34-11519
商品番号 34-11519

通販レコード→英DECCA最初期パンケーキ・フラット片面収録盤[テスト・プレス]
本盤は超入手難、この世でただ一点のみ存在した逸品。 ― アメリカを舞台にした唯一のグランド・オペラ。舞台はゴールド・ラッシュ時代のアメリカ西部カリフォルニアの鉱山の街。酒場の女主人ミニーと盗賊の首領ジョンソンとの純愛物語。山すそにあるミニーの酒場「ポルカ」は鉱夫たちの数少ない憩いの場だった。男たちは、流しのジェイク・ウォーレスが唄う故郷の歌に涙したり、盗賊ラメレスがまたこの近くにやって来たという噂話に花をさかせている。酒場に集まる男たちのお目当ては女主人のミニー。そこへ「ディック・ジョンソン」と名乗るよそ者が現れ「君は天使の顔をしている」とミニーを口説く。「ミニーはもうすぐ俺のもの」と壮語していた保安官ジャック・ランスは面白く無い。やがて強盗の一団を捕らえたことで、ジョンソンが残忍な強盗ラミレスと判る。「わたしを騙していたのね』と激しく罵るミニーにラミレスは歌う。「父はギャングだったが、自分は父が死ぬまでそうと知らなかった。残された唯一の遺産、子分一味を用いて、母と弟たちを食べさせなくてはいけなかった。教会で初めて君を見たとき、真人間の生活を君と始めたい、屈辱的な過去は君には知られたくない、と神に祈った。しかし全ては無駄だった」ラミレスは捕らえられ縛り首にされようとしているところにミニーが駆けつけ、ラメレスを自分のものにさせてほしい、でなければ一緒に死ぬ、と哀願する。ラミレスは罪一等を免じられ、二人は馬に乗ってカリフォルニアを後にする。プッチーニにとっては、初演が成功で終わった数少ないオペラの一つである。アメリカでは初演以来ずっと人気を保ち続けている。それが現在に至っても、『ラ・ボエーム』、『トスカ』、『蝶々夫人』といった代表作、あるいはそこまででなくとも、『マノン・レスコー』や『トゥーランドット』といった各オペラ・ハウスでしばしばレパートリー上演される作品に比べて、一般的には高い評価を受けていないのが現状である。理由としては、アメリカ民謡やインディアンのメロディが使われている一方で、ところどころで無調的な響きも混じっていて、やや実験的なところも感じられる。簡単に口ずさむことのできるアリアの不在、全曲で多用されている大胆な不協和音。また皮肉なことに後世の我々は西部劇映画を数多く鑑賞してきたこともあり、このプロット自体が「オペラの舞台で、生ぬるいウエスタンをやっている」という感覚で見られてしまう面も否定できない。マックニール、トッツィら個性派歌手陣を配した、名盤の少ないこの作品を代表する録音として有名。この録音ではドアをノックする音、ポーカーのカードの音とかも入って、デッカ録音に特徴的な効果音の使用が、このオペラの雰囲気を理解する助けになっています。〝黄金のトランペット〟デル・モナコが熱唱する〈やがて来る自由の日〉、気高くも美しいテバルディが歌う〈ソレダードにいた時〉は感動もの。テバルディ&デル・モナコの名コンビによる並ぶもののない名演です。
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第二次世界大戦後の世界の歌劇界に、戦前のエンリコ・カルーソー、トティ・ダル・モンテ時代に優るとも劣らないイタリア歌劇黄金時代を築き上げたのは、レナータ・テバルディ、マリア・カラス、ジュリエッタ・シミオナート、マリオ・デル・モナコ、ジュゼッペ・ディ・ステファーノ、エットーレ・バスティアニーニ、アルド・プロッティなど、わが国にも馴染み深い歌手に負うところが大きい。中でもテバルディとカラスはオペラ界の両横綱ともいえる存在で、たとえ現在の実力が全盛時代ではないとしても、われわれの耳には、その美しい声と共にプリマドンナとしての貫禄からも忘れることの出来ないものとなっている。カラスがその類ない優れた演技力をもってイタリア古典歌劇から近代にいたる、又、コロラトゥーラからリリック、そしてドラマティックとソプラノの汎ゆる声質をこなしているのに反してテバルディはヴェルディ、プッチーニ、イタリア・ヴェリズモ派を中心とする作品に集中、リリコ・スピントのソプラノとしてイタリア・ベル・カント ― 美しく歌う ― を伝承している。継ぎ目なく2オクターブを斑なく歌いきる、その澄み切った「ビロードの声」と正確な発音。スケーリング、最上の劇的表現力に加うるに美しいピアニッシモ、巧みな声色の変化といったオペラ歌手としての必須条件全てが彼女の場合一体となって現れ、そこにわれわれを魅了している。カラスの歌には、どこか研ぎ澄まされた鋭い衡が感じられるとするならばテバルディのそれには憐愍のぬくもりが感じられる。
あなたは天国からやって来た天使のように歌わなければいけないよ。
