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通販レコード→"ORIGINAL RECORDING BY THE DECCA"WIDE BAND WITH GROOVED ED1 オリジナル盤

ドイツとイギリスがヨーロッパを制覇。利害合意、巨大な帝国の黄金期を開いた。

第二次世界大戦は日本軍の無条件降伏、ポツダム宣言で集結したが終わっていない戦いもあった。戦後、フルトヴェングラーの勢力下、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルで演奏することさえ制限されたカラヤン。そこへ救いの手を差し出したのが英国 EMI の名プロデューサー、ウォルター・レッグだった。カラヤンのレコーディング専用オーケストラ、フィルハーモニアでたくさんのレコードを発売。劇場での指揮は出来ずとも、レコードでカラヤンの名前は全世界に知られるようになる。ただカラヤンの悪い虫が騒いだというのか、オーディオへの関心を深めることになった。そして彼はステレオ録音を希望したが、折り悪く英国 EMI の経営陣はステレオ録音に懐疑的だった。そうこうしていると、フルトヴェングラーが急死。カラヤンはウィーン・フィルに復帰できた。しかし、ウィーン・フィルは英国 DECCA と専属関係にあったので、カラヤン指揮ではレコードを作れない。カラヤンは EMI との契約更新を曖昧に引き伸ばしていた。そこに接近してきた英国 DECCA 社では、1959年に EMI と契約の切れたカラヤンと契約。DECCA が、このカラヤンでウィーン・フィルを完全掌握した誘惑が、《惑星》をステレオ録音しようというものだった。
レコードのステレオ録音は、英国 DECCA が先頭を走っていた。1958年より始まったステレオ・レコードのカッティングは、世界初のハーフ・スピードカッティング。 この技術は1968年ノイマン SX-68 を導入するまで続けられました。斯くて、1965年までカルーショーが後世に伝えるに相応しいカラヤン&ウィーンフィルの名盤をこの6年間で製作することになる。制作は英 DECCA のジョン・カルーショー、エンジニアはジェームス・ブラウン&ゴードン・パリーの二頭立てという『ショルティの指輪』制作陣がそのまま担当するという力の入れよう。後世に語り継がれるオペラを、ウィーンのソフィエンザール(カルーショーがお気に入りだったリング収録場所)で着手。その録音セッショッンの合い間にカルーショーは有名管弦楽曲の録音。何れも全体に覇気が漲っていて、弦も管も美しく技巧的にも完成度は高い名盤を量産。後の EMI や DGG のベルリン・フィル盤にはない魅力タップリのまったく聴いていてダレるような箇所がない。カラヤンの指揮する曲は概して大胆さや迫力にプラスして、丁寧でかつ美しいということです。とりわけ、ゆっくりのテンポの美しい旋律は、カラヤンの最も得意とする部分だと思います。本盤では、例えば、怒濤のような旋律の中で、ぱっと花が咲くように美しいメロディーが流れる。この点にかけては、カラヤンは見逃さず見事に再現している。言い換えればダイナミックレンジが広いとでもいえましょうか。カラヤン&ウィーン・フィルの守備範囲とダイナミックレンジの広さを知らしめるのに役立っていると思います。
《惑星》史上初録音として話題になった盤。魅力を列挙しますと、カラヤンと当時関係良好だったウィーン・フィルとの録音。カルーショーお気に入りだったリング収録場所、ウィーンのソフィエンザールでの録音セッション。ウィーン・フィルの奏でる美音はこの他の録音とは全く別次元の高みに達しています。豊麗にして精妙無比。

販売レコードの写真

カラヤン盤はプレス枚数が多くて、1960年代初頭の発売盤はEdition1からスモール・ラベルまで状態がいいものが今も手に入ります。わたしが当盤を始めて聞いたのは、スモール・ラベルでしたが、程なくして入手したEdition32興味惹かれたのでした。スモール・ラベルは製盤技術が整っているので、スムーズな再生音で楽しめるのですが、音の鮮度、響きの厚みがEditionを遡るほどにいい、聴いていてワクワクしてくるいきいきとした音楽の躍動を体験させてくれます。

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ボールドを筆頭に、ホルストの《惑星》は録音が数多あり、名盤も少なくありません。今回は、イギリス系指揮者以外の録音で、加えてベーシックな範疇でセレクトしました。
ホルスト:組曲「惑星」
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ユニバーサル ミュージック
2018-12-19
カラヤンは最終的には曲を自分に寄せる指揮者ですが、研究肌の音楽家でした。独墺系音楽を得意としていますが、イギリス音楽を知ろうとした意欲が、このウィーン・フィル盤から感じられます。《惑星》をわたしが始めて聴いたときのレコードで、その週末に、レコード店に求めに言ったら、店主からボールトの最初のステレオ盤を強く推されました。
ホルスト:組曲「惑星」
ユニバーサル ミュージック クラシック
2011-09-07
わたしが最も好きな録音。ウィーン・フィル盤は、ホルストの音楽を伝えるような演奏でしたが、そんなこと宇宙時代に解き放ってしまったようなベルリン・フィルとの演奏は壮大なスペースーが音楽を繰り広げます。



ホルスト:組曲「惑星」、エルガー:威風堂々第1番-第5番
ロンドン・フィルハーモニー合唱団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2012-09-19
剛柔のバランスの良い演奏。ショルティの我もこなれています。オーケストラがホルストは自国の音楽家だからと誇っているようです。



映画音楽を楽しむように、クラシック音楽を楽しむ向きに。スター・ウォーズ組曲も併録されていて最適です。



ホルスト:惑星
ニュー・イングランド音楽院合唱団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2001-02-07
ドイツ・グラモフォン録音の《惑星》の定盤。長年に渡って、この曲を聴く上で、はじめに聞いておきたい演奏です。これは発売以来レコードのカタログから消えたことがなく、レコード店で働いていたときに、常備するものとしてレコード会社から指定されていました。そのためか、認知はありましたが、まともに聞いたのは最近のことで。随分と長くおまたせしましたが、白紙の状態で聴くとこれはとてつもない印象を植え付けるでしょう。



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商品名GB DEC SXL2305 カラヤン&ウィーン・フィル ホルスト・惑星