34-270

商品番号 34-270

通販レコード→英国レッド・レーベル銀文字盤

私の生涯に出会った天才はチャーチル、アインシュタイン、そしてハスキルだけだ ― 世界的喜劇映画の創出者にして名優のチャールズ・チャップリンをして言わしめたクララ・ハスキルは天賦の才に恵まれながら、病と闘いながらも演奏活動を続けた孤高のピアニスト。ルーマニア生まれで、芸術・文化の中心パリでピアノを学びました。若くて美しい天才的なピアニストが華々しく活躍する様を想像しますが、実は闘病生活を虐げられていたということです。病気との戦いは彼女の人生を大きく支配するものとなりました。病気に加えて、さらに第二次世界大戦はユダヤ人であるハスキルに過酷な運命をもたらしました。というような彼女の生き様から、逃れられない運命に直面したときの人間の強さと孤独感を聞き取ることが出来ます。また、同じルーマニア出身のディヌ・リパッティとは深い友情に結ばれていたようです。しかし、そのリパッティの天才は若くして白血病に奪われてしまいました。そうした晩年の演奏からは限界に追い込まれたときの人間の本当の友情、優しさを感ずることも出来ます。このハ短調の協奏曲は、同じ調性のモーツァルト・ピアノ協奏曲第24番に似た印象的なオーケストラの導入部で始まる。第1楽章はハ短調という調性が持つ劇的な悲劇性というよりは、まるで静かに悲しみを堪えているかのように聴こえる。第2楽章も穏やかに歌うし、第3楽章もロンドも勢いに任せて突っ走るような気配は皆無。やや遅めのテンポをとり、オーケストラ、ピアノともに実に丁寧に弾き進めていく。自分の勝手気儘で何かをつけ加えるというのではなく、作品をして自ら語らしめるのを演奏の中核としている女流ピアニストの優美で繊細な演奏。ハスキルの演奏が訴えかけてくるものは、作曲家の作品にこめた「創造の息吹き」の自然な流れである。オーケストラもピアノも一つ一つのフレーズをかみ締めるように丁寧に扱っているといえばいいだろうか。もともとハスキルが持っていた資質に、イーゴリ・マルケヴィッチがそれを引き出すようなサポートしているのだろう。
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イーゴリ・マルケヴィチ(1912~1983)はキエフ生まれ、貴族だったために家族は、ロシア革命を逃れスイスに移住、音楽の教育はパリで受けたという国際派の大指揮者。妥協のない性格のため実力の割にはポストに恵まれず、ラムルー管弦楽団やモンテカルロ歌劇場管弦楽団、ハバナ・フィルハーモニー管弦楽団といったニ流どころのオーケストラの音楽監督に甘んじ、1970年代以降はフリーの立場で世界中のオーケストラに客演する傍ら、ベートーヴェンの交響曲の校訂に心血を注ぎました。録音は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やシンフォニー・オブ・ジ・エアー、常任指揮者を務めていたロンドン交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、フランス国立放送管弦楽団といった名オーケストラを振って数多くの録音が残っています。マルケヴィッチ&ラムルー管の音色は柔らかく穏やかではあるが、音の解像度が高く清々かつ堂々と響く。本盤は低音部の安定した響きも十分だし、音場の広がりも申し分ない。もちろんハスキルのピアノの音色も極上の美しさだ。
ヨーロッパ屈指の家電&オーディオメーカーであり、名門王立コンセルトヘボウ管弦楽団の名演をはじめ、多くの優秀録音で知られる、フィリップス・レーベルにはクララ・ハスキルやアルテュール・グリュミオー、パブロ・カザルスそして、いまだクラシック音楽ファン以外でもファンの多い、ヴィヴァルディの「四季」であまりにも有名なイタリアのイ・ムジチ合奏団らの日本人にとってクラシック音楽のレコードで聴く名演奏家が犇めき合っている。英グラモフォンや英DECCAより創設は1950年と後発だが、オランダの巨大企業フィリップスが後ろ盾にある音楽部門です。ミュージック・カセットやCDを開発普及させた業績は偉大、1950年代はアメリカのコロムビア・レコードのイギリス支社が供給した。そこで1950年から60年にかけてのレコードには、米COLUMBIAの録音も多い。1957年5月27~28日に初のステレオ録音をアムステルダムにて行い、それが発売されると評価を決定づけた。英DECCAの華やかな印象に対して蘭フィリップスは上品なイメージがあった。
1959年録音。
GB PHIL SFM23008 ハスキル ベートーベン・ピアノ協奏…
GB PHIL SFM23008 ハスキル ベートーベン・ピアノ協奏…
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