IT MELODRAM  014 エーリヒ・クライバー ワーグナー・トリスタンとイゾルデ(全曲)
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IT MELODRAM 014 エーリヒ・クライバー ワーグナー・トリスタンとイゾルデ(全曲)

商品番号 34-13266
音楽は完全に興に乗ってまるで飛ぶようだが、指揮者は依然冷静で沈着である。 ― 激情も甘美の一つの味にすぎない、ワーグナーはその入れ替えを冷静な頭で構築した男だ。楽劇『トリスタンとイゾルデ』完成当時、ワーグナーは46歳になっていた。この作品は彼自身にとっても驚異であったようで、「『トリスタン』はいまだに私には奇蹟です! これほどのものが作れたのが不思議に思えてくる一方です」とマティルデ宛の手紙から、己の能力に畏怖を感じていた様子が窺える。よく知られているように、ワーグナーはドレスデン革命に参加して指名手配され、1849年からスイスのチューリヒで亡命生活を送っていた。当地で富裕な商人オットー・ヴェーゼンドンクの援助を受けたワーグナーは、やがてヴェーゼンドンク夫人マティルデと親密な仲になる。2人の秘められた関係は、楽劇『トリスタンとイゾルデ』のみならず、『ヴェーゼンドンク歌曲集』や楽劇『ワルキューレ』の第1幕を生む芸術的土壌になった。楽劇『トリスタンとイゾルデ』は1857年10月から1859年8月にかけて作曲された。台本は、ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクの叙事詩(12世紀頃)から得たインスピレーションをもとに、ワーグナー自身が書き上げた。トリスタン伝説をオペラにする計画は元々ロベルト・シューマンが練っていたが実現せず、その弟子カール・リッターが戯曲を書き、リッターの友人だったワーグナーに刺激を与えたようである。この偉大な作品が切り開いた音楽的地平はかなり広大だが、主な特徴としては、ライトモティーフの使用、無限旋律の使用、半音階とエンハーモニックの多用、頭韻と脚韻の併用を挙げることが出来る。前奏曲冒頭の「トリスタン和音」は無調音楽への扉を開いた、ともいわれている。ただ、最も大事なことは、これらが私たち人間の「愛」と「死」を表現するために用いられている点にある。そして、その試みは完全な形で成功した。もはや完全体の『トリスタンとイゾルデ』に嵌ったらワーグナーの世界から逃れることは出来ない。
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エーリヒ・クライバー(Erich Kleiber, 1890年8月5日 - 1956年1月27日)は、20世紀の最も重要な指揮者の一人だ。彼の小さな体は、彼の偉大で圧倒的な個性とはそぐわない感じだった。彼はあらゆる音楽の才能をすべて持っていたのだ。彼はちょうど、英デッカでリヒャルト・シュトラウスの楽劇「バラの騎士」を録音したところだった、これは誰もが最上級と認めるものだ。彼が我々と行った、1955年のモーツァルトの偉大な傑作の録音は、私の記憶の中で最高のものである。それはカタログから消えたことがない。文字どおり何ダースもの〝フィガロ〟のこれに続く録音は、この偉業の素晴らしさを超えていない。録音の実際のテイク数は、この短いウィーンの幸せな期間に我々が録音した全ての他のオペラのどれよりも少ない。それはクライバーの準備が細心で、彼のコントロールが完全であったからだ。そうはいうものの、我々は毎夜のように夜なべ仕事だった、ステレオとモノの録音の編集を、熟練したエンジニア Cyril Windebank、Roy Wallace それに Jimmy Brown と行なっていた。時間は飛ぶように去った。しかし、録音はほとんど大失敗に終わった。〝フィガロ〟の最後には、全登場人物が〝Corriam tutti〟をアップビートのフィナーレでユニゾンで歌う。そうしてチャールズ・オズボーン(Charles Osborne, オーストラリアのジャーナリスト、評論家)の言う『人間性、喜ばしいユーモアと大人の叡智に満ちたオペラ』の終幕となるのだ。不幸なことに、バス-バリトンのフェルナンド・コレナ Fernando Corena が〝Corriam tutti〟 ― 意味は『みんな走れ』だ ― の呼び出しに注意を払わず、最後のアンサンブルが録音される前にイタリア行きの列車で帰ってしまったのだ。クライバーはフィナーレでコレナがいないのに気づいてひどいショックを受けた。彼は私に、全員が揃わない限りオペラのリリースは許さないと言った。彼は不可能事を要求していたのだ。そこら中で怒りの歯ぎしりがあり、その問題は解決できないままとなった。そして自然の力が介入した。一年後にクライバーが時ならぬ死を迎えたのである。私は未亡人にそのような傑作の録音を棚晒しにすべきでないと、説得することができた。幸運なことに彼女は同意し、この名手による録音はそれから何千もの音楽愛好家の宝となった。コレナがいないことには気が付かないし、幸運なことに音楽的に重要性はないのだ。
父子して知名度の高い指揮者にして、この父子ほど同じレパートリーの対比が鮮やかに違っていることはない。言うなれば親父は尊大なクライバーだ。かみ剃りのような溌剌とした音楽さばきが、速さという質感の上に乗る。激情も甘美の一つの味にすぎない、とでも証明しているようなエーリヒ・クライバーのワーグナー。テンポの変動も所々あるが、それすら緻密な計算を感じさせられる効果の自然な的確さがある。監督者気質な捌きであり、音楽は完全に興に乗ってまるで飛ぶようだが、指揮者は依然冷静で沈着である。大きな音楽捌きから節々の造形まで冷静な批判的着実な計算のもとで旋律を造形するような、そういうタイプの指揮者だったのだろう。1890年生まれのエーリヒ・クライバーは、1871年生まれのウィレム・メンゲルベルクの背中を直視していたからだろうか。冷静を保ち、音楽自体から距離をとるようなエーリヒ・クライバーだが、彼の繰り出す歌と言えば、場面によってはこれがまたひどく個性的で、才能のだけでこうも器用にいろいろ出せるとは思えないものである。イゾルデ:ヘレナ・ブラウン、トリスタン:ギュンター・トレプトウ、マルケ王:フェルディナント・フランツ、ブランゲーネ:マルガレーテ・クローゼ、クルヴェナル:ルドルフ・グロスマン、メーロト:アルブレヒト・ピーター、羊飼い:パウル・クーエン、舵取り:フリッツ・リヒャルト・ベンダー、若い水夫:リヒャルト・ホルム、エーリヒ・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団、合唱団。1952年7月20日、ミュンヘンでのモノラル・ライヴ録音。1980年初発、4枚組。

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