34-29362
通販レコード→GB "ORIGINAL RECORDING BY THE DECCA"WIDE BAND WITH GROOVED ED1

GB DECCA SXL2091 イエペス ソリアーノ アルヘンタ スペイン国立管弦楽団 ロドリーゴ ギター協奏曲/デ・ファリャ スペインの庭の夜

商品番号 34-29362

美肌になれる音楽 ― 20世紀に作曲されたレコード時代のクラシック音楽

ギターという小音量。管弦楽を前にしての協奏曲はマイクによる集音という前提に録音がある。このLPも「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけた。
録音のクオリティも非常に高く、各楽器のソノリティが十分に保たれたサウンドは往年のオーケストラの個性的な響きを伝えてくれる。


ナルシソ・イエペスは1927年スペイン生まれ。生活のために弾いていたカフェで、映画監督ルネ・クレマンに見出され、『禁じられた遊び』の音楽担当に抜擢。主題曲「愛のロマンス」が大ヒットして、国際的な知名度を得る。それが機会となり、1947年ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を弾いて評価され、50年のパリ公演で同曲を弾き名声を高めた。この曲を国際的に広めた最大の功労者。のちに特製の10弦ギターを愛用する。ふくよかな演奏が特徴。盛りだくさんで、イエペスの魅力の一端はとにかく堪能できる。それ以上に堪能できるのがギターの魅力だろう。ていねいな音作り、何度でも聴きたい。小さなオーケストラと言われるように、一本のギターから実に豊かな音楽が紡ぎ出されるさまは十分に楽しめる。

細部まで仕上がりを重視したアルヘンタの職人芸

夭折の指揮者アタウルフォ・アルヘンタは元々ピアニストとして活動していましたが、大指揮者カール・シューリヒトに師事し指揮者へと転向。初期はスペインのALHAMBRA(スペインCOLUMBIA)でサルスエラの録音を残し、1950年代にはスペインをはじめフランスやイギリスのオーケストラと数多くの録音を残しました。が、1958年1月に44歳で突然事故死してしまいますが、僅か3〜4年の短い間に残された録音はどれもがスペインの情熱的な魅力一杯の名盤揃い。アルヘンタの人生は短いものでしたが、若くして人気指揮者となっていたため、実用化されて間もないステレオ方式によるセッション録音の対象アーティストになっていたのは幸いでした。
特にデッカでステレオ録音されたものは元々のクオリティが高く、1955年の『ファウスト交響曲』など、ステレオ最初期のものでありながら、生々しくよく分離した迫力サウンドを楽しむことができます。なかでもイエペスと組んで録音した、本盤ロドリーゴの《アランフェス協奏曲》が、数ある《アランフェス協奏曲》の中でも、作曲家、独奏者、指揮者全てスペイン人と純潔三拍子揃った名盤として群を抜いています。
アルヘンタは地元でスペイン国立管弦楽団などと録音をおこなう際には、スペイン・コロンビアと契約していましたが、当時のスペイン・コロンビアはデッカと提携しており、デッカのスタッフと機材がスペインまで移動してレコーディングをおこなうことも珍しくなく、そのため、アルヘンタのスペイン物音源には、鮮明なサウンドのものが数多く存在します。録音のクオリティも非常に高く、各楽器のソノリティが十分に保たれたサウンドは往年のオーケストラの個性的な響きを伝えてくれる。

芸術は神のほほえみである。

ナルシソ・イエペスは1952年に、パリのカフェで映画監督のルネ・クレマンと偶然知り合い、「映画自体はすでに撮ってあるが、どんな音楽をつけたらよいか決めかねているので、映画のための音楽を担当してほしい」依頼を受けた、映画『禁じられた遊び』の音楽の編曲・構成、演奏を1本のギターだけで行った。そして、その映画が公開されると、メインテーマ曲「愛のロマンス」が大ヒットし、世界的に有名なギタリストとなりました。それから世界各地でリサイタルやオーケストラとの共演を行い、日本にも1960年から1996年までの間に計17回訪問しました。初めて手にしたギターでマスターした曲が《禁じられた遊び》の主題曲だったギター少年がほとんどだったでしょう。フォーク・ソング、グループサウンズがブームになろうとしていました。当時の日本の若者文化に大きな影響を与えたと言えそうです。フォークソンググループ、ジャズやロックのギタリストに育った多くがイエペスの影響でスタートしたと言って過言ではないでしょう。クラシック・ギターというのも知らない、若者に支持されました。それほどギターの音楽が少なかったのでした。

