34-15973
商品番号 34-15973

通販レコード→ 英ブルー・レーベル黒文字盤 DIGITAL
大作曲家の埋もれた秘曲を優秀な録音で ― ストコフスキー・フリークでもある指揮者、ジェフリー・サイモンはストコフスキー協会会長でもあるだけに留まらず、ロンドンで自らCALAレーベルを設立して、その復刻に尽力。彼の意向が反映した埋もれた作品の発掘にも積極的で、大作曲家の珍しい作品ばかりを世に出して話題となった世界初録音盤も多く存在します。本盤は、そうした特徴が顕著に現れている。スメタナの歌劇「売られた花嫁」序曲は、コンサート・ピースとしておなじみだが、歌劇から管弦楽が際立つナンバーを繋いで交響組曲風に仕立てている。さらに弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」はジョージ・セルが編曲してクリーヴランド管弦楽団と録音したことで有名な管弦楽版での演奏。つくづくレオポルト・ストコフスキーに倣ったという趣だ。普段演奏しない楽曲で、ロンドン交響楽団の楽団員は楽しかったろう。珍しい曲と、優秀録音。印象に残るジャケット・デザインで話題となった、シャンドスを代表する録音だ。とくに、〝シャンドス・サウンド〟とも呼ばれる、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、ジェフリー・サイモンはブライアン・カズンズについて大変優れた耳を持っており、常人には聴こえない音を聴くことができるエンジニアだったと語っている。カタログには、知名度の高い作曲家の作品はもちろんのこと、ハーバート・ハウエルズ、ジェラルド・フィンジ、チャールズ・スタンフォード、アーノルド・バックスのようなあまり知られていないイギリスの作曲家による交響曲や合唱曲、吹奏楽曲、室内楽曲が多く含まれている。初めて制作した録音はエルネスト・ブロッホの『神聖祭儀』(アヴォダート・ハコデシ)で、当初から新人の発掘には力を入れており初期の録音にはマリス・ヤンソンス、ナイジェル・ケネディ、キングズ・シンガーズといったアーティストが著名になってEMIと契約を締結する前に残した作品があるほか、リチャード・ヒコックス、ジャナンドレア・ノセダ、ネーメ・ヤルヴィ、ヴァーノン・ハンドリーといった指揮者が録音している。
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スメタナは1876年の6月に弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」の作曲を始め、同年暮れに完成した。しかし、全体に、とりわけ第3楽章の演奏が難しすぎると不評で、腕達者だった若いドヴォルザークがヴィオラを受け持って、ようやく1978年の私的初演が行われた。公開初演は1879年まで待つことになりました。ベートーヴェンの「運命」の主題を連想する「タター・タ」を奏する第1楽章は、「青年時代の芸術にひかれた気持ち、ロマンチックな雰囲気、自分ではよくわからない何かへの名状しがたいあこがれ、将来へのある種の不吉な予感」を描いている。楽聖が突然襲われた聴覚の障碍という運命に自分の身を重ね合わせたものでしょうか。第2楽章は、「心に楽しかった青春の日々をよみがえらせてくれるもので、当時はダンス音楽を作曲し、熱烈なダンス狂だった」頃の楽しさ、懐かしさなどを感じさせる民族舞曲。「のちに忠実な妻となる少女(カテジナ・コラージ)との初恋の幸福な思い出をよみがえらせるもの」であるとしているそうなチェロの雄弁なエスプレッシーヴォの後で第1ヴァイオリンが優しく、しかし表情豊かに歌い、第2ヴァイオリンとヴィオラがこれを支える第3楽章の音楽は、やがて厳しい表情に転じ晴れやかで活発な音楽が奏される中、突然ノコギリ波が響き渡ると少し希望を持たせたピツィカートで唐突に全曲を閉じます。この終楽章は、「民族的な要素を音楽で扱う道を見出し仕事が軌道に乗り出して喜んでいるところへ待ったがかかり、聴覚障碍に見舞われるという悲劇」と、「悲惨な先の見通しや一抹の回復への希望など」を描いている。
初期はイギリス音楽に特化していた「シャンドス」(Chandos)レーベルの名称は、ヘンデルが宮廷作曲家として使えたジェイムズ・ブリッジス(第1代シャンドス公爵)に由来する。1979年に、イギリスの実業家ブライアン・カズンズが、発売されたばかりのソニー製PCM録音機を使っての自主制作を行なった。とくに、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、1983年以降、CDの一般への普及とともに、シャンドスはその業績を急激に伸ばしていった。サウンドにおいては、同時期に立ち上がったテラークと比較されることの多いシャンドスだが、ワンポイントではなくデッカ譲りのマイク・アレンジを駆使し、豊かなホールトーンと繊細なオーケストラ・イメージを描いている。デジタル黎明期に成功を収めた新興レーベルの雄としてのイメージが強いが、社長でありプロデューサーのカズンズがカタログ・ラインナップから音作りまで一貫して管理し、厳密にシャンドスのレーベル・イメージを作り上げてきた。母体は1963年設立のバンド・ミュージックの出版を手がけるシャンドス・ミュージック及び1970年設立のシャンドス・プロダクションズで、クラシック・フォー・プレジャーのほか、もっぱらRCAのイギリスのクラシック音楽を対象としたレーベルのためにLP制作を手がけていた会社で、カズンズはフリーの音楽プロデューサー兼エンジニアとしてその業務を行っていた。1979年にRCAがロンドンにおける業務から撤退したことに伴い設立された、ヴィンテージ・レコード・ファンがデッカや、H.M.V.の音作りを思い出すのが納得できる。
1986年リリース、ステレオ・デジタル録音。
GB Chandos ABRD1149 ジェフリー・サイモン スメタ…
GB Chandos ABRD1149 ジェフリー・サイモン スメタ…