34-10038

商品番号 34-10038

通販レコード→仏レッド"Trésors Classiques"白文字盤

世知辛い21世紀に塗れて生きている者には、突き抜けた古典美が眩し過ぎる。 ―  グルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」は1762年にウィーンの宮廷劇場で初演されました。台本はラニエロ・ダ・カルツァビージによるイタリア語、後にピエール・ルィーズ・モーリンによるフランス語版も書かれ、パリ初演は1774年でした。この物語は1600年にカメラータ達により現存する最初のオペラ「エウリディーチェ」として制作された後、1607年にモンテヴェルディによりマントヴァで初演された、オペラ草創期の代表的な題材であり、ギリシャ神話の有名な物語から取られています。ギリシャ悲劇を音楽劇として再現しようとしたカメラータ達にとってギリシャ神話がその主な題材となっていました。そしてグルックは162年後に将に画期的な「オルフェオ」を作曲して、モーツァルトにオペラの松明を直接手渡しました。有名なギリシャ神話「オウィディウス」を基にしたこのオペラは、日本人歌手が最初に上演した本格的なオペラとして日本洋楽史上でも記憶される作品で、グルックが、ドラマに密着した音楽により、従来のオペラを形式的芸術から、人間的感情表現へと深化させる革命を行った改革理論を実践で示した名作。クリストフ・ヴィリバルト・グルック(Christoph Willibald von Gluck, 1714〜1787)は、ウィーンの宮廷作曲家で、18世紀のオペラ改革者。過剰な技巧を排し、オペラを劇的に真実なものとするために尽力しました。ウィーンを本拠地として国際的に活躍しましたが、特に1770年代のパリにおける活動が有名です。モーツァルトが活躍したこの時期には、ウィーンの音楽界の大御所であり、ウィーンでのモーツァルトの人気が高まり、嫉妬ややっかみ、妨害などが多くなってきたときに、長老格のグルックだけはモーツァルトに対して好意的だったと言われています。そして、モーツァルトの演奏会にも時々顔を出していました。またモーツァルトを食事に招待したこともあります。そんなこともあり、モーツァルトはグルックに敬意を表して、「グルックの主題によるピアノのための10の変奏曲ト長調 K455」を作曲しています。グルックは亡くなるまで、ウィーンの宮廷作曲家の地位にありました。そこで皇帝ヨーゼフ2世は、グルックの死によって空いた宮廷作曲家のポストにモーツァルトを任命しました。モーツァルトもついに晴れて、力量相応の地位についたことになります。宮廷作曲家となり、それなりに固定収入も上がったモーツァルトの生活は、いったんは楽になります。ただ、翌年の1788年2月からはハプスブルク帝国とトルコとの戦争が始まり、ウィーン市民の生活は次第に音楽どころではなくなります。皇帝ヨーゼフ2世も、戦争への対応に追われ、自らも出陣し、音楽に関する関心も薄れていきます。1788年と言えば、まさにフランス革命の前年です。モーツァルトは映画「アマデウス」で言葉はなんでも構いませんと言ってましたが、ドイツ語オペラを成立させたのがグルックでした。その初期古典派に導いた大きな役割を果たしたのが彼自身です。〈オペラ革命〉は当時、大砲や銃を使わない戦争を起こしたような革新的な考えでした。モーツァルト以降のオペラを啓蒙した重要な作曲家と認められて、グルックのフランス語のオペラは、今でこそ人気がありますが、かつては上演が非常に珍しいものでした。グルックはフランス革命の直前に亡くなっている人ですが、音楽はロマン派よりもドラマチック。感性はとても現代的です。表現の豊かな歌唱で、グルックのオペラ蘇演に大いに後押しとなった、ジャネット・ベイカーの気品ある歌は、四半世紀以上経った今聴いても実に感動的です。
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女声版ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウと称されるほど、バロックから近現代まで驚異的に幅広いレパートリーを誇ったデイム・ジャネット・ベイカー(Janet Baker)の肌理細やかなニュアンスを施した歌唱。ベイカーの声はしっかりした芯がキリッとした印象を与え、歌の強さを誇示せんばかり。クラシックを聴く人は知らない人はいないでしょう。しっかりと芯を感じる筋の通った歌唱。冷徹な色気とでもいうような気配が漂います。1933年生まれのイギリスのメゾ・ソプラノ。ベイカーは、サー・エイドリアン・ボールトやサー・ジョン・バルビローリ、オットー・クレンペラーといった巨匠たちから信頼されて、英デッカや蘭フィリップスに多くのレコーディングを行なってきた。ベイカーの声は、キャリアの最初は低音寄りで、次第に高域が充実するという変化を見せましたが、解釈は常に緻密・正確で、声のコントロールにも秀でており、オーケストラ付き大作などでの高度な表現力には定評がありました。楽曲のメロディーラインがはっきりしてくると、主旋律をクッキリ浮かび上がらせるようにはっきりと歌います。1956年にキャスリーン・フェリアー賞を受け、ザルツブルクのモーツァルテウムに留学、1959年にロンドンの王立音楽アカデミーで女王賞を授与され、1960年に歌手としての本格的な活動を開始、ロンドンやエディンバラのリサイタルで成功を収めた。1962年にはクレンペラー指揮するマーラーの『復活』で評判となり、1966年からはロイヤル・オペラやグラインドボーンでのオペラの舞台でも活躍するようになります。グラインドボーン音楽祭で「ディドとエネアス」のディドを歌い、絶賛を博したベイカーは、バロック・オペラを初め、モーツァルト、ワーグナー、リヒャルト・シュトラウスから、ブリテンなどのオペラで活躍する一方、バッハのロ短調ミサのような宗教曲や、スカルラッティからマーラーにいたる歌曲などのコンサート歌手としても卓越した才能を発揮した。温かみのある美声と正確な歌唱は高く評価されており、真摯な学研的姿勢はそのレパートリーの広さにも表れている。

