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US ANGEL AE-1-34501 イダ・ヘンデル ベルグルンド ボーンマス交響楽団 シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
商品番号 34-27448
無二の個性は普段から発散していた ― ダメであれば最初から弾き直して決してつぎはぎはしなかった。
1975年録音の高名なシベリウス・ヴァイオリン協奏曲(ASD3199)のデジタル・リマスター盤。カップリングは2つのセレナード、ユーモレスク5番からウォルトンの協奏曲に変更されています。80歳代になっても第一線で活躍し続けた彼女は、その長いキャリアにも関わらず、録音の少ないことで有名です。生前のシベリウス自身にも認められたというこのヴァイオリン協奏曲は、彼女の代表的名演。シベリウスの美しいメロディをひときわ引き立てる感性と表現力、3楽章での完璧な超絶技巧の冴えは圧巻。シベリウスのスペシャリストであるパーヴォ・ベルグルンドの伴奏も言うことなし。
無二の個性は普段から発散していた
― ダメであれば最初から弾き直して決してつぎはぎはしなかった。ざっと500年続いて絶えていない〝ドイツ音楽〟はベートーヴェンからブラームスを中心に、そこにはシューマン。前後にはバッハやブルックナーまで人それぞれに名前が浮かぶと思います。それに対して、ウォルトンをはじめイギリスの音楽とは20世紀の音楽です。パーセル以来、長らく自国産の作曲家を生み出さなかったため、イギリス音楽は最初にシベリウスの音楽に親近を示し、ウォルトンをはじめ作曲家たちも、その成果を摂取したのでした。民族的なものを昇華することと、表現主義の時代でもあった20世紀にあって、遅れて来た作曲者の輩出は、表現主義的なものの反動でもあった新古典、そして、イギリス紳士らしく微温な保守性が垣間見える作品となりました。また、イギリスとシベリウス録音は縁があり、ベルグルンドの最初のシベリウス交響の全集はイギリスのボーンマス交響楽団との間に為されています。20世紀は情報の時代で、戦争中の国民心理をラジオ放送が扇動した。そして、レコードによって全ヨーロッパに広まったのがイギリス、北欧音楽といえるでしょう。北欧のオーケストラの成熟を前にイギリスのオーケストラが支えた。それらのオーケストラを伴奏に、シベリウスやイギリスの作曲家のヴァイオリン協奏曲は、ハイフェッツ、メニューインによって広まり、ポーランドの音楽はイダ・ヘンデルも、また取り入れている。マルツィやヌヴーと同世代。録音が極端に少ないためキャリアの割に情報は少なく、過去の演奏家に錯覚されてそうだが、2008年に来日したときにスタジオで収録したアルバム『魂のシャコンヌ』(RCA BVCC-31116)が発売された。ラジオ放送やレコードの時代になると、パフォーマンスや劇場を社交の場とすること無く、演奏家に『音楽を弾く』ことを要求する。ハイフェッツの作曲委嘱、演奏によって作品が広まったという経緯。ブリテン、シベリウスともに作品とは関連性があります。たとえば、構成ではシベリウスの協奏曲が念頭にありました。イタリア的なものの志向。決して、弦楽器の奏法に精通していなかったウォルトンですが、残された協奏作品であるヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの3つの協奏曲は広く知られています。3曲ともに、要求されるものは高いのに対し、技巧を喧伝するタイプの曲種ではありません。舞曲的な源泉をもち、派手に効果をあげるよりはむしろ抑制されたところに真価を発揮する。1楽章の叙情も、明瞭に光を帯びたそれではなく、ヴェールを帯びたもので、明瞭にそうした輪郭を描かないのもイギリス的なものの体質です。ヴァイオリンもその中でよく歌います。イダ・ヘンデルの演奏は、そこにあって、すべて的確に収められ過不足無く作品の性格を表現する。抒情的な性格は、ベルグルンドの指揮も巧みで、ヴァイオリンも引き立てますが、すでに、ヴァイオリンの技巧がそうしたバランスの中に引き立たせられる書法となっているのです。ヘンデルは録音の際には決してつぎはぎはしないそうだ。つまり、ダメであれば小品なら最初から、ソナタであれば楽章単位で弾き直すというわけです。必要以上に細部のミスにこだわったような雰囲気は感じられない。聴き終わって、「音楽を聴いた」と感じるイダ・ヘンデルの規範ともいえる1970年代のウォルトンの協奏曲の録音です。
- Record Karte
- 録音:1975年7月7&8日 Guildhall, Southampton。
CDはアマゾンで
イダ・ヘンデル
ALTUS / WEITBLICK
2019-09-21
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