GB EMI  RLS740 ルドルフ・ケンペ ワーグナー・マイスタージンガー
通販レコード→英ブラック・ドッグ・スタンプ盤[オリジナル]

GB EMI RLS740 ルドルフ・ケンペ ワーグナー・マイスタージンガー

モノラル録音で残ったのは幸い ― ポピュラー音楽もレコード録音するほど当時、大人気のテノールで若くして交通事故で他界したルドルフ・ショックの絶唱が聴ける。》ヨーロッパでは、この演奏を《名歌手》の最高の録音に挙げる人もいるくらい。1955年当時の最高の人材を集めていているのは当然、英EMIには多数の世界的な名歌手たちがレコード録音の専属契約をしていた。同曲を録音をしても数年間は発売することは出来なかったので、オペラを全曲録音しても抜粋盤を発売しておいて、再発盤として全曲盤が初めて発売されるケースは多かった。ワーグナーの楽劇《ニュルンベルクの名歌手たち》はモノラル時代に、このケンペ盤がベルリン・フィル録音で発売され、ステレオ時代になってからカラヤンの名盤がドレスデン録音だったのは幸いだった。ワーグナーの音楽でも、楽劇本体と管弦楽曲の間には大きな隔たりがある。ヴェルディとベートーヴェンと、それにワーグナーをレパートリーの三本柱としていたが、トスカニーニのワーグナー録音となると管弦楽曲集こそ多く残っているが、ワルキューレの第1幕第3場や、神々の黄昏の序幕のジークフリードとブリュンヒルデのやり取りが残っている。いずれも空前絶後である。しかし正銘の全曲ということとなれば、結果的に『ニュルンベルクのマイスタージンガー』だけとなった。トスカニーニは1898年31歳の時にはイタリア・オペラの総本山とも言うべきミラノ・スカラ座の指揮者に迎えられます。そのデビュー公演でワーグナーを取り上げ「ニュルンベルグのマイスタージンガー」を1ヶ月以上に亘る猛烈な訓練の後に演奏、この公演はスカラ座の歴史に残る程の大成功を収めワーグナー指揮にみせるトスカニーニの才能のほどを内外に確認させる事となった。その評判でワーグナーの企みと遺言から生まれた保守色の強いバイロイト音楽祭に呼ばれた初めてのイタリア系指揮者であり、初めての外国人指揮者であったトスカニーニであっただけに残念だ。フルトヴェングラーもワーグナーを数多く指揮しているが、スタジオでの正規のレコードのための録音は「トリスタンとイゾルデ」と「ワルキューレ」である。「ニーベルングの指環」が2種、戦時中の演奏でありながら気宇雄大な音楽性を示す「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が残された全曲盤の録音だがオペラ上演の録音だ。演奏会形式のライヴ録音とはいえ、トスカニーニのレコードの多くが放送用にもライヴ録音したものがレコード発売されている。であるがために中断しないで演奏に没頭している。ルドルフ・ケンペが本盤を録音した55年から、ようやくレコードがLPレコードにビジネスの軸足が移っていくタイミングで、まだ録音環境は5分から10分ほどで録音テープを取り替えていた、緊張感の維持を細切れのスタジオ録音で、これだけの引き締まったスタイルで様々な歌手に余裕を持って歌わせるケンペの手腕は端倪すべからざるものがある。この盤でのケンペの構成感の明晰さ、棒さばきの確かさはすばらしい。His Master's Voice ALP 1506/10 を原盤にしています。
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