通販レコード→FR LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE, MONO 140㌘重量盤 2N/1N
FR VSM FALP543 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ブラームス 交響曲3番
商品番号 34-30355
《フルトヴェングラーの真髄を味わう決定盤》
フルトヴェングラーの疾風怒濤のドラマティックなスタイルとは。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの《ブラームス:交響曲第3番》は3種の録音がレコード化されているが(すべての演奏がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)、中でも早くから知られた演奏が1949年のEMI盤だ。SPレコードとして発売当時、この演奏は1954年にドイツ・グラモフォン盤が出るまでは唯一の演奏で決定盤とされていた。後者の巨匠最晩年の完熟したドイツ・グラモフォン盤に対し、当盤は、疾風怒濤のドラマティックなスタイルで聴き手を酔わせてくれる。
第2次世界大戦を挟んで大活躍した人気指揮者。クライバー、トスカニーニ、ワルター、クレンペラーに、ビーチャム、シュミット=イッセルシュテット、オーマンディ、ベーム、カラヤン、クーベリックは戦争後にもレコードで数多くの演奏を残した。ボスコフスキー、バーンスタイン以降は戦後からスタートを切った指揮者らだ。
しかし、戦争中の演奏、録音を高く評価していることがある、フルトヴェングラーの音楽を考える時は、フィルターを掛けることが大事だ。戦争の時代心理を離れて、〝バイロイトの第九〟を境に、フルトヴェングラーの音楽は転換した。前進かもしれないが、彼がやりたかった音楽表現が指折るほどしか残さなかった、遺せなかった、1951年以降のレコードに尽くされていると、わたしは信じて疑わない。
レコードであれ、演奏会であれ、クラシック音楽を聴く楽しみの一つに同じ作品を異なった演奏で聞くことがあげられます。近年では70歳を過ぎても現役で活動しているロック・バンドや、50歳を過ぎ、60歳になったアイドルだった歌手やミュージシャンが、デビュー当時のナンバーをステージで披露しているので、クラシック音楽レコードの愛好家の気持ちも共有できそうですが、同じ曲を時を経て録音している演奏家であればなおのこと、生涯や時代の出来事も背景に、様々なアプローチに接することは興味深いことです。時には「どれが決定盤か?」と不毛な論議を巻き起こしたりもすることも、非生産的ではあっても、後々に関心を抱く人の「楽しみ」の糧になるのです。前置きはこのくらいに。
第1楽章の勇壮な(アレグロ・コン・ブリオ)音楽ゆえにか、「ブラームスの英雄交響曲」と言われたりもする交響曲第3番ヘ長調作品90。フルトヴェングラーはここでもブラームスの交響曲をこの上もなく劇的なドラマとして聴かせてくれます。第1楽章で、フルトヴェングラーは、きわめて重要な部分を繰り返すことによって、作曲家の意図に重みと深みを加える。この作品、実に明るく、そして華々しく開始されます。荒々しく叩き込むようなクレッシェンド、つんのめりそうな激しく揺れるテンポ。音楽が行先を探して前進し始めると、熱気を帯び、沸々と熱情が湧き上がってくる。聴き手が心を掴まれてしまう、ここぞフルトヴェングラーを聴く醍醐味である。
しかし、その明るさや華々しさが音楽が進むにつれてどんどん暗くなっていきます。第1楽章が荒々しいほど激しいほどコントラスト効果で、明から暗へ、そして内へ内へと音楽は沈潜していきます。第2楽章、アンダンテ。ここではしっとりと奏でるクラリネットや詠嘆調のオーボエなど、くすみがかった木管がしっとりと弦楽に溶け込み室内楽的なアンサンブルを堪能させてくれる。それは室内楽と管弦楽の混ざりあったようなもので、同じ時代に生きながらも、ブラームスはワーグナーとはちがって、金管の使い方などが古風で、それだけに、木管が非常に重視されていた。このずいぶん地味な艶消しをしたような音色、これがブラームスの音色なのだ。
虚空に向かって泣き叫ぶ木管の悲しみの旋律が急き立てるような切迫感を伴っている。暗い翳りを帯びた間奏曲風な第3楽章ポコ・アレグレットを経て、おどろおどろしく開始するアレグロのフィナーレへ。陰鬱なコラールが呪われた運命を予告すると、強烈なトロンボーンのぶつかりあいが合図のように、切り刻むような弦の律動と落雷のようなティンパニを打ち込んで音楽は戦闘的に燃え上がる。
1949年録音の本盤の特徴として、この後もフルトヴェングラーはティンパニの連打を求めているが、ブラームスのスコアにはない。この楽譜にないティンパニは、無我夢中に疾走する男のなりふり構わぬ姿か。
このフィナーレを、情熱があまりに激烈すぎると評してもいいが。しかし、演奏の熱烈さ故に、聴き手は文句なく押し流されてしまう。最後には、第1楽章の最初に奏でられる分散和音の主題が消えゆくように奏されて全曲を締めくくります。
ヴィオラが淋しげに奏する変奏の中から音価を拡大したコラールが光明となって、静かに回想するように溶解してゆく安息感が心地よく、闘い終えた男に次代の希望の陽光が降り注いでいるのが感動的である。
