34-25534

商品番号 34-25534

通販レコード→GB DARK GREEN STAMP DOG 盤

アドニの瑞々しい感覚が全編で聴きとれるメンデルスゾーン ―  マウリツィオ・ポリーニがショパン・コンクールで優勝後、英EMIに一時期録音しただけで姿をくらました。数年後にドイツ・グラモフォンで再登場してくるわけですが、その間、英EMIレーベルでショパン演奏を盛んだったピアニストが居た。お馴染みのミシェル・ベロフとジャン=フィリップ・コラールのディオ・ピアノ録音を筆頭に、クリスティーナ・オルティズといった、1970年代の英EMIは、若手ヴァイオリニストやピアニストの紹介に熱心だった。特にピアニストは鬼才として名前の残る演奏家が多い。現在も老ピアニストが活躍しているドイツ・グラモフォンのピアニストたちと比べると面白い傾向だ。アドニも録音が盛んだった。昨今クラシック・ソムリエや音楽CD検定が盛んだ、その設問に「32歳でコンサート活動をやめ、レコーディングに専念し、LP90枚以上を録音。メディアを活用し、録音芸術に新時代を開いたカナダ出身の鬼才ピアニストといえば?」と有る。もちろん、グレン・グールドですが、選択肢に「A.グレン・グールド、B.ダニエル・アドニ、C.サンソン・フランソワ、D.ディヌ・リパッティ」と名前が上がっているほど。1951年12月6日イスラエル生まれのユダヤ人ピアニスト。12歳でデビューして、ヴラド・ペルルミュテールに師事している。これまでに世界各地で演奏活動を行い、世界の主要な指揮者やオーケストラと共演してきた。来日して後進の指導には熱心だが、メジャーレーベルにレコーディングしていたのはこの時期だけのようだ。EMIレーベルのピアノ録音では要所要所に彼の録音が目に留まる。「ショパンのピアノ名曲集」に欠かせぬだけに、ショパンの録音もひと通り残された。ほかに英EMIに録音したメンデルスゾーンの「無言歌集」のアルバムは定評のあったものです。「無言歌集」は、全8巻48曲に及ぶメンデルスゾーンの親しみやすい珠玉のピアノ作品集です。アドニの瑞々しい感覚が全編で聴きとれるメンデルスゾーン。この「無言歌集」は最初の曲「甘い思い出」を、ゆったりと、穏やかに弾き始めめます。これを聴き慣れると、他のピアニストの多くが、あっさりと味気なく感じるほどです。全体を通してゆっくりめで抒情的に聴かせてくれます。アドニの作為のない淡々とした表現は、このメンデルスゾーン作品にピッタリ。優しい音色がベースながら、時折見せる激しさとのコントラストが実に美しく、爽やかな詩情を豊かに描き出しています。ダイナミック・レンジの広い録音も優秀。程無く、ポリーニがドイツ・グラモフォンで人気となり、マルタ・アルゲリッチも登場。アドニはレコーディングから遠のいていった。
1972年録音。3枚組。
GB EMI SLS862 ダニエル・アドニ メンデルスゾーン:無言…
GB EMI SLS862 ダニエル・アドニ メンデルスゾーン:無言…
GB EMI SLS862 ダニエル・アドニ メンデルスゾーン:無言…
メンデルスゾーン:無言歌集全曲 他
アドニ(ダニエル)
ユニバーサルミュージック
2013-05-29

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巧みな装飾音が優美な雰囲気を醸し出す〈春の歌〉や、舟歌特有のリズムによる伴奏形を特徴とする〈ヴェネツィアの舟歌〉。歌曲のような親しみやすい旋律によって、メンデルスゾーンが折にふれて書き綴った全8巻48曲の《無言歌集》(Songs without words)は、ロマン派初期に見られるピアノ小品集を代表する作品です。1831〜1845年。メンデルスゾーンの代表作で、ロマン派のピアノ小品の傑作の1つ。メンデルスゾーン(1809~47)はショパンやシューマン、リストらロマン派の作曲家と同世代で、ピアノが飛躍的に普及し、傑作ピアノ曲が数多く作られた時代に活躍した。48の小品からなり、作品番号ごとに8巻にまとめることができるが、単独で演奏されることが多い。歌曲的な旋律とそれを支える伴奏からできている〝無言歌〟というジャンルは、メンデルスゾーンのこの作品によって確立した。〝無言歌〟は当時から絶大な人気を博し、後世にも大きな影響を与えたが、「無言歌の作曲の際に何を考えていたのかと問われるならば、それは、そこにある歌そのものだと答えよう」というメンデルスゾーンの言葉のとおり、「ピアノによる歌」であることに、大きな特徴がある。歌詞のない世界を聴衆に届ける器楽奏者にとって『無言歌』は永遠のテーマ。通訳も字幕も必要ない点は強みですが、もしかしたら聴き手それぞれが違う物を受け取っているのではないかと不安に駆られることもあると、洩らしている演奏家もいます。ピアノ学習者にとっても、鑑賞者にとっても、標題は指針となる。すべての曲に標題がついているがメンデルスゾーンがつけたものは「狩人の歌」や、3曲ある「ヴェネツィアの舟歌」など10曲ほどで、ほとんどは出版社がつけたものである。