34-22121
通販レコード→GB BLUE LINE

GB DGG 2530 072 アマデウスSQ ハイドン・エルデーディ四重奏曲5番/6番

商品番号 34-22121

不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。聴くたびいつも元気がもらえる。

「室内楽の鑑」 ― 1950〜70年代にかけて、常に同じメンバーで、アンサンブルに磨きをかけ続けた名門アマデウス弦楽四重奏団が、4挺の楽器が骨の髄まで溶け合い、何とも親密で流れの良い音楽を紡ぎ上げていきます。最も室内楽の鑑と言うに相応しい録音のひとつでしょう。1950年代の録音に比べ、60年代から70年代のアマデウスSQの演奏には一種の鋭さが感じられる。ロマンティックな情感と現代的感覚が有機的に結びつき、弦楽四重奏団としての最高の高みに達していたわけである。
第1ヴァイオリンであるブロイニンの艶のある音色、ロマンティックな歌いっぷりの良さ。他の楽器もそれぞれ主体的に動き、爽やかでイキの良いアンサンブルを構築します。 演奏者の感情のノリや思いがストレートに表され、輪郭クッキリ、強弱ハッキリ。歌いまわしもたっぷりと表情豊かでありながら、抜群の落ち着きと品位を保っています。
その演奏スタイルは格好良さとは無縁、一所懸命だけど全然厳しくなく、心底アンサンブルを楽しんでいる仲間たちの姿が伝わってきて、とっても微笑ましく音楽を聴く楽しさを享受するのにアマデウス四重奏団とハイドンとの相性は最高です。一種の鋭さがある60年代後半のアマデウス四重奏団のハイドン。このハイドンは、名盤の名に恥じぬものだ。

交響曲の父ハイドン。弦楽四重奏曲の父ハイドン。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn)は1732年に生まれ、1809年に亡くなっています。その77年の生涯は、29歳から58歳までを過ごした30年に及ぶエステルハージ時代を中心に、それ以前とそれ以降の3つの時期に分けて考えることができます。
「エステルハージ以前」の28年間は、幼少期の声楽やさまざまな楽器演奏の修行、青年期に入ってからの作曲の勉強により、弦楽四重奏曲を多数作曲したほか、十数名という小編成オーケストラのための交響曲を作曲して指揮するという実地経験により高いスキルを身につけた時期。
続く「エステルハージ時代」の30年間は、楽才にも恵まれたニコラウス・エステルハージ候のもと、二十数名規模のオーケストラも常設され、安定した境遇下で膨大な作品を作曲・演奏しています。シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒涛)様式と言われるスタイルが導入され、数多くの交響曲やピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、協奏曲、そしてオペラやオラトリオが書かれたほか、ニコラウス候が熱中していたヴィオラ・ダ・ガンバに似た楽器「バリトン」を主役にした「バリトン三重奏曲」も大量に作曲されています。
それに伴い海外での名声も高まって、1780年代なかばからは作曲依頼が舞い込むようになり、『十字架上のキリストの最後の七つの言葉(管弦楽版)』や、『パリ交響曲集』、『ドニィ交響曲集』などの傑作が生み出されます。「エステルハージ以降」の19年間は、二度のロンドン長期滞在により、国際的な知名度を獲得した時期で、市民がお金を払って訪れるコンサート・ホールという環境で、大型のオーケストラを駆使して演奏される楽曲を創造した円熟の頂点ともいうべき時代でした。

当時の作曲家たちに多大な影響を与えたエルデーディ四重奏曲。

ハイドンは、弦楽四重奏という分野を確立させました。ヴァイオリン属という同種の響き。音色の変化を出すことは難しく、聞き手は形式をはじめ抽象的な音楽、そのものに向き合うことになります。四声となることで響きは充実し、四和音も補完。弦楽四重奏の理想の一つが合奏が一つの楽器のように響くというものがありますが、この同属の楽器の響きから成る編成に依拠しているものです。
この曲集は、ハイドンが1791〜92年、1794〜95年の2度にわたるイギリス旅行から、ウィーンに帰ってから最初に書かれた主要な作品である。当時ハイドンは64歳となっており、すでに作曲家として揺るぎない評価を得ていたが、まだまだ創作意欲に溢れており、この作品76の6曲の弦楽四重奏曲を世に出すことになる。
アポーニー伯爵という音楽好きの貴族の依頼による「アポーニー四重奏曲」のお披露目会か、ロンドンでザロモン主催のコンサートで演奏されたいずれかに、おそらく接していたのでしょう。エルデーディ伯爵の依頼で作られ、同伯爵に献呈されたため「エルデーディ四重奏曲」と呼ばれている。6曲中4曲に呼び名(『五度』、『皇帝』、『日の出』、『ラルゴ』)があり、ハイドンの作曲した弦楽四重奏曲のなかでも最もよく演奏される作品のひとつです。
決算的な意味合いをもち、作品集としては全体的なまとまりという観点ではとらえ切れない内容で、6曲を基本的なセットとして発表されてきたハイドンの最後のセットです。第2楽章「ラルゴ」が大変に美しく印象的である第5番《ラルゴ》。幻想曲と題された第2楽章を持ち、内省的な印象がある第6番は対位法的な書法が目につく。1曲1曲がかなり個性的でまちまちの性格を持っていて、同時に親しみやすい曲調で、あだ名を持たない2曲もまた名作となっています。
そしてさらに高度な書法で書かれたこの6つの四重奏曲は、直前に書かれた作品71,74の6曲の弦楽四重奏曲(第1アポーニー四重奏曲、第2アポーニー四重奏曲)を上回る評価を得て、当時の作曲家たちに多大な影響を与えることになる。

元気を出したいときによく聴く、不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。

アマデウス弦楽四重奏団は1948年に結成され、1987年に活動が停止するまで、約40年もの長きにわたり演奏活動を続けてきました。アマデウス四重奏団は、1950年代にヴィーン風の雅びた、よい意味での簡素なスタイルから始まり、1960年代ころには古典的な清澄さを美点に、ロマン的な傾向に発展していったようだ。楽曲の解釈にみる高い見識とアグレッシブさ、それに美しい響きと音色、安定した録音を併せ持った、元気を出したいときによく聴く、不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。
アマデウス四重奏団の演奏は、はじめて聞くアマチュアの演奏に「良い曲だな」と思う時に似ている。そういうところからか何度聴いても、初めて聴いた時の感激と興奮が戻ってくる。生意気を承知で例えれば、格好良さとは無縁、一所懸命だけど全然厳しくなく、心底アンサンブルを楽しんでいる。というのが、それがこちらにも伝わってきてとっても微笑ましいんです。そうした「楽しさ」でこれを凌ぐ演奏には未だ巡り逢っていません。元気を出したいときによく聴く愛聴盤です。
録音面では、1960年代前半から1970年代後半という長期にわたって録音されていて、レコーディングセッションも変化がある。ベルリンのスタジオから、ミュンヘンの各ホールでの録音へ。本盤の2曲は、ベルリンのスタジオでの最後の時期か。1970年代に入ってからの録音は響きが控えめで直接音が支配的であり、各楽器を明瞭に捉えていてどれも好印象です。
  • Record Karte
  • Berlin, Studio Lankwitz, 5/1970

CDはアマゾンで



モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」全曲
アマデウス弦楽四重奏団
ポリドール
1992-12-10


ウィークエンドの室内楽
オムニバス(クラシック)
ポリドール
1996-09-01


関連記事とスポンサーリンク
商品名GB DGG 2530 072 アマデウスSQ ハイドン・エルデーディ四重奏曲5番/6番
.