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通販レコード→オレンジ金文字、FLAT盤

GB DECCA LXT2839 バックハウス&クラウス ベートーヴェン・ピアノ協奏曲5番「皇帝」

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ドイツ・グラモフォンのスタジオにあったフルトヴェングラーの録音テープを持ち出すことだけでなくて、本盤も第二次大戦の混乱期に乗じて格安で敗戦国隣国オーストリアの財宝ウィーン・フィルを制圧したのも英 DECCA 社の戦勝品とも云える。道義上はどうでも、本盤を聴く度に、連合軍の勝利を素直に喜びたい。そして、英 DECCA 社はウィーン・フィル単体のセッションだけでなく、独奏者を仕立ててウィーン・フィルをバックにした数多くの協奏曲も制作した。鍵盤の獅子王と異名をとる日本でとりわけ人気の高いピアニスト、バックハウスによるベートーベンも高名なマエストロ用意してセッション組んだ本盤はそういう一枚。バックハウスのピアノ演奏は、言い尽くされている通り、特徴が無いのが特徴といえるでしょうか。要は、テクニックをひけらかすわけでもなく、その澄んだ音色ともあいまって、ひどくシンプルなのです。若い時の思い上がりを思い直して、一生懸命強制に励んだ大演奏家もいましたが、バックハウスは人気絶頂の影で、練習をする時間が保てなかったのでしょう。とあるパーティーで気乗りしてなさそうな若い青年にご婦人が話しかけた。『バックハウスさん、暇な時に何をしているのか?』と質問されて、『ピアノを弾いています』と答えたのは有名な話。まさにピアノ一筋の人で鍵盤の獅子王にふさわしいエピソードです。練習がしたくても、スコアを研究する時間が捻出できなかったのでしょう。只々スケールで指慣らしをすることが日課だったと伝わっています。でも、繰り返し聞いていると、何か、そのピアノが、まるで、融通無碍の境地で、自由に、ベートーベンの音符と戯れているように、静かな所は静かに、激しいところは激しく、聴こえて来るところが、彼の魅力と言えるでしょうか。淡々とした時間が流れているのを楽しみたい時に良く選んで聞いています。小学6年生の時に、マツモトレコードで長考して買ったレコードでした。熊本の繁華街の一等地にあったマツモトレコードは東京で言えば銀座の有名レコード店のような存在。小学生にはクラシック売り場は神聖な印象でした。レコードは自由に試聴が許されていたので、馴染みになると入り浸っていましたがジャケットのデザインがとっつきにくそうだけど魅力を放っていたので決めました。これを聴くと音楽の聴き方をリセットできています。思い入れはどうであれ、バックハウスのパワーと権威については疑問の余地がない。
GB DEC LXT2839 バックハウス&クラウス ベート…
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