34-23799
通販レコード→GB 後期大犬 QUADRAPHONIC 録音

GB EMI ASD3418 ムーティ・ニューフィルハモニア管 VIVALDI MAGNIFICAT&GLORIA

商品番号 34-23799

受胎告知を受けたマリアが神を賛美して歌う讃歌 ― 完璧なハーモニーと美しいディクションは当盤随一

最高級のロッシーニ歌手がふたり。その透明感溢れる歌声と、合唱団の生み出す透明で混じりけのない響き。 現代を代表するイタリアの巨匠リッカルド・ムーティ。クレンペラーの後任として首席指揮者を務めていた時代のニュー・フィルハーモニア管弦楽団との録音は、巨匠の風格漂う堂々たる演奏だ。

華麗な宝石
ヴェネツィアの音楽と神聖な楽曲を愛する人のための質の高い古典的な録音。この「グロリア」は、作曲家の美しさと創造的な感性を最高に表現しています。ヴィヴァルディの協奏曲以外では、よく知られている宗教音楽で、ミステリアスな雰囲気をもとめる向きもありますが、本盤に限ってはムーティのタクト下の声の美しさに軍配を上げます。私の意見では最高の仕上がりの1つです。

〝自分が死んだときにどんな曲で送りだしてもらいたいか〟と同じ音楽愛好家同士で、そんな話をした経験があるでしょう。ここではネガティブな話ではなくて、それほど好きな曲がある?という話です。一世を風靡したピアニストが、精神的に回復していく過程でイメージ・ヴィデオ的に登場したヴィヴァルディの宗教音楽。映画の大ヒットと一緒に評判となりました。日本でもチケットが売り切れるほど話題のコンサートを開いた、オーストラリア出身の実在のピアニスト。デイビット・ヘルフゴットの話を元にした映画「シャイン」。才能がありながら、父親との確執から留学先のイギリスで精神を病み、一度は音楽から遠ざかったデイビット。彼をいろいろな面から支えてくれる女性と知り合い、結婚したのち、ピアニストとして活動を再会しました。
テレサ・ベルガンサとルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニという、最高級のロッシーニ歌手がふたり。登場個所が少なめでもったいないくらい。その透明感あふれる歌声と、確かな技巧と、合唱団の生み出す透明で混じりけのない響き、完璧なハーモニーと美しいディクションは、当盤随一の聴きどころといえるでしょう。当時、リッカルド・ムーティを擁していたEMIは、お互いにライヴァル心むき出しだったクラウディオ・アバドのいたドイツ・グラモフォンと、これまた何かにつけはり合うことが多かった。そのためムーティはモーツァルト、ベートーヴェンはいざ知らず、けっこうマイナーなロシア音楽だの、ありとあらゆる曲を録音している。そのためニュー・フィルハーモニア管弦楽団や、フィラデルフィア管弦楽団とのクァドラフォニック盤やデジタル録音盤でのEMIらしからぬ芯のある録音もよいです。そして、当時のイタリア・オペラ界の名歌手の黄金期でもあったため、ヴェルディの歌劇「アイーダ」、「仮面舞踏会」、「マクベス」の競いあうような争奪戦。皮肉なことに、両盤のキャストを混ぜ合わせると、史上最高のキャストが出来上がります。もしムーティが得意の曲だけやっていれば、「なかなかいい指揮者じゃないか」となるだろう。だが、現代においてはそれでは許されない。レパートリーもキャリアも、何でも拡大路線でなくては生きていけない。
ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」作品8から《四季》ばかりのヴィヴァルディですが、最近は50あまりあるオペラにも脚光が浴びている。映画『シャイン』で有名になったモテット《地上に真の平安はなく(Nulla in Mundo Pax Sincera, RV630)》をはじめ、宗教曲も多くて、その代表格が本盤の《マニフィカト ト短調(Magnificat, RV610)》と《グロリア ニ長調(Gloria, RV589)》。メゾ・ソプラノとコントラルトの二人の女声ソロと合唱、弦楽合奏と通奏低音のための《マニフィカト》は受胎告知を受けたマリアが、神を賛美して歌う讃歌。受胎の喜びと、賤しい我が身の僕が永遠の王(イエス)を産むという、大いに謙った立ち位置で祈る神至上の讃美歌。新約聖書のルカによる福音書第1章47〜55節「マリアの賛歌」に基きます。「マニフィカト」の名作といえば、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのそれが、輝かしい喜びに溢れているのに比べヴィヴァルディの《マニフィカト》はシリアス。冒頭の合唱はまるでバッハの《ロ短調ミサ》のキリエのような峻厳さを伴った響きです。曲は、11の部分から構成され、以後曲調は変化していき〝四季〟の音楽に歌が付いたような部分もありますが、歌詞の内容はなかなか厳しく、〝心の思いの高ぶった人を追い散らし、権力ある者をその座から引きおろし、卑しい者を引き上げ … 〟といった一種の厳しさも根底には流れています。

いつも明るく伸びやかなヴィヴァルディの顔に加えて、ちょっと落ち着いた雰囲気も横溢した、圧倒的な合唱の透明度。それがマリアの自らを戒めて祈り歌う謙虚な姿をとてもよく映し出している。それと通奏低音のチェンバロがすごく心地よく、喜ばしく快活な雰囲気を醸しています。バッハの受難曲の通奏低音でチェンバロが目立つと逆に騒々しく、不似合いとさえ感じられるのと対照的です。そのせいか、ナポリ生まれの熱血漢というイメージをまったく感じさせない、流麗で滑らかな演奏となっている。今日では帝王とも呼ばれるムーティが本盤を録音したのは、まだ30歳代の半ばですが当時の手兵だったフィルハーモニア管弦楽団は低迷期だったと言われる。録音当時はニュー・フィルハーモニア管弦楽団と名乗っていた名門も、ここでは優れたパフォーマンスを示している。時として情緒豊かにメロディを鳴らし、時として熱くオーケストラを語らせるイタリア人ムーティの自在な、しかし落ち着いたタクトがこの曲想に良くあっている。

  • Record Karte
  • 1976年10月、11月、1977年6月ロンドン、キングズウェイ・ホール&アビー・ロード第1スタジオでの SQ STEREO 録音。

CDはアマゾンで

Vivaldi: Gloria/Magnificat
Vivaldi, a.
Warner Classics
2015-04-21


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ミラノ・スカラ座フィルハーモニー合唱団
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1997-05-21


朝美人(R)クラシック
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