たっぷりとした深みのある響き

現代世界最高のヴァイオリニストのひとりチョン・キョンファ初期の瑞々しく透明感あふれる音色と情熱的な演奏が見事な一枚。ケンペ&ロイヤル・フィルの豊かで深みのあるオーケストラがキングズウェイ・ホールに響き渡る様も圧巻です。

彼女の録音歴の中でもアンドレ・プレヴィンと録音したチャイコフスキーとシベリウスの協奏曲の次くらいの最初期の録音ですが、録音そのものに雰囲気があって、たっぷりとしたヴァイオリンを聞かせる。
チョンはヴァイオリンを朗々と響かせながら、ときとしては耽溺に過ぎるのではないかと思われる主観的な音楽を聞かせてくれます。のちにバルトークやプロコフィエフ、それにブラームスのソナタで聞かせてくれた厳しい表情の音楽とは違って、懐かしのチャイコフスキーやシベリウスと同じ雰囲気です。
デビューまもなく、評価もない新人が大家の胸を借りる。アンネ=ゾフィー・ムター、ヘルベルト・フォン・カラヤンの顔合わせがブルッフであったことを思い出した。
ルドルフ・ケンペ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の伴奏は、決してヴァイオリンを打ち消すようなことはなく、チョンに合わせて、たっぷりとした深みのある響きでサポートします。一方でオーケストラを鳴らすべきところでは堂々たる音楽を聞かせてくれるので、ヴァイオリンだけでなくオーケストラを聞く楽しみが堪能できます。
  • Record Karte
    • 1972年5月ロンドン、キングズウェイ・ホール録音。
    • レイ・ミュンシャル&ジェームス・ロックによる録音。

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キョンファ初期の瑞々しく透明感あふれる音色と情熱的な演奏が見事な一枚。ケンペ&ロイヤル・フィルの豊かで深みのあるオーケストラがキングズウェイ・ホールに響き渡る様も圧巻です。