GB RCA SB6527 ハイフェッツ&サージェント ブルッフ&モーツァルト・Vn協奏曲
通販レコード→英ダークレッド・ラベル銀文字盤 LIVING STEREO デッカプレス

GB RCA SB6527 ハイフェッツ&サージェント ブルッフ&モーツァルト・Vn協奏曲

精巧無比、人間の限界を極め、ヴァイオリン演奏に特化した機械人形。 ― ハイフェッツの演奏の特異性については、完璧・精巧無比・人間の限界を極めた、など様々取り沙汰されているが、情熱と厳格さが混淆していることを説明する最もよい例が、本盤。20世紀初頭頃までのクラシック音楽の演奏には曖昧さが許され、またかえってそれをよしとする風潮があったと言える。クライスラーやエルマンの録音からは、技術的問題も含め、譜面に指示のない表現をよく行うことに気付く。その良し悪しについてはひとまず置いておき、当時は奏者の個性を前面に出す事が重んじられていたようである。これに対してハイフェッツは、冷静かつ正確に、一切の妥協を排除した解釈を行なった。現代では作曲者の意図を最も適切に表現する事が重んじられている。鋭い運弓と力強いヴィブラートによって創り出されるその音色は非常に特徴的である。演奏家それぞれの個性などという次元ではなく、ハイフェッツがヴァイオリンを奏でることで、別質の新しい楽器がそこにあるかのごとく錯覚を起こしそうになる。その余りに強烈な個性が本盤に宿っている。如何にも完璧・精巧無比・人間の限界と云った言葉が似合う演奏ですね。本盤は1963年発売。英デッカ・プレス盤。
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20世紀ヴァイオリン演奏史に巨大な足跡を残したヤッシャ・ハイフェッツ(1901〜1987)はアメリカで活躍していた名手が集い、米国最大手のレコード・レーベル、LIVING STEREO を持つラジオ放送局の専属アーティストとして米 RCA のリビング・ステレオ時代の優れたアナログ録音で多くの名演奏を残した。幸運なことに彼の最円熟期はちょうど米 RCA がステレオ録音を実現させた1950年代~60年代と重なり、当時としては最新鋭の技術と機材によって、ハイフェッツの貴重な演奏が鮮明なステレオ録音として残されることになりました。ハイフェッツは1963年10月には《モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」》をハイフェッツが自ら指揮しつつ弾いて、自在感にあふれ、しなやかな流動性に貫かれた美演を録音している。深溝ラベルが初出。米国で LIVING STEREO シリーズとして発売された人気盤。しかし、魅力は音質だけではない。英国のオーケストラの緻密で繊細な伴奏と、ハイフェッツの名人芸とのコラボレーションで完成度の高さは第一級。ハイフェッツの録音の中でも、クセの無い滑らかなヴァイオリンの音色が良い。
批評家も生き馬の目を抜く商売だから、ハイフェッツを批評しようとして結局他者と同じことを書かざるをえないと拒絶反応を示してしまうものです。それほどハイフェッツの音楽は単純な動機で成り立っている。ハイフェッツは優れた技巧を駆使し早いテンポで明確流麗に音楽を弾き込んでいく人だった。過剰な程にかけられるヴィブラートやポルタメントは柔な感傷性を排した機械人形といえる精緻な音色を表現していく。デビューのレコードを聴いたクライスラーの発言通りで、それは生涯変わることなかった。ハイフェッツが、その強力なテクニックを駆使して早いテンポで、ぐいぐい弾いて行く様はあまりにも明快で、サー・マルコム・サージェント指揮するニューシンフォニーオーケストラ・ロンドンは伴走者として脇を固め、完全に音楽に嵌った感じで完璧なアンサンブルのもと一体となって燃え上がり激走する。協奏曲の分野でのそういう演奏は、曰く、技巧や音ばかり磨かれて、曲の深い精神性が無視されている、優雅な面が軽んじられている、と戸惑ったのだろうか。否、彼らがドイツ・オーストリア系でない奏者であることも手伝って、評論の指標がなかったからではないか。本盤と併せて《モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」(1963年10月6日ロサンジェルス、スコティッシュ・ライト・オーディトリアム録音)》を聴けば、そういう反応もあり得るかという感じである。“室内管弦楽団”と記名されただけの匿名オーケストラを、ハイフェッツ自身が指揮をしている。この演奏、一般的にはあんまり良い評判は聞かない。ハイフェッツ好き同士でも評価が分かれる。カミソリに触れてスパっと切り口が開き透明な赤い血が滲み出てくるような、紙で切った時の切れていることに気が付かないぐらいの、いわゆるモーツァルト的な柔らかく優美な音楽ではない。むしろ全体としては軍隊の行進が目に浮かぶ機械的で、キビキビとした推進力がある。その清新で瑞々しいスピード感と強靭なリズム感。なんて胸を張った勇ましく雄弁な演奏なことか。ハイフェッツの解釈と同質の伴奏をするオーケストラ。バーンスタインがグレン・グールドと共演したブラームスのレコードの冒頭に、これから演奏されるブラームスは私、バーンスタインの本位による演奏ではありませんといったナレーションが入っていたのは同じ頃の発売ではなかったか。ハイフェッツは2台ヴァイオリンの協奏曲をひとりで録音したこともあったが、自分の意図を汲み取ってくれる程度の、つまらない相手を探すより自分で演奏した方がスコアに書かれた通りを実現できる。演奏者同士の対話や感情を捨てること、そうすることで本当にモーツァルトの音楽が輝くのだ。
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