34-22820

商品番号 34-22820

通販レコード→日本 東芝音楽工業 赤盤[日本企画盤, オリジナル]

多感なお子さんにおすすめです。 ― クラシック音楽こそ、十代の感性で聴いてほしい。ダイナミックな音響、感情表現を体感できることは心を作る。静かな森の不思議、恐ろしい自然と共存する日常、そうしたものは言葉では決して説明できるものではありません。その時はそういうものかと聴いているだけであっても、成長してから強烈な印象を持って思い出す音楽になるはずです。最もアブラの乗っていた時代のヘルベルト・フォン・カラヤン珠玉の1作。永六輔による現代的な脚色、坂本九の生き生きとした楽しさ溢れるナレーションによる『ピーターと狼』を中心に親しみやすく楽しい曲が満載の管弦楽曲集です。日本語の語り ― 坂本九による楽しい作品。小品に対しても決して手を抜かないカラヤンの魅力が再認識できる1枚です。これを子供向けの軽い音楽とするのは、ヤナーチェクのオペラ「利口な牝狐の物語」を子供向けとするのと同じ事です。プロコフィエフは、色彩感あふれるメロディーに、時にはワルノリともいえるような素晴らしい才気を有しています。ヤナーチェクとプロコフィエフ、この二者の共通点としてわかるかと思います。つまり極力メロディーの無駄を排しようという感覚です。そして、各キャラクターに与えられたあまりにぴったりで見事なメロディー、そしてそのメロディー一つ一つが関係し合って、この作品世界を形成する見事さ。ピーターの主旋律だけでも、なんと可憐で純粋なのでしょう。子どもの目線からだけではない大人たちの様子、狩人のメロディーの、最後の行進曲部分での見事な展開。最後のおじいさんのぶつぶつ怒りながらも「まんざらでもない」というユーモラスな表情。このカラヤン盤は大変な世界をもっていて、日本語ナレーションは坂本ですが、互いに見事に、プロコフィエフの深遠で才気にあふれる世界を再現しています。言うまでもなかろうが、帝王カラヤンと九ちゃんが実際に録音現場で共演したわけではない。当初はイギリスで出た英語のナレーション(語り手=ピーター・ユスティノフ)入りヴァージョンが1961年6月に発売された。英国発売盤の元になったカラヤンの演奏だけのオリジナル録音を利用し、東芝レコードが日本語のナレーションを別箇にスタジオ収録し、両者を合体して新たな日本語版《ピーターと狼》として1965年12月に大々的に再発した。聴かせたい対象はテレビっ子世代。識字率の高い島国では、英語版を日本語で伝えるだけなら絵本や紙芝居で用済み。脚色を引き受けた永はテレビ時代の「ピーターと狼」という点に、ポイントをしぼった挙句「実況中継」の形式をとることにした。楽器の紹介は選手の紹介だ。「3番 サード 長島」のニュアンスを生かし、狼との戦いも、野球のグラウンドの状況に置きかえて考えた。子供相手に全力投球のつくりである。「夜明け…ピーターはこっそり、おじいさんの家を抜け出しました。門の外は緑色の海のような野原です…」澄み切った冷涼な空気。広大なロシアの大地。夜明けの光の中、たたずむ一人の少年。プロコフィエフの傑作をさらにカラヤンが磨きをかけた名盤。
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ピオネールの少年ピーターは、牧場に建つお爺さんの家に住んでいます。ある日ピーターは家から牧場に駈け出していきますが、庭の戸を閉め忘れてしまいます。すると庭で飼っていたアヒルが逃げ出して外の池で泳ぎ始め、アヒルは小鳥と言い争いを始めます。「飛べない鳥なんているのかい?」、「泳げない鳥なんているのかい?」。そこにピーターのペットの猫が忍び寄っていきますが、ピーターが声を掛けたために小鳥は木の上に、アヒルは池の中央に逃げます。お爺さんが出てきて、ピーターが一人で庭の外に出たことを叱ります。「狼が森から出てきたらどうするんだ?」。ピーターは「僕のような男の子は狼なんて怖くないんだ」といいますが、お爺さんはピーターを家に連れ戻し、戸を閉めます。そこに、大きな、「灰色の狼」が森から姿を現します。猫は素早く木の上に駆け上がって難を逃れ、アヒルは慌てて池を出て逃げますが、狼に追いつかれ、とうとう飲み込まれてしまいます。たいへんだ。ピーターはロープを持ち出すと、庭の塀を上って小鳥に話しかけ、狼を捕まえる「作戦」を伝えます。小鳥が作戦通りに狼の鼻先を飛び回っている時に、ピーターがロープの結び目で狼の尻尾を捕えます。狼は逃れようとしますが、ピーターがロープのもう一方を木に結びつけたため、結び目が締まっていく一方で逃げることができません。そこに狼を追ってきた数人の狩人が銃を持って登場します。狩人たちは狼を撃とうとしますが、ピーターは狼を動物園へ送ってもらうことにします。さあ、動物園に向かうピーターの勝利のパレードが始まりです。行列の先頭はピーターで、それに狼を引く狩人、猫、文句をこぼし続けるお爺さんは、「狼を捕まえられなかったらどうなってたと思うんだ?」とぶつぶつ。行列の最後に小鳥が続きます。ちょっと待って、「耳をすまして下さい。アヒルが狼のお腹の中で鳴いているのが聞こえるでしょう。狼は慌てていたので、アヒルを生きたまま丸呑みしてしまったのです」とナレーションが語ってこの物語が終わります。プロコフィエフはあらゆるジャンルの作品を作曲していますが、交響的物語《ピーターと狼》は、モスクワで設立された中央児童劇場(Moscow Children’s Music Theater)のナターリャ・サーツから着想を得たものといわれています。プロコフィエフは1918~1922年はアメリカで、1922~1936年の間はパリで、そして1936年以降は再びロシアの楽団に復帰して平易なスタイルー新古典主義を標榜していたので、作品は簡素で明快、また子供向けの作品ということもあって、大衆性を持った分かりやすいものになっています。