GB DECCA SXL6363 アバド メンデルスゾーン・交響曲3番「スコットランド」/4番「イタリア」
商品番号 34-21156
通販レコード→英ナローバンド ED4盤
若きアバドの溌溂としてロマンチックな演奏 ― クラウディオ・アバド若き頃のロンドン交響楽団との〝メンデルスゾーンの交響曲〟を聴いて特に感じられることには、若いっていうことは指揮者にとっても武器である時期があるようです。溌溂としていて、かといって華美に走らずとても気持ちの良い演奏です。アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。のちに首席指揮者、音楽監督を歴任することになるロンドン響での1967年録音。レコーディング・デビュー間もない若きアバドの溌溂としてロマンチックな演奏は〝メンデルスゾーンの交響曲〟の曲想とも合って名演となっています。アバドにとってメンデルスゾーンはお気に入りの作曲家のひとりのようでそれは、これらの2曲を1984年にも同じくロンドン響とドイツ・グラモフォンに再録音し、その時は交響曲全集を完成させていることや、『イタリア』に関しては1995年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とも録音しています。また、『真夏の夜の夢』を複数回、さらに序曲集も録音していることからも容易に想像できます。そして、覇気に満ちながら、この作曲家特有の品のよさを崩さない演奏からも相性のよさを感じさせます。本盤はその、交響曲第3番イ短調『スコットランド』と交響曲第4番イ長調『イタリア』の最初の録音。この指揮者の作品を演奏する事への意欲とともに、非常に良いセンスと、作品の内容への完璧な理解力が備わっている演奏は、聴き続けて疲れず、聴き返して飽きない。この当時のものではペーター・マークと並ぶ名盤だろう。私がクラシック音楽を聴き始めて間もなく、颯爽と若き指揮者アバドはデビューし、LPでリリースされた数々のバレエ音楽の演奏は印象に残っています。それがメキメキ頭角を現して、やがてベルリン・フィルのシェフにまで登り詰めたわけです。大病後の生まれ変わったようなスタイルに驚き、独墺大作曲家のシンフォニー等でも一定の評価を得てはいましたが、私はかつて若きアバドがロンドン響を振ってのプロコフィエフの古典交響曲、バレエ音楽「ロメオとジュリエット」抜粋、バレエ組曲「道化師」等を聴いていました。この度、久しぶりに聴いたが、瑞々しい歌と響きに包まれた名演。この10年余り後のドイツ・グラモフォン盤の方が有名でスケールも大きくなっていて充実しているが、新鮮な息吹を聴く者にも吹きかける本盤の靭やかな感性と荒削りな情熱も捨てがたい。
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クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)は1933年6月26日、イタリア・ミラノ生まれの指揮者。ヴェルディ音楽院の校長を務めた父のもとで育ち、1954年からウィーン音楽アカデミーで学ぶ。父のミケランジェロ・アバドはイタリア有数のヴァイオリンの名教育者であり、19歳の時には父と親交のあったトスカニーニの前でJ.S.バッハの協奏曲を弾いている。オペラ監督のダニエル・アバドは息子、指揮者のロベルト・アバドは甥である。1959年に指揮者デビューを果たした後、ヘルベルト・フォン・カラヤンに注目されてザルツブルク音楽祭にデビューする。ベルリン・フィルやウィーン・フィル、シカゴ、ドレスデンなどの桧舞台に早くから客演を重ね、確実にキャリアを積み重ねて、1968年にミラノ・スカラ座の指揮者となり、1972年には音楽監督、1977年には芸術監督に就任する。イタリア・オペラに限らず広大なレパートリーを高い質で提供しつつ、レコーディングにも取り組んだ。1990年、マゼールなど他に様々な有力指揮者らの名前が挙がった中、カラヤンの後任として選出されベルリン・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督に就任し、名実共に現代最高の指揮者としての地位を確立した。アバド時代のベルリン・フィルについて、アバドの音楽的功績や指導力については評価はかなり様々であるが、在任年間の後期の成熟期におけるベルリン・フィルとの録音として、ベートーヴェン交響曲全集(2回目・3回目)や、ヴェルディのレクイエム、マーラーの交響曲第7番・第9番、ワーグナー管弦楽曲集、等々がある。現代音楽もいくつか録音されており、世界最高の名器たる実力を余す所なく披露している。楽曲解釈は知的なアプローチをとるが、実際のリハーサルではほとんど言葉を発さず、あくまでタクトと身体表現によって奏者らの意見を募る音楽を作っていくスタイルだという。その点がアルゲリッチの芸風と相性が良いのだろうか、マルタ・アルゲリッチとも多くの録音がある。比較的長めの指揮棒でもって描かれる曲線は力強くかつ繊細であり、自然なアゴーギクとともに、色彩豊かな音楽を表現するのが特徴である。
1967年2月ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
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