34-21566

商品番号 34-21566

通販レコード→蘭レッド白文字盤

心を込め抜いてモーツァルトのピアノの響きのイメージを作り上げている。 ― 霊感に満ちた美しく感動的な演奏で今も人気の高い名ピアニスト、ハスキル(1890〜1965)。音楽ファンに忘れがたい感動を与えた彼女の、詩情に満ちた気品あふれる比類ない、モーツァルトだと断言出来ます。チャーリー・チャップリンが生涯に会った天才として ― 自分は人生で3人の天才に会った。ウィンストン・チャーチル、アルベルト・アインシュタイン教授、クララ・ハスキルの3人である。正規の教育を受けた音楽家ではない私だがこれだけはいえる。彼女のタッチは絶妙で、表現は素晴らしく、テクニックは並外れていたと ― 指折った、そのハスキルは芸術・文化の中心パリでピアノを学びました。15歳でパリ音楽院を卒業した後、若くて美しい天才的なピアニストが華々しく活躍する様を想像しますが、実は闘病生活を虐げられていたということです。ハスキルは1913年(18歳)から1918年(23歳)まで、脊髄の病気のためフランス北部のベークで療養生活を送りました。その後パリに戻りますが、演奏会 において病気のために演奏が中断してしまうのではないかという恐怖に襲われてしまいます。病気との戦いは彼女の人生を大きく支配するものとなりました。病気に加えて第二次世界大戦はユダヤ人であるハスキルに過酷な運命をもたらしました。また、同じルーマニア出身のディヌ・リパッティとは深い友情に結ばれていたようです。しかし、そのリパッティの天才は若くして白血病に奪われてしまいました。というような彼女の生き様から、逃れられない運命に直面したときの人間の強さと孤独感を聞き取ることが出来ます。そして一方で限界に追い込まれたときの人間の本当の友情、やさしさを感ずることも出来ます。戦後もスイスとオランダを拠点として、1950年を境に脚光を浴び始める。ヘルベルト・フォン・カラヤンを始めとする著名な指揮者や、またパブロ・カザルス、チャップリンとの交友にも恵まれ、フランスを始めとするヨーロッパ諸国での演奏活動も、熱狂的な聴衆に支持されるようになった。本盤のモーツァルトは限界に追い込まれたときの人間の本当の友情、やさしさを具現化したような稀有な名演だと言い得ます。モノラル時代からステレオ初期にかけての稀代のモーツァルト弾き、ハスキルの録音遺産の最も重要なものである蘭PHILIPS録音とドイツ・グラモフォン録音から選ばれている名演選。モノラル期及び初期ステレオ期の古い録音を通して、独特な「繊細で」かつ「愛らしい」ピアノ音楽を聴くことができます。そして敬虔ともいえるほどの彼女の音楽への関わりを感ずることができます。すべてセッションで行われているため、モノラル音源の場合でも聴きやすい水準にあり、ハスキルの美しいタッチを十分に味わうことができます。ピアノがやや遠くで鳴っているような録音が多いフィリップスのハスキル録音ですが、この盤の音質は優秀で、ピアノの音がはっきりクリアーなものが多く、特にステレオ録音は優秀。モーツァルトは同じ曲の録音が複数あり、たとえば《ピアノ協奏曲第20番》では、ベルリン放送交響楽団をフェレンツ・フリッチャイが指揮したドイツ・グラモフォンでのモノラル盤の他にも、ベルンハルト・パウムガルトナー指揮ウィーン交響楽団盤、ヘンリー・スヴォボダの指揮でウィンターソー交響楽団とウェストミンスターへの録音があります。
クララ・ハスキル(Clara Haskil)はルーマニアのブカレストの生まれだが、8歳になる以前にウィーンに移住していてルドルフ・ゼルキンと同じ師であるリヒャルト・ローベルトに学び、9歳の時にウィーンでデビューした。わずか10歳でモーツァルトの『ピアノ協奏曲第23番』をオーケストラと共演。11歳にはパリ音楽院でアルフレッド・コルトー、ガブリエル・フォーレに師事、後にフェルッチョ・ブゾーニに学んだというのだから、大音楽家たちに可愛がられた天才少女の当時の才能ぶりは余程すごかったのだろう。ハスキルの抜群の記憶力と音楽的才能を示すものとして6歳の時、モーツァルトの『ピアノ・ソナタ』の、ある楽章を人が弾いたのを一度聴いただけで楽譜も知らずに、そのまま弾いたという伝説が残されている。元来、身体が弱く4年間病床にあったが1921年に復帰、1927年からパリで活動を続けた。戦後、数々のレコーディングを行っていてモーツァルト弾きとして知られた。ネコ好きおばさん。モーツァルトを得意とする女流ピアニストは数多く、リリー・クラウス、イングリット・ヘブラー、マリア・ジョアン・ピレシュ、内田光子などがいるが、そのなかでもハスキルは特別な存在として尊敬されている。粒立ち良く、軽快で絶妙な右手のタッチから生み出されたモーツァルトの『ピアノ協奏曲』は特に絶品の演奏だった。彼女の演奏には独特のタッチと音色に特徴があるが残された録音を聴いた限り、使用している楽器もスタインウェイとは異なる独特の柔らかい響きを持つピアノを使用している。ハスキルはスタインウェイ・アーティストとしての記録もあるが録音での楽器は、おそらくベーゼンドルファーだろうか。ハスキルのモーツァルトの録音は『ピアノ・ソナタ』などの独奏曲よりも、ピアノ協奏曲の方が数多く残されている。ステレオ録音ではモーツァルトの『ピアノ協奏曲第20、24番』があり、マルケヴィッチの指揮とあいまって、晩年近いハスキルの名演として極めて高く評価されている。少女時代にも弾いたモーツァルトの『ピアノ協奏曲第23番』は控え目に始まる演奏だがハスキル独特の粒のようなタッチで全面的に覆われ終楽章は、そのタッチが跳躍する。他にも端正に弾かれたショパンの『ピアノ協奏曲第2番』もあるが、ベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ第17番、18番』やシューベルトの『ピアノ・ソナタ第21番』も得意としたレパートリーだった。
  • Record Karte
    1. ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271『ジュノーム』、ウィーン交響楽団、パウル・ザッハー(指揮)、録音:1954年10月(モノラル)。
    2. ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調 K.386、ウィーン交響楽団、ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)、録音:1954年10月(モノラル)。
    3. ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415、ルツェルン祝祭弦楽合奏団、ルドルフ・バウムガルトナー(指揮)、録音:1960年5月(ステレオ)。
    4. ピアノ・ソナタヘ長調 K.280、きらきら星変奏曲ハ長調 K.265、録音:1960年5月(ステレオ)。
    5. モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、録音:1955年9月(モノラル)。
    6. ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595、バイエルン国立管弦楽団、フェレンツ・フリッチャイ(指揮)、録音:1957年5月(モノラル)。
    7. ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488、ウィーン交響楽団、パウル・ザッハー(指揮)、録音:1954年10月(モノラル)。
    8. モーツァルト:ソナタハ長調 K.330、デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 K.573、録音:1954年5月(モノラル)。
    9. ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.378、ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304、ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376、ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.301、アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)、録音:1958年10月(ステレオ)。
    10. ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454、ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.526、アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)、録音:1956年1月(ステレオ)。
    11. ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466、ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491、ラムルー管弦楽団、イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)、録音:1960年11月(ステレオ)。
    7枚組、3,4,9,10,13,14面=ステレオ、1,2,5,6,7,8,11,12面=モノラル。
  • NL PHIL 6768 366 ハスキル モーツァルト・ピアノソナ…
  • NL PHIL 6768 366 ハスキル モーツァルト・ピアノソナ…
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Mozart: Piano Concertos
Haskil
Tahra
2006-03-13

