34-18045
通販レコード→英プラム・ラベル銀文字盤

GB PHIL CFL1000 トーマス・ビーチャム モーツァルト・レクイエム

商品番号 34-18045
趣味人だからこそのモーツァルト空間 ― 渋い中にもビーチャムのセンスが光っています。》ロンギヌスの槍が重要なキーワードのオペラの話をしていたら、日本人に西洋の宗教音楽がわかるはずがない、そう男に言われた。日本人が全員仏教徒ではないし、あなたは違う宗教観がなのだろうか。アメリカ人が月面歩き回った時の各宗教の反応ってのがちょっと調べてみたいという声も有る。その宗教に対する姿勢が、敬虔な演奏家には大きなフィルターとなるのかな、と感じたのがこのレコードの演奏だった。あの強大な存在である怪物が至って真面目な音楽を聴かせてくれる。ただし、そこは独墺系の演奏家ほど重厚ではありませんが、渋い中にもビーチャムのセンスが光っています。ビーチャムならディーリアスという図式が強いですが、モーツァルトを聴いて下さい。もしビーチャムをまだ知らないのでしたら。大富豪の家に生まれたビーチャムは、その持っていた財力をすべて大好きだった音楽に注ぎ込むことのできた幸福な人だった。彼は自身の財産を投じてオーケストラや合唱団、歌劇組織を創設したが、それが現在でも活動を続けているロンドン・フィルやロイヤル・フィル、ナショナル・オペラだ。ビーチャムは音楽を正式に学んだことは一度としてなく、全て独学だったが、それでいて、指揮者として楽員に心底尊敬され、どちらのオーケストラもイギリス屈指のオーケストラに育て上げた。ここは大事なところ。趣味の拡大ではなくて天性の音楽家が、たまたま大金持の家に生まれ、好きなだけ使えたお金を「正しく」使ったということだ。半世紀以上にわたって活動を続け、彼の「財力と指揮活動」によってイギリスに紹介された作品も数多い。いや、偉大な趣味人だったのかも。ビーチャムは職業指揮者ではないので、ビーチャムの音楽観でまとめられた録音ばかりだ。楽曲の本質を掴んで、作曲家の意図を汲みとって指揮していますが、これが聴いていて驚愕の連続。モーツァルトのレクイエムは演奏するスコアの版が話題となりますが、その興味さえ刺激してくれる。ベースはジェスマイヤー版なのだが、オリジナルの編成にないホルンやオーボエなども加えている。しかも長大なトロンボーン・ソロで有名な「トゥーバミルム」では途中でトロンボーン・ソロをチェロのソロに変えている変わり種。批評家が何を書こうが怖くなかったし、人気と支持を受け続ける必要などなかった。自分が育てた庭の果実を味わうだけで良かったのだから。そうした指揮者の残したものだからこそ特別な空間を生み出すモーツァルトで、その伸び伸びとした音楽を満喫できる。私財を投じたオーケストラだけに、文字道理贅を尽くしたレクイエム。モーツァルトの青春がそのまま時空を超えて現代に伝わってくる。こんな感動を経験したら、誰でもビーチャムのファンになるだろう。
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