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無敵のデビュー・アルバム。彼女の良い面だけが出て、音楽も気持ちよく弾んでいます。

現代世界最高のヴァイオリニストのひとりチョン・キョンファが1970年に録音した、記念すべきデビュー・アルバム。高度のテクニックと迸る情熱を見事に昇華させた比類のない音楽を作り上げてます。極めてヴォルテージの高い演奏で、プレヴィンの重厚にして華麗なサポートも聴き応えあります。

デビュー・アルバムには常にどうこういう言葉がない。不思議とアイドルのレコードでも同様で、それはみんながアーティストを独り立ちさせようと頑張っているからかもしれない。東洋人のロンドン・デビューは、非常にセンセーショナルなものだった。アジア出身の国際的なクラシック演奏家というと珍しくないが、当時としては画期的だった。11年後に同曲を再録音しますが、それと比べると正に体当たりの激しい演奏という感じでした。怖いもの知らずの溌剌とした指さばき、弓さばき。ぐいぐいと盛り上げていく語り口の巧さは他の録音を寄せ付けないほどの説得力ではないでしょうか。フレージングで気負いすぎている部分も感じられますが、伸びやかな美しい音色と豊かな音量で懐の深い演奏を聴かせています。デビュー・アルバムには誰でも最も本質がでていると思います。彼女の良い面だけが出て、音楽も気持ちよく弾んでいます。
  • Record Karte
    • 録音 1970/06 キングスウェイ・ホール,ロンドン
    • P:クリストファー・レイバーン
    • E:ケネス・ウィルキンソン

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