GB EMI AN133-4 ジュリーニ ヴェルディ・レクイエム

商品番号 34-21303

通販レコード→英ホワイト・エンジェル ED1盤

ヴェルディがレクイエムに込めたパッションを壮年期のジュリーニが躍動感豊かに表現した名盤。 ― 後年のドイツ・グラモフォン盤とは大違いのピンと張り詰めたカンタービレの美しさと、深刻な情感の表出ぶりとが絶妙に併存した素晴らしい演奏です。カルロ・マリア・ジュリーニと言えば、最晩年のゆったりとしたテンポによる巨匠風の名演の数々のイメージが強いために、温厚篤実な演奏をする指揮者との印象を持たれがちであるが、若き日、特に1960年代の演奏は、凄まじいまでの迫力溢れる豪演の数々を行っていた。本盤は、そうしたジュリーニの若き時代の芸風を端的に表しているものと言える。名プロデューサー、ウォルター・レッグと壮年期のジュリーニ&フィルハーモニア管弦楽団が作り出した名盤。当時のEMIならではの超豪華な独唱陣にエリザベート・シュヴァルツコップ、クリスタ・ルートヴィヒ、ニコライ・ゲッダ、ニコライ・ギャウロフらを前に、イタリアの指揮者ジュリーニがが流麗に統率した活気溢れる ― といっても昨今のように元気で素朴というようなものではなく ― いつまでも魅力を失わない名盤です。そこにはあくまでも美しいカンタービレが底流しているのはやはりこの指揮者ならではの美学の反映。指揮者以外は非イタリア系の演奏家による演奏ですが、十分に熱くまたよく歌いこまれた演奏で、普段イタリア・オペラでは少なからず違和感を感じる箇所もあるシュワルツコップやゲッダの声の響きもここではバランスよく溶け合っています。ヘルベルト・フォン・カラヤンやオットー・クレンペラーの薫陶を受けていた黄金時代のフィルハーモニア管や、名合唱指揮者ヴィルヘルム・ピッツ率いるコーラスも万全。ジュリーニはイタリアのボルツァーノ出身、39歳で名門ミラノ・スカラ座の音楽監督に就任するなど、オペラ、そしてシンフォニー・オーケストラの指揮者として、古典派からロマン派まで、そしてドイツ、イタリア、フランス、スペインなどあらゆる音楽での名指揮者として活躍。1955年からロンドンでフィルハーモニア管との録音を開始していたジュリーニは、1958年にはロイヤル・オペラ100周年記念上演をルキノ・ヴィスコンティの演出によるヴェルディの歌劇『ドン・カルロ』で指揮して評判となり、1959年にはクレンペラーがキャンセルしたモーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』と『フィガロの結婚』の録音セッションの指揮を任されることとなります。この折、クレンペラーは実演の『ドン・ジョヴァンニ』演奏会形式上演もキャンセルし、そちらは若きコリン・デイヴィスが代役を務めて一躍その名を高めることとなります。ジュリーニは数多くのイタリア・オペラを指揮・録音しているが、本盤でも、そうしたイタリア・オペラを得意としたジュリーニならではの歌謡性豊かな指揮と若き日の生命力溢れる力強い指揮が見事にマッチングして、いい意味でのバランスのとれた至高の名演を成し遂げるのに成功している。日本での評価の高まりは欧米より遅くなりましたが、今なおその録音は世界的に評価を受けています。晩年の深遠なスタイルと違ったジュリーニの貴重な記録と言う意味も含めて、名盤の名に相応しい。
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歌手達が、ほとんど生涯で一番良い時期の録音。的確に役にハマる歌手が揃っています。適材適所、しかもネームバリューもある豪華な歌手たち。この時代の歌手はレコード会社との専属契約を結んでいるのが常で、英コロンビア(EMI)が歴史のある大手レコード会社とはいえ天のサイコロがピタリと目を出した奇跡。それとも運命のイタズラかフィルハーモニア管弦楽団との良好な関係を構築したかに見えたヘルベルト・フォン・カラヤンは、1955年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任してしまい、その後期待されたグィド・カンテルリが1956年に航空事故で急死。1959年にはオットー・クレンペラーは常任指揮者(後に終身)に就任し多くの演奏・録音を残すが、クレンペラーがキャンセルしたモーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』と『フィガロの結婚』の録音セッションの指揮をカルロ・マリア・ジュリーニ(1914〜2005)が任されることとなります。ジュリーニは、2005年に91歳で亡くなったイタリアの指揮者。劇場たたき上げの指揮者で、ミラノ・スカラ座でヴェルディのオペラを得意とした。オペラ指揮者としてだけでなくコンサート指揮者としての評価も高い。ジュリーニが指揮したヴェルディ「レクイエム」の全曲盤は、 エリザベート・シュヴァルツコップ、クリスタ・ルートヴィヒ、ニコライ・ゲッダ、ニコライ・ギャウロフらイタリア系と異なる趣向の歌手たちを見事に統率、融合させた若きジュリー二の棒の冴え。知名度を上げた同じジュリー二の「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」と同じく、辛気臭さのない、この曲のファースト・チョイスに相応しい、躍動感豊かな「レクイエム」だ。
エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)、ニコライ・ゲッダ(テノール)、ニコライ・ギャウロフ(バス)、フィルハーモニア合唱団、フィルハーモニア管弦楽団、カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)。1963年9月16〜21,23〜27日、1964年4月7日ロンドン、キングスウェイホールでのプロデューサー:ウォルター・レッグ、エンジニア:ネヴィル・ボイリングによる録音。2枚組。
GB EMI AN133-4 ジュリーニ ヴェルディ・レクイエム
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