34-14893
通販レコード→蘭レッド銀文字盤

NL PHILIPS 802 856/57LY ヴォルフガング・サヴァリッシュ メンデルスゾーン・交響曲1,2番

商品番号 34-14893

時に近代の作品のように響くところはロンドンのオーケストラらしい面白いところ。 ― 忘れてはいけない颯爽とした名曲と全集の一環のサヴァリッシュの名盤。》メンデルスゾーン(1809~1847)は、38歳の短い生涯に、オペラも数曲まじえ、あらゆるジャンルに幾多の作品を残した才人です。音楽史、音楽界で最大級の悲劇と感じるひとつが、このメンデルスゾーンの業績のいわれのない低評価です。ヴァイオリン協奏曲ホ短調ばかりで、ニ短調の協奏曲は振り向かれること無く、ピアノ協奏曲に至っては関心がない聴き手も多いと感じるくらいに、いくつかの曲しか聴くばかりの気がしますが、その音楽とともに生涯を知り掘り下げることも、そのユダヤ人としての出自と合わせ、そして革新と発見をいくつか行った背景なども含めて知ってみたい意外と未知な作曲家なのです。5曲の交響曲があることは知られていても、声楽付きの交響曲第2番は聴かれる機会が少ない。メンデルスゾーンはこの、交響曲第1番の前に12曲の弦楽合奏のための交響曲を作曲しています。それら幼少期の作品を経験として、改めて本格的に交響曲に望んだ印象ですが、それが若干15歳だから驚きだ。メンデルスゾーンはモーツァルトやシューベルトに匹敵する早熟の天才なのです。メンデルスゾーンを色眼鏡越しに見てしまうのは、銀行家の御曹司というところでしょうか。その年齢で自分のための組織されたオーケストラを持っていたことにも驚きですが、要は頭の中でイメージされた音ではないということ、実践を重ねて確実に作曲されてきたのです。曲は、しっかりとした4つの楽章による均整のとれた聴き応えのある交響曲で、大人びた表情のなかに、明るく、そして音楽の諸先輩の影響と敬意を込めたシリアスさをもみなぎらせております。ユダヤの血は流れていても、そして一族はビジネスで大成功して裕福であったとしても、メンデルスゾーンはドイツ人としての認識を強く持って先達の偉大な作曲家たちの雰囲気を継承しつつ、メンデルスゾーンならではの伸びやかで屈託ないサウンドで独自性を作り上げています。サヴァリッシュがとりわけ熱意をもってとりあげた作曲家がこのメンデルスゾーン。管弦楽作品全曲を構成するほどの熱心さでした。40代後半のこの演奏からも、作品に対する深い愛着と尊敬の念が感じられます。《讃歌》はライプツィヒで催されたグーテンベルク400年記念祭のために作曲された、声楽がカンタータ風に導入された大規模な交響曲です。メンデルスゾーンの『讃歌』は当初交響曲というジャンルではなく、『交響カンタータ』という新しいジャンルの作品として構想されました。内容としてはオーケストラだけの前半部分と声楽が加わる後半部分に分かれ、良く第九との類似性が指摘されています。こうした声楽作品において見事な造形的空間を作り上げる手腕もサヴァリッシュの魅力のひとつでした。ともすればロマンチックに流れてしまう指揮者が多い中、徹底して余分なものを削いだ演奏になっている。その昔は外科医のようと評されたサヴァリッシュだが、この演奏でも音の立った厳しい棒さばきを見せてくれる。そのためこの交響曲の真価がはきりとわかる秀演となっている。その固さに違和感を覚える人もあろうが、時に近代の作品のように響くところはロンドンのオーケストラらしい面白いところ。サヴァリッシュがシューベルトと共にフィリップスに録音したメンデルスゾーンの交響曲全曲は放っておくにはもったいない。当時、クレンペラーのオーケストラだった、ニューがついたフィルハーモニア管弦楽団の爽やかさな響きで、気分いい演奏です。録音も鮮明であり、オーケストラも実に瑞々しく鳴っている。メンデルスゾーン畢生の大作オラトリオ『エリヤ』を準備するような《讃歌》。特にオペラと声楽について日本の音楽界に、とても大きな貢献をしたサヴァリッシュの曲の本質を見事に表現した圧倒的な名盤です。1967年6月1日ロンドン録音、ヘレン・ドーナト、ロートラウト・ハンスマン (ソプラノ)、ワルデマール・クメント(テノール)、ニュー・フィルハーモニア合唱団(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)。
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