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GB EMI HQS1107 バレンボイム ベートーヴェン・ピアノソナタ1番/17番/20番

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《華麗ではないが、多様をきわめるテクニック。 ― 崇高なまでの詩情と壮大な構築は、24歳という若い年輪をすっかり忘れさせてしまった。》シュナーベル記念のベートーヴェン・メダルを受けたというだけに、バレンボイムは、ベートーヴェンに特に自信を持っているのだろう。若いに似合わず、なかなかしゃれた味を出している(門馬直美) ― 近年は指揮活動が中心となっているバレンボイムが、ピアニストとして充実した活動をしていた時期に録音した1枚。「トリスタンを振らせたらダニエルが一番だよ」とズービン・メータが賞賛しているが、東洋人である日本人もうねる色気を感じるはずだろう。だが、どうも日本人がクラシック音楽を聞く時にはドイツ的な演奏への純血主義的観念と偏見が邪魔をしているように思える。ベートーヴェンは固定的な印象を譜面に残していない。同じ譜面を演奏して個性の出る曲こそ、クラシック音楽を楽しむ魅力だ。しかし、本盤の3曲中の中心である《ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 作品31第2》には、弟子のアントン・シンドラーがこの曲とピアノ・ソナタ第23番の解釈を尋ねた時、ベートーヴェンが「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と答えたとされるところに由来している。然るに《テンペスト》の愛称があるが、而してシェークスピアの小説を表現した音楽なのか。ベートーヴェンの創作活動において、ピアノ・ソナタは最も重要なジャンルの一つ。19世紀前半におけるピアノという楽器の発展の中で、彼はピアノ音楽の新しい表現方法を追求しました。“ピアノの新約聖書”と称される32曲のピアノ・ソナタは、ピアニストのみならず、ピアノに関わる全ての人間にとって避けて通ることができない、今なお燦然と輝く存在です。『テンペスト』の名で知られる第17番は、3楽章全てがソナタ形式というユニークな構成。第1楽章はテンポや強弱の急激な変化や朗詠調のレチタティーヴォなど、まるで朗読を聞いているような大胆な楽想が特徴的。抒情的な第2楽章を挟んで、第3楽章は騎馬の足音から思いついたと言われる16分音符の音型が内なる情熱を孕みながら全編を疾走する、暗い劇的な音楽が本当に美しい。第20番は、出版こそ1805年ですが、作曲自体は1795~96年頃、つまりOp.2(第1~3番)の頃と推定されています。ピアノ学習者は比較的初期の段階で必ず一度は通る楽曲。堂々とした明快な第1楽章とメヌエットの第2楽章で構成。第2楽章の旋律は、後に七重奏曲Op.20の第3楽章の主題にも転用されました。決して初心者の練習用ではない芸術的な香りを持つ佳品です。改めて認識するのは、ベートーヴェンが優れたメロディーメーカーであったこと。全曲、美しい旋律と豊かなハーモニーが堪能できます。若き日のバレンボイムの情感豊かでメリハリとパンチの効いたピアノ、透明感のある響きが美しく、すっきりとした仕上がりとなっている。 1966年から1969年にかけてという時期をジャクリーヌ・デュ・プレと共に、苦悩したものがベートーヴェンの後期の作品とシンクロするものがあったのでしょう。バレンボイムの演奏の特色として顕著なのはテンポだ。アンダンテがアダージョに思えるほど引き伸ばされる。悪く言えば間延びしている。そのドイツ的重厚さが、単調で愚鈍な印象に映るのだ。その反動のように終楽章の破綻を恐れないおもいっきりの良さ。血の気の多さ、緊迫感のようなものが伝わってくる背筋にぞっとくるような迫力があります。この、若い時のレコードでも変わらないところで、このロマンティックな演奏にこそバレンボイムを聴く面白さがあるのです。
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