34-19600
イ・ムジチのレコードはどれをとっても明るく華麗で躍動的、「期待」を裏切らない均質さがある。 ― 豪華な石造りの宮殿の間の響き。ヴァイオリン、バック共に絹の手触りを思わせる柔らかい音で、音質は刺々しくならず、低弦の動きも明瞭に聴こえる。それはそれは美しい音楽があるだけです。バロック音楽ブームの原動力は〝イ・ムジチの四季〟の大ヒットの影響が大きい。〝イ・ムジチ〟はイタリア語で音楽家たちの意味。ローマ聖チェチーリア音楽院の卒業生12名によって結成された起源から、当初から指揮者を置かない方針をとり、後続の室内アンサンブルのモデルとなる、奏者それぞれの個人プレーを重視した。ポピュラーなアプローチが大衆ウケした。クロスオーバーの魁である。1952年にローマで結成された、イ・ムジチのサウンドは、すでに半世紀もの間、作曲家のスタイルと特徴を尊重しつつ、同時に、いかなる学術的な独断主義にも束縛されることなく自由な解釈を提示している。こうした柔軟性を武器に因習や束縛に満ちた時代に生きながらも言語と時代を超える崇高な芸術を遺した作曲家たちが音楽にこめた憧憬、哀愁、情緒を、イ・ムジチは人々に伝え続けていると云っても過言でない。クラシカルなスタイルから離れ、ソリストをクローズアップしてアンサンブルよりメンバーの見せ場が誂えられていた。古楽器演奏とは路線が違って現代的イタリアの歌に溢れた演奏は聴くものを幸せにしてくれます。ヨハン・ゼバスティアン・バッハの「ブランデンブルク協奏曲」は1965年に録音しており、イ・ムジチ1回目の全曲録音で、このあと1985年に再録している。初代のリーダー、フェリックス・アーヨのヴァイオリンは美しく靭やかだが、ピリオド演奏全盛の中にあっては音楽運びの濃くには欠ける。バッハの管弦楽作品では編成が大きいもので、管弦楽組曲と並んで最も知名度も高く、昔から広く演奏されてきた。マクサンス・ラリュー、セヴェリーノ・ガッゼローニ、ハインツ・ホリガー、モーリス・ブールグ、モーリス・アンドレ、フランス・ブリュッヘンら豪華な管楽器奏者が参加していました。ソリストは皆若く、ホリガーは20歳代、ブリュッヘンもオリジナル楽器に転向する以前の演奏だ。溌剌とした妙技を展開する管楽器と、アーヨの率いるイ・ムジチの冴えた響きがよくとけ合っている。
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ヨーロッパ屈指の家電&オーディオメーカーであり、名門王立コンセルトヘボウ管弦楽団の名演をはじめ、多くの優秀録音で知られる、フィリップス・レーベルにはクララ・ハスキルやアルテュール・グリュミオー、パブロ・カザルスそして、いまだクラシック音楽ファン以外でもファンの多い、「四季」であまりにも有名なイタリアのイ・ムジチ合奏団らの日本人にとってクラシック音楽のレコードで聴く名演奏家が犇めき合っている。英グラモフォンや英DECCAより創設は1950年と後発だが、オランダの巨大企業フィリップスが後ろ盾にある音楽部門です。ミュージック・カセットやCDを開発普及させた業績は偉大、1950年代はアメリカのコロムビア・レコードのイギリス支社が供給した。そこで1950年から1960年にかけてのレコードには、米COLUMBIAの録音も多い。1957年5月27~28日に初のステレオ録音をアムステルダムにて行い、それが発売されると評価を決定づけた。英DECCAの華やかな印象に対して蘭フィリップスは上品なイメージがあった。
バッハ:ブランデンブルク協奏曲
アーヨ(フェリックス)
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1998-12-16

フェリックス・アーヨ時代のイ・ムジチの「ブランデンブルグ協奏曲」。ソロ・ヴァイオリンはアーヨ、オーボエはハインツ・ホリガー、モーリス・ブルグ、フルートはセヴェリーノ・ガッツェローニ、マクサンス・ラリュー、ホルンはエリック・ペンツェル、リコーダーはフランス・ブリュッヘン、トランペットはモーリス・アンドレと錚々たるメンバーでの名演。1965年7月、9月スイス、ヴェヴェイでのステレオ録音。2枚組。優秀録音、名演
NL PHIL 6747 434 アーヨ(イ・ムジチ合奏団) バッハ…
NL PHIL 6747 434 アーヨ(イ・ムジチ合奏団) バッハ…
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