しかし、戦争中の演奏、録音を高く評価していることがある、フルトヴェングラーの音楽を考える時は、フィルターを掛けることが大事だ。戦争の時代心理を離れて、〝バイロイトの第九〟を境に、フルトヴェングラーの音楽は転換した。前進かもしれないが、彼がやりたかった音楽表現が指折るほどしか残さなかった、遺せなかった、1951年以降のレコードに尽くされていると、わたしは信じて疑わない。
レコードであれ、演奏会であれ、クラシック音楽を聴く楽しみの一つに同じ作品を異なった演奏で聞くことがあげられます。近年では70歳を過ぎても現役で活動しているロック・バンドや、50歳を過ぎ、60歳になったアイドルだった歌手やミュージシャンが、デビュー当時のナンバーをステージで披露しているので、クラシック音楽レコードの愛好家の気持ちも共有できそうですが、同じ曲を時を経て録音している演奏家であればなおのこと、生涯や時代の出来事も背景に、様々なアプローチに接することは興味深いことです。時には「どれが決定盤か?」と不毛な論議を巻き起こしたりもすることも、非生産的ではあっても、後々に関心を抱く人の「楽しみ」の糧になるのです。前置きはこのくらいに。
第1楽章の勇壮な(アレグロ・コン・ブリオ)音楽ゆえにか、「ブラームスの英雄交響曲」と言われたりもする交響曲第3番ヘ長調作品90。フルトヴェングラーはここでもブラームスの交響曲をこの上もなく劇的なドラマとして聴かせてくれます。第1楽章で、フルトヴェングラーは、きわめて重要な部分を繰り返すことによって、作曲家の意図に重みと深みを加える。この作品、実に明るく、そして華々しく開始されます。荒々しく叩き込むようなクレッシェンド、つんのめりそうな激しく揺れるテンポ。音楽が行先を探して前進し始めると、熱気を帯び、沸々と熱情が湧き上がってくる。聴き手が心を掴まれてしまう、ここぞフルトヴェングラーを聴く醍醐味である。
しかし、その明るさや華々しさが音楽が進むにつれてどんどん暗くなっていきます。第1楽章が荒々しいほど激しいほどコントラスト効果で、明から暗へ、そして内へ内へと音楽は沈潜していきます。第2楽章、アンダンテ。ここではしっとりと奏でるクラリネットや詠嘆調のオーボエなど、くすみがかった木管がしっとりと弦楽に溶け込み室内楽的なアンサンブルを堪能させてくれる。それは室内楽と管弦楽の混ざりあったようなもので、同じ時代に生きながらも、ブラームスはワーグナーとはちがって、金管の使い方などが古風で、それだけに、木管が非常に重視されていた。このずいぶん地味な艶消しをしたような音色、これがブラームスの音色なのだ。
虚空に向かって泣き叫ぶ木管の悲しみの旋律が急き立てるような切迫感を伴っている。暗い翳りを帯びた間奏曲風な第3楽章ポコ・アレグレットを経て、おどろおどろしく開始するアレグロのフィナーレへ。陰鬱なコラールが呪われた運命を予告すると、強烈なトロンボーンのぶつかりあいが合図のように、切り刻むような弦の律動と落雷のようなティンパニを打ち込んで音楽は戦闘的に燃え上がる。
1949年録音の本盤の特徴として、この後もフルトヴェングラーはティンパニの連打を求めているが、ブラームスのスコアにはない。この楽譜にないティンパニは、無我夢中に疾走する男のなりふり構わぬ姿か。
このフィナーレを、情熱があまりに激烈すぎると評してもいいが。しかし、演奏の熱烈さ故に、聴き手は文句なく押し流されてしまう。最後には、第1楽章の最初に奏でられる分散和音の主題が消えゆくように奏されて全曲を締めくくります。
ヴィオラが淋しげに奏する変奏の中から音価を拡大したコラールが光明となって、静かに回想するように溶解してゆく安息感が心地よく、闘い終えた男に次代の希望の陽光が降り注いでいるのが感動的である。
巨匠フルトヴェングラーが全身全霊を傾けて第2次世界大戦中に、戦禍の中の市民の前で演奏を続けた、闘う男のドラマを具現した必聴の1枚だ。
これはブラームスを聴くよりはフルトヴェングラーの名人芸を味わうべき演奏だと思う。彼は音楽を完全に自己の個性の中に同化してしまっている。テンポの極端な流動感、ドラマティックな設定、スコアにないティンパニの追加など、さながらフルトヴェングラー作曲の交響曲を聴く想いがするほどだ。ことにおどろくべきは、フレーズとフレーズの有機的な移り変わりで、その密接な血の通わせ方は際立って見事であり、これだけ自由自在な表現なのにもかかわらず、作り物の感じが皆無で、音楽が瞬間瞬間に生まれ、湧き起こってくる。まさにフルトヴェングラー芸術の真髄ではなかろうか。― 宇野功芳著 『フルトヴェングラーの名盤』より、TOCE8511、芸術現代社、1977年
- Record Karte
- 演奏:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 録音:1949年12月18日ベルリン、ティタニア・パラスト。
- ブラームス:交響曲3番ヘ長調作品90
- フルトヴェングラーのライヴ録音の中でも特に人気の1949年のブラームス3番。英国EMIからの発売は無く、オリジナルの独エレクトローラ盤に次ぐ評価の仏VSM盤です。
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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