34-19355
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GB EMI SLS955 オットー・クレンペラー モーツァルト・フィガロの結婚(全曲)

商品番号 34-19355

モーツァルトが伝えたかったことを解釈して聴かせるのではなく、現代社会を投影しようとした。 ― オペラの観劇が日常的な英国ならではの演奏。

不屈の指揮姿が伝説の、オットー・クレンペラーは他の多くのドイツ系指揮者同様、オペラ指揮者として、様々な歌劇場で指揮をしている。しかし、不幸な亡命生活から残念ながら本盤のモーツァルトの一連のオペラと、ワーグナーのオペラ「さまよえるオランダ人」位しか全曲の演奏記録は残されていない。ただ晩年の演奏だけに、これらのオペラの録音は、新しい同曲の演奏が出てきても決して忘れ去られることのないと思う。
しかも、この《フィガロの結婚》の録音ではオーケストラの編成を減らしているので、両翼配置も相まってピリオド演奏の先駆だったとも言える。ただ、テンポは極めて遅い。でも、そのことでモーツァルトが凝らしたメロディーの魅力が際立って聞こえる。
第一と第二のヴァイオリンを並べた配置が戦後のオーケストラ演奏で大半を占めるようになったのは、ハリウッド映画「オーケストラの少女」の大ヒットによるところが大きい。そのストコフスキー配置の牙城、アメリカのクリーヴランド管弦楽団にクレンペラーが客演したとき、オーケストラのなれない両翼配置を強要している。試してみたら、これはいいと楽団員も面白がったようだが、ヴァイオリンの左と右の音楽の葛藤が快い緊張感をもたらしてくれることになる。
クレンペラーの創り出す音空間は柔らかな響きで、ゆったりと深遠なフィガロの世界を垣間見させてくれる。この全曲盤に際して、素晴らしいところは、序曲の弦楽器のレガートの美しいこと。また巨大なスケールは、このオペラがブッファ的なものではなく、壮大な物語の始まりなのだということを宣言しているようで、幾分冷ややかな表現ながら、毎度のごとく音楽は冷たい色のまま白熱して行く。
イギリスEMIのオペラのレコードは、歌手と演奏を最上のコンディションでオペラを楽しめる。また、このような豪華メンバーを揃える事は現在では不可能。オペラが日常の中にあるから、ドラマの成り行きに気を取られない。
ディートマル・ホラント(Dietmar Holland)という学者はクレンペラーはここで、一般にモーツァルトの音楽と結びつけて考えられているもの全てを徹底的に排除してしまっている。と論じているが、《フィガロの結婚》を題材にしてモーツァルトが表現したかったこと、そのモーツァルトの音楽を再構成し、現代人向けの《フィガロの結婚》に結実しているレコードだからこその芸術だ。
このシンフォニックなクレンペラーの音作りが評判となり、後に「ドン・ジョヴァンニ」、「コシ・ファン・トゥッテ」に繋がったのは云うまでもない。DECCAやDGGと違ったオペラのレコードの楽しみ方がEMI盤の面白みだ。

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