34-19379
通販レコード→ワイドバンド ED2盤

GB DECCA SET292-7 ショルティ ワーグナー・神々の黄昏

商品番号 34-19379

オペラ全曲盤のセッション録音の有難さが結晶化したようなもの ― 三夜の《神々の黄昏》でブリンヒルデを歌うのはスカンジナビア軍団と既に予行演習を済ませたキルステン・フラグスタッドではなく同じく北欧出身ビルギット・ニルソン。こちらもフラグスタッドに負けず劣らずのヴァイキング譲りの大きな体格から発せられる奥行きを伴った深遠な声は、ピッタリ。アルベリッヒの子ハーゲンは父の遺志のために、指輪を奪うことを考えている。彼には異父兄弟のグンターとグートルーネがいる。ジークフリートに過去の女性を忘れさせる薬を飲ませてグートルーネに求婚させ、その条件にブリュンヒルデを騙してグンターと結婚させる。夫の裏切りを怒ったブリュンヒルデはハーゲンにジークフリートの弱点を教える。狩りで記憶を戻したジークフリートはハーゲンに殺されてしまう。ブリュンヒルデは夫を焼く火の中に飛び込むと、ワルハラ城も炎上してしまうという何とも云えない壮絶なストーリーだが、神話の世界のことだと片付けられないような現実感。現代の世界情勢は『指環』の呪いにかかっていたのか。とまれ、このヒロイン・ブリンヒルデを演じられる(歌える)歌手は超限定されてくる。グートルーネにクレア・ワトソン、ヴァルトラウテにクリスタ・ルートヴィッヒ。しかも、ラインの乙女ヴォークリンデにルチア・ポップ、ウェルグンテにギネス・ジョーンズと。ソプラノに恵まれていた時代とはいえ、英デッカの人選は正しかったと思う。これ以上望みようもない最高の歌手達は、この録音に参加できることを栄誉に思い、主役から端役に至るまでベストを尽くしています。戦後のバイロイト音楽祭は、1951年のヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮のベートーヴェンの「第九」により再開されるのですが、オペラ上演で起用された指揮者はハンス・クナッパーツブッシュとヘルベルト・フォン・カラヤンでした。この年、イギリスEMIのウォルター・レッグがバイロイトの「指環」録音権を契約していたにもかかわらず、DECCAのカルショーはクナッパーツブッシュ指揮の「指環」を録音を密かに独断実行します。結果を聴いたカルショーは「ヴァルナイは傑出したブリュンヒルデだった。ルートヴィヒ・ヴェーバーは悪魔のように邪悪なハーゲンだった。そしてクナッパーツブッシュは(略)強大なパワーと激烈さをもって指揮した」と述べています。傑作をものにしたと思ったカルショーでしたが、EMIの録音権のため発売できず、結局お蔵入りになってしまいました。これが発売されていれば、史上初のステレオ録音による「指環」全曲録音となっていたことでしょう。DECCA経営陣もその録音に感動し、商業的成功を確信したはず。特に「神々の黄昏」は合唱付きなので、相当の経費を負担しなければならず、DECCAは「ラインの黄金」「ジークフリート」の商業的(世界的)な成功により、自信をもって取り組んだ。ステレオでの音響効果を追求した優秀録音で知られるショルティ盤は、夢のような音楽世界です。何十年も不動のハンス・リヒターの旧録音の「バッハのマタイ受難曲」と肩を並べて、〝指環四部作〟の決定盤。実演とレコード録音は別物だと既に言い尽くされてきたことながらこの四部作の録音こそまさにオペラ全曲盤のセッション録音の有難さが結晶化したようなものだ。(1964年5,11月ウィーン、ゾフィエンザール録音)
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