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不朽の名演 ― アマデウス弦楽四重奏団は1948年に結成され、1987年に活動が停止するまで、約40年もの長きにわたり演奏活動を続けてきました。このモーツァルト弦楽四重奏曲のレコードは、彼らが最も充実した時期に録音されたもので、不朽の名演として知られてきたものです。モーツァルトの弦楽四重奏曲を、これほど楽しく爽快に弾く四重奏団は他にない。その楽しさを共に感じることが出来る幸せ。ぜひ、どの曲からでも気軽に聴いていただきたいものです。とりわけ「ハイドンセット」での彫琢を極めた結果獲得した大きな立体性と、同時にのどかな詩情もあわせもった表現が忘れられない。ブラームスやドヴォルザークに繰り広げた潤いに満ちた表現で、4人の演奏家仲間がモーツァルトの音楽を心から楽しんでいるのが伝わってくる。ベートーヴェンの『第九交響曲」終楽章で、弦楽器だけのアンサンブルで奏でられる箇所があるが、弦楽四重奏の形態がクラシカル(古典派)音楽の基本だから、交響曲や管弦楽曲だけでなく、是非親しんで欲しいが〝弦楽四重奏曲の最高峰はベートーヴェン〟ときいて、それも後期の作品から、いきなり始めて辛気臭いと弦楽四重奏を敬遠してしまうことになったら不幸なことです。クラシック音楽の批評や、レコード紹介を生業としていて弦楽四重奏曲を苦手とすることはないものですが、パーソナルな面が浮き出るところかもしれません。それは選者の趣味、傾向が露呈すると言い換えられるでしょうが、わたしをクラシック音楽に没入させたのが、構造美や、旋律美、清廉な弦楽四重奏団のレコードでは無しに、決然としたエロティックがあるアマデウス四重奏団のブラームス演奏でした。表面的にはキレのある演奏に思えなかったのですが、どうしてもそれで片付けられない思いで長年聞き返すレコードになってくると、極めて濃密に絶妙に絡み合う充実度の高いアンサンブルは、この団体のポテンシャルの高さを如実に表していることに虜になってしまいました。アマデウス四重奏団は、1950年代にヴィーン風の雅びた、よい意味での簡素なスタイルから始まり、60年代ころには古典的な清澄さを美点に、ロマン的な傾向に発展していったようだ。楽曲の解釈にみる高い見識とアグレッシブさ、それに美しい響きと音色、安定した録音を併せ持った、こうして遺された『モーツァルトの弦楽四重奏曲全集』は、彼らが最も充実した時期に録音されたもので、古典派弦楽四重奏曲の構成力や緊張感は損なわず、低弦をおおらかに充実させ、優雅なメリハリをもたらして、温かさに満ち溢れた、たいへん聴き応えのする演奏に仕上がっている。
Amadeus-Quartett: Violin – Norbert Brainin, Siegmund Nissel, Viola – Peter Schidlof, Cello – Martin Lovett。

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  1. JP DGG SLGM1264 アマデウス弦楽四重奏団 モーツァルト…
  2. JP DGG SLGM1264 アマデウス弦楽四重奏団 モーツァルト…

商品名JP DGG SLGM1264 アマデウス弦楽四重奏団 モーツァルト「弦楽四重奏曲14|18番」

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モーツァルトの四重奏曲は大きく分けて二つのグループに分かれるとアインシュタインは述べています。まず、前半のグループに属するのは、1772年から73年にかけて作曲されたK136〜173の間の15の作品と、10年間を隔てて再び取り組まれた弦楽四重奏曲第14番から最後の23番まで。こちらがモーツァルトの弦楽四重奏曲として一般的に認知されている作品群で、後期弦楽四重奏曲と言うときはこのグループの作品のことを言います。第14番からの6曲は、『ハイドン・セット』としてハイドンに献呈されていることからも、ハイドンの四重奏曲に接してモーツァルトを奮起させたことが明らかです。ベートーヴェンの『第九交響曲」終楽章で、弦楽器だけのアンサンブルで奏でられる箇所は弦楽四重奏曲のことを「四人の賢者による対話」と喩えられる理由が伝わるようですが、最初から4つの楽器が対等の立場で繊細で緻密な対話を展開していたわけではありません。ヴァイオリンが主導的な役割を果たし、チェロやヴィオラが通奏低音のような役割しかはたしていなかったこの形式の作品をその様な高みへと初めて引き上げたのはハイドンでした。ハイドンの「太陽四重奏曲」は、若きモーツァルトを圧倒し、初期のウィーン四重奏曲を書かせる動機となりました。ですが、モーツァルトが後期弦楽四重奏曲まで10年間空白があると等しく、「ロシア四重奏曲」を発表するのは9年ぶりのことでした。この作品はハイドン自身が「全く新しい特別な方法」で作曲されたと自負しているように、まさにこの作品において弦楽四重奏曲は「4人の賢者による対話」と呼ぶに相応しいスタイルを獲得することになり、この作品との出会いはモーツァルトにとって「芸術家しての生涯における最も深い感銘の一つ(アインシュタイン)」となりました。この「ロシア四重奏曲」6曲の完成度の高さと意義とに感銘を受け、2年あまりをかけて同じく6曲の弦楽四重奏曲(ハイドン・セット)を作曲しハイドンに献呈したのです。しかも、モーツァルトのこの10年は作曲家として完全に成熟させる歳月となっており、このような時代を画するような作品に出会って深い感銘を受けても、今度はもはや圧倒されることはありませんでした。
1948年から1987年まで、39年間という長きにわたり同一メンバーで活動を行い、豊かな響きと親密なアンサンブルが魅力のアマデウス弦楽四重奏団(Amadeus-Quartet)。ウィーンで学んでいたノルベルト・ブレイニン、ジークムント・ニッセル、ペーター・シドロフだったが、ナチのウィーン占領を逃れて英国に渡る。3人は、ひと足早くナチスから逃れ、1934年にロンドンに移住して、このイギリスの都市の音楽界の常連として活躍していた独墺流派の高名なヴァイオリニスト、マックス・ロスタル(Max Rostal, 1905.7.7〜1991.8.6)に師事し、そこでロスタルの弟子であったイギリス人のマーチン・ロヴェットに出会う。この4人で1948年に弦楽四重奏団としてデビューした。この四重奏団の美徳は、籍はイギリスに置きつつも、芸風は一貫してドイツ・オーストリア流を通したと言えよう。名前の由来も、オーストリア出身のモーツァルトからとったのも頷けるところです。芸風としては、ドイツの伝統に根ざしつつ、暖かく重厚な音色と、適度な緊張感、第1ヴァイオリンのブレイニンのロマンティックな表現に特徴がある。そのため、ドイツのロマンティックな楽団に共通する事だが、彼らの解釈と曲が合っているときにはきわめて緊張感と迫力のある名演をするが、ややマイナーな曲などの場合は凡庸な演奏をしてしまう事もある、という性格も持っていた。本盤は、古典的な清澄さを美点に、ロマン的な傾向に発展していった1960年半ばの演奏。アグレッシブさ、それに美しい響きと音色、安定した録音には、目の前で4人が弾いているかのような錯覚が起きました。このモーツァルトを愛しむように、語りかけて来る素晴らしさ。アマデウス弦楽四重奏団のレコードが、素晴らしいコンディションで楽しめるのは、ドイツ・グラモフォン社が大量にプレスしてくれていたからこそ、と感謝したい。

商品名JP DGG SLGM1264 アマデウス弦楽四重奏団 モーツァルト「弦楽四重奏曲14|18番」