この作品では登場人物がそれぞれ ― ピーターは弦楽合奏、小鳥はフルート、アヒルはオーボエ、猫はクラリネット、お爺さんはファゴット。そして3本のフレンチホルンで狼を、猟師の撃つ鉄砲はティンパニやバスドラムと、オーケストラの楽器で演奏されています。プロコフィエフは1904年からペテルブルク音楽院で本格的に音楽を学びますが、早熟な彼にとって学ぶべきものは多くはありませんでした。初期の頃はスクリャービンの神秘主義やニコライ・ロスラヴェッツ、アレクサンドル・モソロフなどのロシア・アヴァンギャルドの作曲から影響を受けた前衛的な作品が多く、「古典交響曲」(1917年)を作曲してアメリカに亡命を決意してからは「新古典主義」と呼ばれた作品群を多く作曲しますが、帰国してからはロシアの伝承音楽と自己の音楽との融合を図り、自らの音楽の中にロシア音楽を採り入れて作品を発表していきます。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、残された録音もSP時代からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。その中でも、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との結び付きがいよいよ強固なものとなり、続々と水準の高い録音が続々と行われた1970年代は、カラヤンの録音歴の中でも一つの頂点を築いた時代といえます。ヨーロッパの音楽界を文字通り制覇していた「帝王」カラヤンとベルリン・フィルと、ドイツでの拠点を失ってしまった英H.M.V.の代わりとなったドイツ・エレクトローラとの共同制作は、1970年8月のオペラ『フィデリオ』の録音を成功させる。カラヤンのオーケストラ、ベルリン・フィルの精緻な演奏は、ヘルガ・デルネシュ、ジョン・ヴィッカースの歌唱を引き立てながら繊細な美しさと豪快さを併せ持った迫力のある進め方をしています。有名なベートーヴェンのオペラが、ただオペラというよりオラトリオのように響く。カラヤンは1972~76年にかけてハイドンのオラトリオ『四季』、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、さらにベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』という大曲を立て続けに録音しています。ドイツ、オーストリアの指揮者にとって、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスは当然レパートリーとして必要ですが、戦後はワーグナー、ブルックナーまでをカバーしていかなくてはならなくなったということです。カラヤンが是が非でも録音をしておきたいワーグナー。当初イースターの音楽祭はワーグナーを録音するために設置したのですが、ウィーン国立歌劇場との仲たがいから、オペラの録音に懸念が走ることになり、彼はベルリン・フィルをオーケストラ・ピットに入れることを考えました。カラヤンのオペラにおける英EMI録音でも当初はドイツもの(ワーグナー、ベートーヴェン)の予定でしたが、1973年からイタリアもののヴェルディが入りました。英EMIがドイツものだけでなく、レパートリー広く録音することを提案したようです。この1970年代はカラヤン絶頂期です。そのため、コストのかかるオペラ作品を次々世に送り出すことになりました。オーケストラ作品はほとんど1960年代までの焼き直しです。「ベルリン・フィルを使って残しておきたい」というのが実際の状況だったようです。この時期、新しいレパートリーはありませんが、指揮者の要求にオーケストラが完全に対応していたのであろう。オーケストラも指揮者も優秀でなければ、こうはいかないと思う。歌唱、演奏の素晴らしさだけでなく、録音は極めて鮮明で分離も良く、次々と楽器が重なってくる場面では壮観な感じがする。非常に厚みがあり、「美」がどこまでも生きます。全く迫力十分の音だ。ベルリン・フィルの魅力の新発見。そして、1976年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から歩み寄り、カラヤンとウィーン・フィルは縒りを戻します。カラヤンは1977年から続々『歴史的名演』を出し続けました。この時期はレコード業界の黄金期、未だ褪せぬクラシック・カタログの最高峰ともいうべきオペラ・シリーズを形作っています。カラヤンのレコードでは、芸術という大目的の下で「人間味」と「完璧さ」という相反する引き合いが、素晴らしい相乗効果を上げる光景を目の当たりにすることができる。重厚な弦・管による和声の美しさ、フォルティシモの音圧といった機械的なアンサンブルの長所と、カラヤン個人の感情や計算から解き放たれた音楽でもって、音場空間を霊的な力が支配しており、聴き手を非現実の大河へと導く。
  • Record Karte
  • 音楽部分を録音したのは、1956年と57年にロンドンで行われた二度のセッション。同時進行するナレーション部分は別録り。初出LPは AA-7355, 1965年12月発売。
  • JP 東芝(赤盤) AA7355 カラヤン・フィルハモニア管 プロコ…
  • JP 東芝(赤盤) AA7355 カラヤン・フィルハモニア管 プロコ…
プロコフィエフ:ピーターと狼/L.モーツァルト:おもちゃの交響曲 他
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
ワーナーミュージック・ジャパン
2013-01-23