1. Otto Klemperer
  2. 34-28613
通販レコード→GB 英国初出 ORIGINAL 160g重量盤

ぶっきらぼうな即物性の中に威厳と風格と古武士のような気概が交錯する、フォルムのがっしりした極めて構築的な名演。

情緒に流されず音楽の各要素だけをスマートにまとめ上げているだけに外見は無愛想極まりないが、そこにシニカルなブラームスの憧憬と挫折感が胸に浸み込みます。
第1楽章冒頭からオットー・クレンペラーとしては不思議なほど豊かな情感の示される演奏を聴かせており、改めてこの作品の巧みな書法に思いが至ります。演奏もそうした書法を強調するかのように個性的で、リズミカルな第2楽章や、スケルツォでの大パウゼなど聴きどころ多数。もちろん、終楽章での千変万化する素材と様式感の融合も見事なものです。
クレンペラーの演奏は筋肉質で、色彩感覚が乏しいがバランスを崩さないどころか、絶妙のさじ加減でセピアなロマンティック(その代表が、ブルーノ・ワルター指揮コロムビア交響楽団)に陥りがちな『第4番』を・・・だからこそか、一層魅力的に聴かせてくれる。
クレンペラーのブラームスの4曲の交響曲の中で一番素敵だ。超スローテンポの中に漂う絶妙な香り。何ものにも揺るがない安定感と、確かに古いスタイルながら純粋にスコアを再現した音が、本盤には一杯詰まっている。オーケストラの配置が第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが指揮者の左右に配置される両翼配置とか対抗配置とか言う、古いスタイルで、左右に分かれた第1、第2ヴァイオリンのかけあいや中央左手奥に配置されたコントラバスの弾みのある低音が極めて効果的に働いていて、包み込まれるような感覚はステレオ録音で聴く場合には、やはり和音の動きなどこの配置の方が好ましい。ゆったりとしたテンポをとったのは、透徹した目でスコアを読み、一点一画をおろそかにしないようにしていることで隠れていた音符が一音一音浮かび上がってきます。
この気迫の籠った快演は聴き手に感動を与えずにはおきません。フィルハーモニア管弦楽団は、まさにクレンペラーの為にウォルター・レッグが作り出した楽器だと言う事、しみじみと感じました。
英EMIの偉大なレコード・プロデューサー ウォルター・レッグは、1954年に目をかけていたヘルベルト・フォン・カラヤンがベルリンに去ると、すぐさま当時、実力に見合ったポストに恵まれなかったクレンペラーに白羽の矢を立て、この巨匠による最良の演奏記録を残すことを開始した。このレッグが理想とした、クラシック音楽の基準となるレコード盤をつくるという大仕事は、彼がEMIを去る1963年までクレンペラー&フィルハーモニアによって夥しい数が生み出されました。
この時代はモノーラル・テイクとステレオ・テイクが同時進行していました。モノーラルはダグラス・ラター、ステレオはクリストファー・パーカーと、それぞれ違うプロデューサーが担当していました。
  • 演奏:オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団
  • 録音:1956年11月、1957年3月ロンドン、キングズウェイ・ホール。
  • プロデューサー&エンジニア:ウォルター・レッグ&クリストファー・パーカー, ダグラス・ラター
  • 1956年から57年にかけての録音で、70歳代になったばかりで気力充実のクレンペラーが残した名演。ややスローながら、遅くなりすぎず正統的なテンポ感で統一された、クレンペラーとフィルハーモニアの生み出したステレオ初期の名盤。各パートはクレンペラーらしい厳格さに満ちているが、全体の印象は厳めしいだけでなくロマンの香りも感じられる名演奏。貴重な英国オリジナル盤です。モノラル盤。

販売レコードの写真

  1. GB COLUMBIA 33CX1591 オットー・クレンペラー ブ…
  2. GB COLUMBIA 33CX1591 オットー・クレンペラー ブ…

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲
クレンペラー(オットー)
EMIミュージック・ジャパン
2005-03-02


Bach: Orchestersuiten
Klemperer/Philharmonia Orchestra
DOCUMENTS
2012-07-27


バッハ:マタイ受難曲(SACDハイブリッド)
クレンペラー(オットー)
ワーナーミュージック・ジャパン
2015-05-13


ブラームス:交響曲第1番
クレンペラー(オットー)
EMIミュージック・ジャパン
2005-07-21


バッハ:管弦楽組曲(全4曲)(SACDハイブリッド)
クレンペラー(オットー)
ワーナーミュージック・ジャパン
2016-12-21




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