1950年代から1960年代にかけてのミラノ・スカラ座の黄金期に出演・活躍し、20世紀後半におけるイタリア・オペラの代表的ソプラノ歌手の一人といわれるレナータ・テバルディ(Renata Ersilia Clotilde Tebaldi, 1922年2月1日〜2004年12月19日)。1923年チェロ教師の娘としてロッシーニの故郷ペザロで生まれたテバルディは、パルマのボーイト音楽院にはいり、はじめピアノを学んだが、17歳の時、彼女の歌うのを聞いた教師のすすめによって声楽に転向、カルメン・メリスに師事した。1944年5月23日、ロヴィーゴでボーイトの歌劇「メフィストーフェレ」のエレナ役でデビュー。1946年スカラ座再開の時には名指揮者トスカニーニに招かれて出演、その後は文字通り世界のプリマ・ドンナ、ソプラノの女王として世界各地の大劇場に出演している。この24歳のソプラノを抜擢したのは巨匠アルトゥーロ・トスカニーニ。ヴェルディの『テ・デウム』の独唱と、ロッシーニの『モーゼ』からのアリア「祈り」を歌ったテバルディを、トスカニーニは「天使の歌声」と絶賛したのでした。テバルディは「イタリア・オペラの救世主になるだろう」と新聞評で賞賛され、彼女の前途に期待がかけられた。「あなたは天国からやって来た天使のように歌わなければいけないよ」と、その公演のリハーサルの際、トスカニーニが彼女に言っていたのだが、それまで無名だったこの若いソプラノ歌手は、この公演からまるで天使のように素晴らしい羽ばたきを始める。1961年NHKの招いた第3回イタリア歌劇団のプリマ・ドンナとして来日、『アンドレア・シェニエ』ではデル・モナコと、『トスカ』ではジャンニ・ポッジと共演、その素晴らしい演唱は未だわれわれの記憶に新しい。1956年に、その第1回公演を行ったイタリア歌劇団の日本公演は、1973年で7回をかぞえ、プログラムも数十曲に及ぶ多彩さであるが、その数多い思い出の中でも最も印象深いのは第2回(1959年)の「オテロ」におけるデル・モナコとティト・ゴッビの灼熱した舞台と、第3回(1961年)の「アンドレア・シェニエ」であった。今でも思い出すのは、牢獄から断頭台に牽かれてゆくシェニエと別れを告げるあの二重唱ほど、生涯忘れることの出来ないほどの強烈な印象を心の中に記したが、確かにデル・モナコとテバルディの灼熱的な二重唱は、当時聴き得た最高のステージであった。この時テバルディは「トスカ」も歌ったのだが、1メートル85もある長身のテバルディが、その第1幕で「マリオ、マリオ」とカヴァラドッシをたずねて聖アンドレア・デルラ・ヴァーレの寺院に入ってくる時の場面は、世界のプリマ・ドンナの登場に相応しい素晴らしき姿だった。
また、彼女は一貫して英デッカに録音を残したので、まさに彼女の黄金期の声を聴くことができる。録音はほとんどがセッションを組んでレコーディングされたものであり、そのため、モノラルの音源でも音質条件は良好、テバルディの美声を軸に贅を尽くして制作された数々のオペラ全曲盤に出演する個性豊かな共演者の声も、デッカならではの克明な音で聴くことが出来る。たとえばカタラーニの『ワリー』では気高い歌唱が今もって最高の評価を得ていますし、カラヤンとの『オテロ』はデル・モナコの強烈な歌唱はじめすべてが好条件の名盤という評判でした。1951年の夏、英デッカが計画したプッチーニのオペラ3作〈ボエーム、蝶々夫人、トスカ〉のレコーディングの主役に選ばれ、当時最新のメディアであったLPという後ろ盾を得たテバルディは、その名声を世界的なものとする一方、名実共にスカラ座のプリマドンナとなり、同じ時期に台頭したマリア・カラスとの間で伝説ともなっている熾烈かつ華麗な歌手としての戦いを演じ、“イタリア・オペラの黄金時代”と讃えられる繁栄を招来しました。1955年1月31日、スカラ座を去ったテバルディは、デル・モナコを相手役に『オテロ』のデズデモナ役でメトロポリタン歌劇場にデビュー、その後は世界最大のオペラ・ハウスを主舞台として活躍、1951年以来の専属だったデッカに得意の役柄を次々とステレオ録音し、その地位はもはや揺ぎないものとなっていました。テバルディの素晴らしい芸術の秘密は、その豊かな呼吸から得られるフレージングと、輝かしいまで艶のある声で作り出す声のドラマであろう。性格的にはクッキングが趣味であると答えるように、常に誠実さを貫き通すプリマ・ドンナである。
ミニー:レナータ・テバルディ(ソプラノ)、ディック・ジョンソン:マリオ・デル・モナコ(テノール)、ジャック・ランス:コーネル・マックニール(バリトン)、ジェーク・ウォーレス:ジョルジョ・トッツィ(バス)、ニック:ピエロ・デ・パルマ(テノール)、アシュビー:シルヴィオ・マイオニカ(バス)、ソノーラ:ジョルジョ・ジョルジェッティ(バス)、トリン:エンツォ・グワーニ(テノール)、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団、フランコ・カプアーナ(指揮)、1958年7月、8月ローマ、聖チェチーリア音楽院でのステレオ・セッション録音。
GB  DEC  DECCA TEST PRESS  テバルディ&カ…
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