34-19325

商品番号 34-19325

通販レコード→英モノクロ切手ラベル盤

ダイナミックに人間の生を歌い上げるオルフの名作を、迫力あふれる明快な音楽として描き出したアンドレ・プレヴィンの名盤。

若き日にジャズピアニストとして培ったリズム感と、ハリウッド映画の作曲を通して身に付けた音楽のわかり易さと手際良さとが一気に開花した絶頂期。

カール・オルフの出世作《カルミナ・ブラーナ》は、バイエルン地方ボイレン(ブラーナ)の修道院に伝わる中世の世俗的な歌集(カルミナ)を用いて作曲された、中世に生きた人々の生活や感情を雄大なスケールと迸るエネルギーで描き出した作品。その冒頭部分が映画やテレビCMで使用されたことで、現代作品としては異例なほどの人気作品となりました。《カルミナ・ブラーナ》は、オイゲン・ヨッフム盤が絶対存在。半世紀以上も判断基準となっているので聞いていない人はいないので説明がし易い。アンドレ・プレヴィンの演奏は、あくまでも淀みのない流れと瑞々しいリズムが信条。オーケストラ・コントロールに絶妙の才を発揮するプレヴィンならではの、色彩豊かで鮮烈な演奏です。迸るエネルギーに満ちあふれた展開は息をのむばかり。とはいうもののそこは名手プレヴィン、ただ熱するだけではなく、洗練された現代感覚が全編に行き渡っています。登場する歌手の力量の素晴らしさも特筆もので、美しさが根幹に流れる見事な音楽的まとまりを示しています。ロンドン時代のプレヴィンこそ、若き日にジャズピアニストとして培ったリズム感と、ハリウッド映画の作曲を通して身に付けた音楽のわかり易さと手際良さ、そして指揮法の師であるピエール・モントゥー譲りのオーケストラを自在に操るテクニックとが一気に開花した絶頂期にあった。いかにも、この曲に相応しい爽やかなテクスチュアと無理のないテンポが心地よく、奇を衒ったところのない素直なフレージングがどこまでも続きますが、さりげなく施されている内声の絡み合いの充実ぶりに、プレヴィンの天才的な冴えを感じずに入られません。13曲目の最後でチューバの一吹きの生々しさに思わず息を呑み、14曲目の男性コーラスの薄気味悪さすら感じさせるささやきと木管楽器の点滅が次第に大きく膨れ上がていく凄みに鳥肌が立ち、15曲目で左スピーカのはるか外側後方から姿を現す児童合唱のリアルな距離感にはただ呆然とすることしか許されない。ロンドン交響楽団のややダーク調の音色と重心の低い響き、キングスウェイ・ホールの魅力的なアコースティック、ビショップ&パーカーによるアナログ末期の優秀録音。なれど、である「音楽的」という意味では高水準な演奏かもしれませんが、世俗声楽曲として「おふざけ」や「悪ノリ」のような要素が希薄なのが、やがて気がつくとヨッフム盤が際どくも節度があって良いことが深くわかってくる。デ・ファリャの「三角帽子」に類似する音楽なのだ。カラヤンが取り上げるはずはない。
  • Record Karte
  • 1974年11月25-27日ロンドン、キングズウェイ・ホール。
  • クリストファー・ビショップ/クリストファー・パーカーによる録音。
  • 解説書付き

販売レコードの写真

  1. GB EMI ASD3117 プレヴィン オルフ・世俗声楽曲「カルミ…
  2. GB EMI ASD3117 プレヴィン オルフ・世俗声楽曲「カルミ…

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カール・オルフ(Carl Orff, 1895.7.10〜1982.3.29)は子供の音楽教育プログラムに情熱を注ぎ、今ではこの分野での開祖的な扱われ方をしています。この《カルミナ・ブラーナ》(Carmina Burana)は、南ドイツのボイレン修道院で作曲者が見つけた13世紀頃に書かれた歌集を下敷きに作曲された、大編成の合唱とオーケストラ、そして舞台装置付きの上演形式を想定して書かれた大がかりな作品です。この歌集は教会に出入りした様々な民衆が残した歌を綴った俗っぽい内容です。曲を構成している形式、和声、メロディー、リズムも実にシンプルなゲルマン魂の熱いものを感じさせてくれるものです。
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春の愉しい面ざしが》と、早春の芽吹きを思わせる軽やかな序奏に導かれ、コーラスが古代旋法に基づく神秘的なメロディを歌います。《太陽は万物を整え治める》と、バリトン独唱で生命の神秘を優しく歌います。《見よ、今や楽しい》と、コーラスとオーケストラでの生命賛歌。春の訪れを喜ぶ庶民的な活力が聴きもの。《踊り》は、オーケストラのみの間奏曲。民族舞踊に基づく活気あふれる音楽です。《森は花さき繁る》と《小間物屋さん、色紅をください》は、ともに村祭りのワンシーンといった趣の陽気な曲。《円舞曲》は緩・急・緩・急の4部構成による対比が聴きどころ。《たとえこの世界がみな》と、トランペットのファンファーレと爆発的な合唱で、前曲の急の部分を引き継いで始まる歓喜の歌で第1部『春に』『草の上で』を力強く締めくくります。
第2部『居酒屋にて』。《胸のうちは、抑えようもなく》と酔漢の酔いに任せた自暴自棄の歌。《昔は湖に住んでいた》ことを想い、酒の肴に供せられる我が身を儚む白鳥の歌。《わしは院長さまだぞ》での最後でチューバの一吹きの生々しさに思わず息を呑み、《酒場に私が居るときにゃ》と男声合唱の粗暴なパワフルぶりに仰天。男性コーラスの薄気味悪さすら感じさせるささやきと木管楽器の点滅が次第に大きく膨れ上がていく凄みに鳥肌が立ち、猥雑な第2部に痛快な幕引き役を果たしています。
愛の神はどこもかしこも飛び回る》愛らしい少年合唱とソプラノ独唱(乙女)で第3部『求愛』は始まります。《昼間も夜も何もかもが》乙女への思いで巡っているとバリトン(若者)が愛への憧れを、《少女が立っていた》では乙女が愛のときめきを歌い上げます。《私の胸をめぐっては》バリトンが高まる胸の内を吐露、合唱はそんな若者をそそのかすように、《もし若者が乙女と一緒に》《おいで、おいで》と囃し立て、一方、乙女は《天秤棒に心をかけて》に揺れる思いを託します。《今こそ愉悦の季節》では、いよいよ若者が乙女に求愛。問答を繰り返す二人を、合唱と少年合唱までもが力強くもり立て、乙女はついに若者の愛を受け入れます。《とてもいとしいお方》は乙女の喜びを表すソプラノの超高音が聴きどころ。
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