34-19568
通販レコード→ブルー・ラベル盤

GB CBS 72082 スターン&オイストラフ ヴィヴァルディ・2台ヴァイオリン協奏曲

《雪が融け、到来する春を言祝ぐような音楽。 ― バロック音楽のオーセンティシティよりも、フィラデルフィア管弦楽団の充実したストリング・サウンドの魅力と凄さを伝えるアルバム。》豊麗かつ芳醇なフィラデルフィア管の弦楽パートの特質を余すところなく捉えたLP初期の名盤。イ・ムジチが一世風靡したバロック音楽を受けて立った巨匠たちの風格を聴こう。二人の巨匠が同時に颯爽と登場する瞬間はゾクッと肌の毛が逆立ってしまうほどの感動を覚えます。太くて深々としたオイストラフ、輝くように躍動するスターン。オーマンディが率いるフィラデルフィアサウンドの美麗な弦楽アンサンブルの音。東西両巨匠のオイストラフとスターンが第1、第2ヴァイオリンを2曲ずつ分け合った、まさに夢の競演というにふさわしい演奏。2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 RV514、2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ短調 RV509、2つのヴァイオリンのための協奏曲ト短調 RV517、2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ長調 RV512 の4曲を交互にソロをとっています。最近発売されたCDとは、順番が異なり。二人の演奏スタイルの違いを聴き比べることも興味深いものですが、なによりも両巨匠の貫禄がせめぎ合い切磋琢磨し、驚くべきことに長年共演してきたかのように息の合った演奏を聴かせます。そして、協奏曲の伴奏が巧いオーマンディだけに2人のヴァイオリニストの長所を引き出す名人芸は実に素晴らしい。バロック音楽のオーセンティシティよりも、フィラデルフィア管弦楽団の充実したストリング・サウンドの魅力と凄さを伝えるアルバムで、LP時代から名盤の誉れ高いアルバムです。コロンビアならではの「360サウンド」の鮮明なサウンドも聴きごたえたっぷりです。この二人の縁はなんぞやと思って調べてみました。ふたりともロシア生まれのユダヤ系ですが、スターンは1歳のときにサンフランシスコに家族が移住したのでアメリカ出身といってよい。スターンは51年のエリザベス国際コンクールに優勝。その時の審査員のひとりがオイストラフ。こうして出会ったふたりが、オイストラフのセンセーショナルな米国デビューツアーの際、セッション録音を組んだというものです。1954年スターリンの死去とともにソ連では自由化の雰囲気が顕著となります。「雪解け」という表現が日常語になるのはこの頃、これをいち早く反映した小説「雪どけ」に由来します。この時に、東西冷戦のベールに覆われていたソ連の音楽家が西側に次々と登場してきます。オイストラフはその先頭を切って55年に米国デビューを果たします。このLPはその時分に録音されたものです。ユニークにも思える取り合わせの演奏が録音された時期で、LPレコードが面白いと思える一つです。また、ランパルとスターンが2台のヴァイオリンのための協奏曲をフルートとヴァイオリンで演奏したものをちょっと前に案内していますが、ランパルが一方のヴァイオリン・ソロをフルートで演奏したスターンとの2つのヴァイオリン協奏曲集は明るく優雅で輝きを放つ音色が新鮮な魅力を持つ演奏です。
1959年12月31日、ニューヨーク、コロンビア30丁目スタジオ録音。ジョン・マックルーアがプロデュース。
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