソーンヒルを聴きに行ったかと思えば、ロサンゼルスのランデブー・ボールルームで聴くのはスタン・ケントンだ。キャピトル・レコードはビッグ・バンドの宝庫だ。
ビッグ・バンドがジャズ史の黄金時代を築いた。この歴史歴な事実は揺るがない。
ジャズの黄金時代はスウィング・エラであると昔から言われている。ジャズに限らず、音楽はショー・ビジネスの一角を担うものであるからソフィスティケーション、派手そしてカッコよさの三拍子が揃っていれば何も言うことはない。普段着や作業衣でステージに上ることは断じて許せない。洗練された身なり、身振りで音楽或いは景気の良い派手なビッグ・バンド・ミュージックは、アレンジは知性を、アンサンブルは規律を意味している。ジャズの神髄はアドリブであり、小編成が理想的な形態であると言われるようになったのはいつからか。アレンジ、アンサンブルの重要性が軽視されるのは偏にアドリブ偏重の弊害に他ならない。アドリブはジャズの本質の一面に過ぎない。アレンジ、アンサンブルそしてアドリブが同一の次元でなされてこそジャズの正しい在り方だと思う。キャピトル・ビッグ・バンド・エンターテインメント
キャピトルが営業を開始した1943年はスウィング時代が幕を閉じた翌年であった。然し都会趣味と贅沢好みの同社はビッグ・バンド志向を打ち立て創立から1960年代に至るまで数多くのビッグ・バンドを抱えていた。同社の全盛期に相応しい、花のマエストロの勢揃いで、いずれも正真正銘のスターである、ベニー・グッドマン、ハリー・ジェイムス、レス・ブラウン、レイ・アンソニー、グレン・グレイ其の他ビッグ・ネームが並ぶ贅沢な内容である。就中スタン・ケントン楽団を育成した功績は大きい。
グレン・グレイは1950年に引退したが1956年6月にレコーディング・バンドの指揮者としてカムバックし、キャピトルに多くの傑作を録音した。ステレオ録音で行われ、モノラル盤、ステレオ盤で発売した、それらスウィング時代の名門バンドの当たり曲を忠実に録音した諸作品は大変な話題を呼び、以来各社でソックリ演奏が録音されるようになった。そのきっかけを作ったのが本盤のシリーズで、有名バンドの完全な再現は初めての試みだったのである。ビッグ・バンドの黄金時代を一枚のLPレコードで見事に再現した完璧な演奏技術とアイデアの良さに脱帽せねばなるまい。このアルバムを聞くことによって、1938年の絶頂期からスウィート・スウィングに移行していくジャズの黄金時代の空気の中をいつでも闊歩することが出来る。
収録曲
Side-1
- King Porter Stomp
- Star Burst
- Little Rock Getaway
- Afternoon In August
- Topsy
- When Buddha Smiles
Side-2
- Back Bay Shuffle
- V.I.P.'S Boogie
- John Silver
- Embraceable You
- Begin The Beguine
- Swanee River Boogie
- Record Karte
- 演奏者
- Pete Candoli, Conrad Gozzo, Joe Graves, Uan Rasey, Mannie Klein, Shorty Sherock:trumpet
- Milt Bernhart, Joe Howard, Ed Kusby, Dick Noel, George Roberts:trombone
- Gus Bivona, Chuck Gentry, Skeets Herfurt, Julie Jacob, Babe Russin:sax
- Ray Sherman:piano
- Mike Rubin:bass
- Nick Fatool:drums
- Jack Marshall:guitar
- 東京芝浦電気社製、白ラベル「見本盤」。
- SPレコードからのLPレコード化ではなく、1961年5月ロサンゼルス録音のステレオオリジナル録音。
- Please, Mr. Gray... : More Sounds Of The Great Bands - Capitol T-1506
CDはアマゾンで
Gray, Glen & the Casa Loma Orchestra
Hindsight Records
2024-06-07
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