イエペスの師のうちにデ・ラ・マーサの名があるのは当然ですが、ヴァイオリンのエネスコ、ピアノのギーゼキングと発想を変えた楽器の先達の名前があがります。それは、普遍的な西欧音楽での歴史のつながりをみていたのでした。現代には、もっと表現主義的なギター協奏曲も並びます。ロドリーゴの《ある貴紳のための幻想曲》はイエペスが作曲家に依頼し、イエペスのために作曲され、イエペスの演奏で世界初演された多くのギター協奏曲の中の名曲です。セゴビアがギターという大衆楽器を芸術的なものとするために欠かせなかったのはレパートリーの拡充でした。バロック、古典のソル、そして、ロマンのタレガといった例外を除き、ギターの作品のうち、奏者以外のところで認知されている作品はきわめて少ない。そのため、行われたのがバッハなどの既存の曲の編曲であり、ポンセなどに委嘱された新作の提供でした。表現主義を経た音楽多様の時代に、新作として生まれたギター協奏曲は、新古典的な形をもつものが多く、現代的な視点を持つ作品が少ないという事情がありました。特殊な奏法だけでなく、フレットの配置など、ギター作品の作曲には、ある程度の知識が必要でした。編曲ものには、極端に難しいものが多く並び、事情を知らない作曲家も難易度が高くなります。たとえば《アランフェス協奏曲》のロドリーゴの楽器はピアノであり、ギターのデ・ラ・マーサの助言が入れられています。ギタリストが自身の楽器を極めるために、同時にピアノでの発想を必要とする。和音の並び、表現と基礎をピアノに置き、同時にギター的な優位、とくに転調への対応といったものを活かすわけです。イエペスの偉業は、自身も編曲の上、多くのレパートリーを拡充する一方、現代的な作品の紹介にも務めたことにあります。

レコード時代になって有名になった協奏曲。

『ナルシソ・イエペスの芸術』と題して、1975年前後にドイツ・グラモフォンに集大成が録音されますが、本盤は1958年の DECCA ステレオ録音盤。この2作品に限らず、ギターという小音量。管弦楽を前にしての協奏曲はマイクによる集音、音量を増したものという前提に録音がある。第二次世界大戦勃発直前の1941年頃に潜水艦ソナー開発の一翼を担い、その際に、潜水艦の音を聞き分ける目的として開発され、当時としては画期的な高音質録音方式であった。1945年には高域周波数特性を12KHzまで伸ばしたffrr仕様のSP盤を発売し、1950年6月には、ffrr仕様の初のLP盤を発売する。特にLP時代には、この仕様のLPレコードの音質の素晴らしさは他のLPと比べて群を抜く程素晴らしく、当時のハイファイ・マニアやレコード・マニアに大いに喜ばれ、「英デッカ=ロンドンのffrrレコードは音がいい」と定着させた。日本では、1954年1月にキングレコードから初めて、ffrr仕様のLP盤が発売された。1958年7月には、その技術を受け継いだステレオ・レコードであるffss(Full Frequency Stereophonic Sound 全周波数立体音響)を発表、発売。そのハイファイ録音にステレオ感の良さが加わり、「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけた。後年のドイツ・グラモフォンとマルチ録音の違いも、ギターと管弦楽曲のレコードを比較して聞く楽しみがある。民族的な語法をも生かした古典的な佇まいと、先鋭と並存させた曲の組み合わせも魅力的です。


  • Record Karte
  • 1958年1月1日スペイン録音。英DECCA盤はカタログSXL 2091のED1プレスがステレオ初出。TAS SUPER LP LIST2017年のSPECIAL MERITに選出されたのは米LONDON盤です。

販売レコードの写真

  1. GB DEC SXL2091 イエペス&アルヘンタ ロドリーゴ:アラ…
  2. GB DEC SXL2091 イエペス&アルヘンタ ロドリーゴ:アラ…

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アランフェス協奏曲~ナルシソ・イエペス名曲集
イエペス(ナルシソ)
キングレコード
2001-04-04






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