34-15463
商品番号 34-15463

通販レコード→ 英カーキ黒文字盤 DIGITAL
伝統の強み? ― 本盤は、ウィンナ・ワルツが骨の髄まで染みこむなど職人気質を持つヴィリー・ボスコフスキーによる定番のシュトラウスやレハールではないワルツ集。「ワルツの世紀」とも呼ばれる19世紀初頭、ウィーンにミヒャエル・パーマー率いる楽団があった。ウィンナ・ワルツを創始するヨーゼフ・ランナーとヨハン・シュトラウス1世は共にパーマー楽団の団員であった。ふたりは「ワルツ合戦」と呼ばれる熾烈な競争の中で、ウィンナ・ワルツを発展させていった。当時のウィーンで圧倒的な人気を誇り、ショパンにウィーンで『華麗なる大円舞曲』を出版することを断念させたほど。ランナーのファンにはシューベルトがおり、シュトラウス1世の息子ヨハン・シュトラウス2世はウィンナ・ワルツの黄金時代を築き、ロシアのチャイコフスキーやフランスのワルトトイフェルなどにも多大な影響を与えた。シュトラウス2世を始めとするウィンナ・ワルツの作曲家たちはワルツと同様にポルカや行進曲などの作曲も手掛け、さらにウィンナ・オペレッタの分野にも進出し重要な役割を果たした。しかし、ここではワルツに限定して話しを進める。ウィンナ・ワルツは、19世紀のウィーンで流行し〝ウィーン会議〟を通してヨーロッパ中に広まっていった3拍子のワルツ。ウェーバーは「舞踏への勧誘」と題したピアノ曲でワルツを初めて芸術音楽として紹介し、それを管絃楽に編曲したベルリオーズは交響曲の楽章にワルツを初めて登場させた。チャイコフスキーはバレエ音楽にワルツを組み込んだが、ウィンナ・ワルツにおける3拍子は、2拍目をやや早めにずらすように演奏される均等な長さを持たない独特の流動感を生んでいるが、これは当時の演奏習慣ではなく20世紀中頃に成立した習慣である、とする見解もある。1899年のシュトラウス2世の死やワルトトイフェルの引退などによって、世紀末に一区切りを迎えた。しかし、ウィンナ・ワルツの系譜上にあるウィンナ・オペレッタはフランツ・レハールやエメリッヒ・カールマンなどが現れたことにより、20世紀初頭に「銀の時代」と呼ばれる第二の黄金時代を迎えた。さて、リヒャルト・シュトラウスの楽劇「ばらの騎士」は、1911年1月26日、ドレスデン宮廷歌劇場でエルンスト・フォン・シューフの指揮、マックス・ラインハルトの演出によって初演され空前の大成功を収めた、と伝えられます。オペラが大評判になっていたためコンサート用に編まれた組曲やワルツなど、管弦楽による編曲作品も多数存在しています。「ワルツ第1番」は1944年に作曲者自身が第1幕と第2幕の素材から編纂したワルツですが、それより10年前の1934年に成立していた、主に第3幕からの音楽が素材として使用されている「ワルツ第2番」は編曲者「不詳」ながら不思議と有名で、冒頭から木管楽器による長いトリルで始まるのが特徴です。
関連記事とスポンサーリンク
Side-A
  1. グノー:歌劇「ファウスト」〜ワルツ(3:48)
  2. ウェーバー〜ベルリオーズ:舞踏への勧誘 Op. 65, J. 260(8:43)
  3. チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」Op. 66〜第1幕「ワルツ」(4:33)
  4. チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」Op. 71〜第2幕「花のワルツ」(6:44)
Side-B
  1. リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」Op. 59〜ワルツ第1番(12:19)
  2. リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」Op. 59〜ワルツ第2番(7:49)
ヴィリー・ボスコフスキー(Willi Boskovsky, 1909.6.16〜1991.4.21 オーストリア) ― 精妙で自在、血の通ったリズム、優しさと爽快さ、そして華麗でありながら哀感を帯びた達人の世界を表現した、その音楽はマンネリに陥らずいつも生気に満ち、生きる楽しさ、喜びを伝えてくれる。ボスコフスキーは、ウィーンの純美な音楽伝統の化身ともいうべき、まさに“ウィーン気質”の音楽家であった。ウィーンに生まれ、ウィーン音楽アカデミーに学び、1932年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、翌年からウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとなり、1939年から1970年までコンサートマスターを務める傍ら、ボスコフスキー四重奏団(ウィーン八重奏団に発展)、ウィーン・フィル四重奏団を組織して室内楽演奏に勤しみ、母校で後進の指導にも当たった。1969年にウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団の指揮者に就任、さらにウィーン・モーツァルト合奏団やボスコフスキー合奏団を指揮して活躍した。ボスコフスキーの存在を忘れがたくさせているのは、何よりも1955年から1979年までウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを弾き振りした時の、これぞウィンナ・ワルツの神髄ともいうべき優雅で爽快な名演によってである。1975年と79年のライヴ録音盤を含む「ウィンナ・ワルツ大全集」(1957〜79年、LONDON)と、ウィーン・モーツァルト合奏団を指揮したモーツァルトのセレナード&ディヴェルティメント全集(1967〜78年、LONDON)は、ともに永遠の遺産といえる。
「Invitation To The Dance」。Classics For Pleasure ‎– CFP 4517 1983年リリース、ステレオ録音。
GB EMI CFP4517 ヴィリー・ボスコフスキー ワルツ曲集
GB EMI CFP4517 ヴィリー・ボスコフスキー ワルツ曲集