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Bonynge, National Philharmonic Orchestra, Pavarotti, Sutherland, Horne, Wixell, Ghiaurov – Verdi, Il Trovatore

昨日の「ワイドナショー」に於いて、有料老人ホームの元施設長が女性の入居を偽り、生活保護費を不正に受給したとして逮捕された事件を話題にしていた。有料老人ホームに入居していると川口市役所は聞いたが、入居の事実がなかったので、警察に通報。警察が捜索して10月7日、大宮区内のネットカフェで衰弱している女性が見った。この話題の最後に、出演していたお笑い芸人が、ヴェルディの養老院を引き合いに出した。歌手や、ヴァイオリニストなどが誰でも入居できる。と解説していたが、「音楽家」であれば良いという緩いものではない。
ミラノにヴェルディが作った「音楽家のための憩いの家」という高齢者住宅「カーサ・ヴェルディ」(1902年開業)の入居条件は「音楽に関わりのある人」。富裕層だけの施設でなく、貧富に関係なく年金の8割を払えば居住可能というものです。
著名な音楽家でも晩年は生活に困窮する人が多い実情を見てきたヴェルディが、音楽家の老後の安心のために私財を投じて建設したもので、〝著名な〟が大事なところだ。現在、居住者は70名。うち健常者45名、介護者25名で、興味深いのは、音大生が男性8名、女性8名計16名が住んでいることだ。彼らが高齢者から音楽のアドバイスを受けるだけでなく、ホールで一緒に演奏をすることで、音楽だけでなく人生の経験にできるところに施設の目的がある。
「カーサ・ヴェルディ」の主な収入源は、居住者からの家賃に加えて、初期はヴェルディの50年間の著作権収入、そして現在はこの施設の理念に共鳴する音楽家たちからの多額の寄付だ。寄付者のパネルにはパヴァロッティ等名だたる音楽家の名前が並ぶ。

イタリアの作曲家、ヴェルディが生まれた日(1813年10月10日)。ワーグナーも同じ年に生まれ、共にオペラの世界を拡張し、後世に残り続ける「名作」を作曲した。ヴェルディは《マクベス》、《リゴレット》、《アイーダ》、《オテロ》、《ファルスタッフ》など、現代でもオペラ公演で演奏機会が非常に多い、人気作品である。

Il Trovatore

1851年に『リゴレット』を初演、成功させた38歳のヴェルディの作曲の筆はそこからしばらく止まる。1839年の『オベルト』以来、年間1作以上のペースで作曲を続けてきた彼にとっては珍しい事態だった。
サンターガタでの農園購入とその経営など、作曲以外の雑事に忙殺されていたのも事実だったが、作曲家としてどうにかこれからの暮らしには困らない収入も得て、この頃の彼はどこの劇場の委嘱も受けず、自ら選んだ題材を好きなだけ時間をかけてオペラ化することができる大家ならではの作曲作法が可能となっていた。そしてそうした自己の選択による作品が、この『イル・トロヴァトーレ』である。


『イル・トロヴァトーレ』の原作『エル・トロバドール』はスペインの劇作家グティエレスによって書かれ、1836年にマドリードで初演された舞台劇であった。中世の騎士物語、男女の恋愛、ジプシー女の呪い、といった雑多なテーマを盛り込んだこの複雑な舞台劇をヴェルディがどうやって知ったのか、今日でもはっきりしていない。
初演は、ヴェルディのそれまでのどのオペラと比べても大成功といって良いものだった。世界各都市での再演も早く、パリ(イタリア座でのイタリア語上演)は1854年、ロンドンとニューヨークが1855年である。またフランス語化しグランド・オペラ様式化した『ル・トルヴェール』(Le Trouvère)は1856年にオペラ座で上演されている。ヴェルディ自身はのちに「西インド諸島でもアフリカの真ん中でも、私の『イル・トロヴァトーレ』を聴くことはできます」と豪語している。


本盤は1976年9月ロンドン、キングズウェイ・ホール録音。70年代のデッカ契約歌手のオールスター・キャストで録音された『イル・トロヴァトーレ』はバレエ付きオリジナル版ですが、この時代の記録として貴重なものです。やはり聴きどころは全盛期のパヴァロッティ。ボニングの奥様サザーランドも全盛期は60年代と言われますが、まだまだ素晴らしい声を聴かせてくれます。
そして、パヴァロッティの歌唱はファンの期待を裏切ることがないだろう。タイトル・ロールであるマンリーコ役の最大の聴かせどころである第3幕第2場は、パヴァロッティの独壇場であり、マンリーコのロマンツァから幕切れのカヴァレッタまで一気に聴かせてしまう。3大テノールと言われるパヴァロッティを聴くには、迷わずにこのオペラ全曲盤をお薦めしたい。「キング・オブ・ハイC」の別名を採るパヴァロッティならではの歌唱である。


様々な録音のある中で、独特の様式感を感じる演奏だった。往年のオペラ劇場で喝さいを浴びるプリマドンナやウォーモの演奏はきっとこうだったのだろうとしばし陶酔の世界に浸ることができる面白い演奏だ。


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ヴェルディ: 歌劇「トロヴァトーレ」
マリリン・ホーン
ユニバーサル ミュージック
2019-10-23


ヴェルディ:トロヴァトーレ
フィレンツェ五月音楽祭合唱団
ポリドール
1995-07-26


ヴェルディ:オペラ・アリア集I
パヴァロッティ(フェルナンド)
ユニバーサル ミュージック クラシック
2002-04-24


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