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GB EMI SLS794/12 ダニエル・バレンボイム ベートーヴェン・ピアノソナタ全集
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《若々しく、堂々とした音楽性が発揮される彼の演奏スタイルには色々な面で学ぶことがある。 ― バレンボイムはピアノを弾いているのではなく、音楽を弾いている。》シュナーベル記念のベートーヴェン・メダルを受けたというだけに、バレンボイムは、ベートーヴェンに特に自信を持っているのだろう。若いに似合わず、なかなかしゃれた味を出している(門馬直美) ― 近年は指揮活動が中心となっているバレンボイムが、ピアニストとして充実した活動をしていた時期に録音した1枚。「トリスタンを振らせたらダニエルが一番だよ」とズービン・メータが賞賛しているが、東洋人である日本人もうねる色気を感じるはずだろう。だが、どうも日本人がクラシック音楽を聞く時にはドイツ的な演奏への純血主義的観念と偏見が邪魔をしているように思える。若き日のバレンボイムの情感豊かでメリハリとパンチの効いたピアノ、透明感のある響きが美しく、すっきりとした仕上がりとなっている。 けっこう自由なアプローチも、感興重視のバレンボイムならでは若き日の有名な演奏。古典派作品というにはあまりにもロマン的なスタイルですが、情感豊かでレンジの広い表現には独特の魅力があります。解釈の斬新さと演奏の集中力という点では「内向的情熱」とでもいった熱気をただよわせて、フルトヴェングラーやクレンペラーが瞠目した早熟性が垣間見れます。バレンボイムは演奏家である前に、独自の音楽観を持った音楽家であり、楽想そのものの流れを掴むことのできる稀有な才能の持ち主であろう。ピアニスティックな表現も大切なことだとは思いますが、彼の凄さはその反対にある、音楽的普遍性を表現できることにあるのではないか。1966年から1969年にかけてという時期をジャクリーヌ・デュ・プレと共に、苦悩したものがベートーヴェンの後期の作品とシンクロするものがあったのでしょう。バレンボイムの演奏の特色として顕著なのはテンポだ。アンダンテがアダージョに思えるほど引き伸ばされる。悪く言えば間延びしている。そのドイツ的重厚さが、単調で愚鈍な印象に映るのだ。その反動のように終楽章の破綻を恐れないおもいっきりの良さ。血の気の多さ、緊迫感のようなものが伝わってくる背筋にぞっとくるような迫力があります。この、若い時のレコードでも変わらないところで、このロマンティックな演奏にこそバレンボイムを聴く面白さがあるのです。
YIGZYCN
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