34-17607

商品番号 34-17607

通販レコード→英グリーン・アンド・ゴールド盤 NOT FOR SALE

明るい音色と端正な演奏ぶり。 ― レオン・グーセンス(1897〜1988)は、ベルギー系イギリス人の作曲家・指揮者ユージン・グーセンス Sr.を父とし、やはり作曲家・指揮者のユージン・グーセンスの弟で、妹のマリー、シドニーは共にハープ奏者という音楽一家に育ち、クイーンズホール管弦楽団やロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の主席オーボエ奏者を勤めた名手です。フバイ門下の3人を中心に結成されたハンガリーのレナー弦楽四重奏団との、モーツァルトのオーボエ四重奏曲の名演で知られた、SPレコード時代から知られていました。両者の競演はモーツァルトのヘ長調の四重奏で見事に融合している。レナー四重奏団も旋律線を甘美に歌い上げる団体ではあったが、グーセンスのオーボエは明るい音色と端正なスタイルに同調したのだろうか、レナーの演奏がいつになく爽やかな演奏に聴こえて、珍しい味わいとなっていた。同じモーツァルトのクラリネット五重奏曲を、レナー四重奏団はイギリスの近代的クラリネット奏法の創始者であるチャールズ・ドレーパー(1869~1952)と共演しているが、こちらはレナー特有のポルタメントもたっぷりとかけて、クラリネットの深い響きに呼応するように演奏していて、グーセンスとの競演とは違った響きを生み出している。2台のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの四つの楽器で綿密な音楽を紡ぎだすのが弦楽四重奏だと、現代では説明されるが、リーダーのイエネー・レナーは、高い品格と、優美にして流麗なボウイングの美しさで他を伴奏者として、ソロを際だたせるスタイルで演奏するヴァイオリニストだった。第2ヴァイオリンが抜けたオーボエとの四重奏曲と、弦楽四重奏のユニットにクラリネットが加わっている五重奏曲の場合、バロック・スタイルのオーボエと弦楽のための室内楽曲と、ブラームスの名曲など、ロマン派音楽に顕著になるクラリネットと弦楽四重奏との室内楽曲に、確たる線引があったのか、グーセンスの個性との融合性があったのか。レナー四重奏団、そして、グーセンスの録音がすくないのが残念だ。しかし、基本的にオーケストラ楽器であるオーボエの、ソロの面での可能性を追求した演奏家として、20世紀前半を代表する存在である。多くの作曲家に作品を委嘱し、現代の演奏家の定番となっているものも多い。後年グーセンスは常設ポストに就かず、ソロ活動を中心として、レコード録音を遺している。イギリスにオーボエやクラリネット、ホルンなど優秀な管楽器奏者が多いのは、吹奏楽の国だからと憶測しているが、日本の於いては、オーボエなどのダブルリード楽器はリードの調整を始めとして難しい課題が多い事から、明治初年の洋楽導入の際に後回しにされ、後進性を抱えたまま半世紀近くが過ぎて、一般には「粗野な音しか出ない単調な楽器」と考えられていた。そのような事情の中、海軍航空隊で終戦を迎えて復員した、鈴木清三は、1956年来日のロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団首席バート・ギャスマンとの出会いにより、アメリカの奏者の多くに一般的なロングスクレープのリードを使用した国内最初の演奏家となった。そして、1960年代前半にはマールボロ音楽祭に参加、パブロ・カザルスやマルセル・モイーズ指揮でのコンサートやレコーディングにも加わっている。こうして戦時中から戦後の困難な時代に、これを殆ど独力で本来の「美しく歌わせる楽器」に脱皮させた事が、鈴木の最大の功績である。そのような彼にとっても、グーセンスのSP盤レコードが最大の師であったとは、後年の本人の述懐である。来日した演奏者から直接教えを受けることができれば幸い、レコードから学ぶことが重要な時代だった。
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The Art Of Leon Goossens

Side-A
  1. Sinfonia (From "Easter Oratorio") Composed By – J. S. Bach
  2. Arioso Composed By – Fiocco
  3. Aubade Composed By – Pierné
  4. Andantino (Piece V) Composed By – Franck
  5. Irish Song "How Deep In Love Am I?" Arranged By – Herbert Hughes
  6. Scherzo Caprice Composed By – Alec Templeton
Side-B
  1. Entrée Et Cotillon Composed By – Senaillé
  2. Sinfonia (From Cantata No. 156 "Ich Steh' Mit Einem Fuss Im Grabe" Composed By – J. S. Bach
  3. Roundeley Composed By – Alan Richardson
  4. Couvre Feu Composed By – Barthé
  5. Siciliana Composed By – Alec Templeton
  6. Melody Composed By – John Morgan Nicholas
  7. Jig (From Serenade, Op. 7) Composed By – F. S. Kelly
  • Record Karte
  • 1962年リリース
  • GB EMI  CSD1419 レオン・グーセンス オーボエ曲集
  • GB EMI  CSD1419 レオン・グーセンス オーボエ曲集
レオン・グーセンの芸術
レオン・グーセン
グリーンドア・レーベル
2009-10-09