34-27850
通販レコード→FR FLESH WITH BLACK LETTERING

FR VSM 2C051-03587 ウィルへレム・フルトヴェングラー ベートーヴェン「運命」1937年ベルリン録音

商品番号 34-27850

テンポの揺らぎは最小限で、構成美、造形美に裏打ちされた名演。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの《第5》の名演としては、1947年の復帰後のコンサートの3日目のライヴ録音が超名演として知られているが、SPレコード時代のフルトヴェングラーの《運命》と言えばこれを指す。フルトヴェングラーの『運命』である。彼は生涯に渡ってこの曲を148回ステージに上げた、とものの本には書かれている。ベートーヴェンの交響曲全9曲の中で最も多い(第2位は7番の130回、『英雄』は88回で、『合唱』は61回)。岩波新書「フルトヴェングラー」には、戦前の日本のレコード雑誌で野村光一が「フルトヴェングラーは吉右衛門の芸風に似ている」と書いた、とある。丸山真男がそれを解説して「大見得を切っているようでいて、実は非常にすみずみまでピリピリと神経が通っている」神経質なベートーヴェン、と言っている。「全体に古典的格調が高度に保持された好演である」と諸井誠の「フルトヴェングラーの『運命』」で述べている。録音は、1937年のスタジオ録音であるが、スタイルとしては47年盤をスタジオ録音にしたような、迫力のある名演である。


録音は、1937年のスタジオ録音であるが、ベルリン、フィルハーモニーの小ホールであるベートーヴェンザールでの演奏録音が、電話線でエレクトローラの原盤カットルームに中継され、そこで原盤が作成された。当然SPレコード録音でテープ収録ではない。SPレコードでのライヴ録音であり、録音の状態が非常に良く、フルトヴェングラーの指揮もきわめて若々しく雄渾である。とにかく止まることなく、音楽が生き生きと回りつづけるのです。フルトヴェングラーのライブがいかに凄まじいものであったのかを再認識。フルトヴェングラーの全盛期は1930年代と主張される識者の方も多数おられるところであり、本演奏においても、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルの黄金時代の演奏がいかに重厚で深みのあるものであったのかがよく理解できるところだ。


この録音には全盛時代の輝きが認められる。

ベルリン・フィルのひびきがすばらしく、アンサンブルも練れ、フルトヴェングラーの表現も熟しており、音楽的な格調の高さでは1954年のスタジオ録音、劇的迫力では1947年のライヴ録音に注目したいが、彼の数多い《第5》の中でも、最も整然たる演奏といえよう。ここには1947年盤のような〝熱狂〟はない。その代わり古典芸術の粋を聴くような整然さ、格調がある。運命動機の提示は遅く、ものものしく、フルトヴェングラー以外の何ものでもないが、主部は大変速く、リズムの刻みも颯爽としている。スケルツォ中間部の推進力もすばらしい。反面、第2楽章では、内面的な表現と音色で、じっくりと感情移入を果たすなど、曲想の描き分けがはっきりしている。フィナーレでは、遅いテンポで堂々と踏みしめる提示部と、速いテンポの再現部が極端に違うのも、1937年盤が、じっくりとベートーヴェンに向き合えるような興味深い解釈だ。もちろん、楽想と楽想の繋ぎ方、緩急のつけ方などにフルトヴェングラーならではの聴かせ所はあるが、その上でのとても落ち着いた、静けさをたたえた音楽の振る舞い。これは後の録音にも共通するフルトヴェングラー独特の造型である。

  • Record Karte
  • 1937年10月8日、11月3日ベルリンでの録音。1978年発売、フランス・パテ社製。

CDはアマゾンで

ザ・ヴェリー・ベスト・オブ
メニューイン(ユーディ)
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-07-09


ブラームス:ヴァイオリン協奏曲&ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
フルトヴェングラー(ヴィルヘルム)
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-11-12


メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
フルトヴェングラー(ヴィルヘルム)
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-11-12


ベートーヴェン:交響曲第5番
フラグスタート(キルステン)
ワーナーミュージック・ジャパン
2011-05-25


関連記事とスポンサーリンク
商品名FR VSM 2C051-03587 ウィルへレム・フルトヴェングラー ベートーヴェン「運命」1937年ベルリン録音