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ヨーロッパ屈指の家電&オーディオメーカーであり、名門王立コンセルトヘボウ管弦楽団の名演をはじめ、多くの優秀録音で知られる、フィリップス・レーベルにはクララ・ハスキルやアルテュール・グリュミオー、パブロ・カザルスそして、いまだクラシック音楽ファン以外でもファンの多い、「四季」であまりにも有名なイタリアのイ・ムジチ合奏団らの日本人にとってクラシック音楽のレコードで聴く名演奏家が犇めき合っている。英グラモフォンや英DECCAより創設は1950年と後発だが、オランダの巨大企業フィリップスが後ろ盾にある音楽部門です。ミュージック・カセットやCDを開発普及させた業績は偉大、1950年代はアメリカのコロムビア・レコードのイギリス支社が供給した。そこで1950年から1960年にかけてのレコードには、米COLUMBIAの録音も多い。1957年5月27~28日に初のステレオ録音をアムステルダムにて行い、それが発売されると評価を決定づけた。英DECCAの華やかな印象に対して蘭フィリップスは上品なイメージがあった。
〝響きの美しさ〟よりもオーケストラの音の重量感としてのバランスが見事なのがハイファイ・ステレオ・ラベル ― この時代は名盤目白押しで、この頃の、フィリップス・トーンの特色といえば、しっかりとした彫りの深い直接音と少々控え加減の空間情報を豊富に持った間接音の見事なバランス感覚に魅力がある。多少の出費は覚悟して も、絶対にゲットすべきだ、と思う。後日、後悔することは、まずないといってよい。イギリスDECCAの華やかな印象に対してオランダ・フィリップスは上品なイメージがあった。また、この頃のコンセルトヘボウ管弦楽団の音の美しさも絶品で、特にオーボエをはじめとする木管楽器の温かみのある音は、これ以降、ほかの ― コンセルトヘボウも含む ― どこのオーケストラからも聞くことは不可能である。その録音は〝響きの美しさ〟よりも、オーケストラの音の重量感に心惹かれる。ステレオ録音での最初のレーベルは、小豆色 ― 海外のディーラーは「マローン(栗色)」と呼ぶことが多い ― の地の色に大きな銀色の文字で 「HIFI-STEREO」と印刷されたレーベルである。これを多くのわが国のレコード・ファンは文字どおり「ハイファイ・ステレオ・ラベル」と呼んでいる。フィリップスは1982年10月21日コンパクト・ディスク・ソフトの発売を開始する。ヘルベルト・フォン・カラヤンとのCD発表の華々しいCD第1号はイ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディ作曲の協奏曲集「四季」 ― CD番号:410 001-2。1982年7月のデジタル録音。ちなみにCDプレスは当時の西ドイツのポリグラムのハノーファー工場 ― で、それに先立つ1979年11月12~13日に初のデジタル録音を、アムステルダムにて行ったのがサー・コリン・デイヴィス指揮によるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による演奏で、ムソルグスキー作曲の組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)と「はげ山の一夜」(ニコライ・リムスキー=コルサコフ編曲)だった。