Airs D' Opéras De Gluck

Side-1
  1. 歌劇「アルミード」 - 第5幕 不実なルノーはわたしを捨てた
  2. 歌劇「アウリスのイフィゲニア」 - 第2幕 お前たちが試みても無駄なこと
  3. 歌劇「タウリスのイフィゲニア」 - 第4幕 いいえ、このような恐ろしい務めを
  4. 歌劇「アウリスのイフィゲニア」 - 第3幕 さようなら、あなたの心に愛を
  5. 歌劇「アルチェステ」 - 第1幕 ステュクス河の神々、死の神の使者たち

Side-2
  1. 歌劇「メッカの巡礼、または思いがけないめぐり合い」(抜粋)
  2. 歌劇「パリーデとエレーナ」(抜粋)
  3. 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(抜粋)
レイモンド・レッパード(Raymond Leppard)は、1927年8月11日にイギリスのロンドン生まれ。サー・コリン・デイヴィスと同世代。ケンブリッジのトリニティ・カレッジでチェンバロを学んだ。そして、1952年にロンドンで指揮者としてデビューし、イギリス室内管弦楽団との共演によってバロック音楽の指揮者として、またチェンバロ奏者としても名声を博し、1956〜1968年にはロイヤル・シェイクスピア劇場の音楽監督をつとめ、グラインドボーン音楽祭でも活躍した。1973〜1980年、BBCノーザン室内管弦楽団の首席指揮者となったが、1977年にアメリカに移って市民権を得ており、1983年からはセントルイス交響楽団の首席客演指揮者を務めた。日本との関係は1970年、大阪万博にイギリス室内管と来日している。レッパードは、ヴェネツィア楽派の研究でも知られており、モンテヴェルディのマドリガーレ集(1971年)や2度目の録音となったパーセルのディドとエネアス(1985年)はその代表盤である。しかし、そのレパートリーをバロック音楽に限定せず、古典派やロマン派、さらに近代の作品でも、その時代と様式を的確に捉えて溌剌と端正な演奏を聴かせてくれる。イギリス室内管とのグリーグの「ペール・ギュント」組曲(1975年)の澄んだ詩情を豊かに湛えた演奏も味わい美しく、レッパードの才能が爽やかに示された佳演だった。
ヨーロッパ屈指の家電&オーディオメーカーであり、名門王立コンセルトヘボウ管弦楽団の名演をはじめ、多くの優秀録音で知られる、オランダ・フィリップス・レーベルにはクララ・ハスキルやアルテュール・グリュミオー、パブロ・カザルスそして、いまだクラシック音楽ファン以外でもファンの多い、「四季」であまりにも有名なイタリアのイ・ムジチ合奏団らの日本人にとってクラシック音楽のレコードで聴く名演奏家がひしめき合っている。レコード産業としては、英グラモフォンや英DECCAより創設は1950年と後発だが、オランダの巨大企業フィリップスが後ろ盾にある音楽部門です。ミュージック・カセットやCDを開発普及させた業績は偉大、1950年代はアメリカのコロムビア・レコードのイギリス支社が供給した。そこで1950年から1960年にかけてのレコードには、米COLUMBIAの録音も多い。1957年5月27~28日に初のステレオ録音をアムステルダムにて行い、それが発売されると評価を決定づけた。英DECCAの華やかな印象に対して蘭フィリップスは上品なイメージがあった。フィリップスは1982年10月21日コンパクト・ディスク・ソフトの発売を開始する。ヘルベルト・フォン・カラヤンとのCD発表の華々しいCD第1号はイ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディ作曲の協奏曲集「四季」 ― CD番号:410 001-2。1982年7月のデジタル録音。現在は、フィリップス・サウンドを継承してきたポリヒムニア・インターナショナルが、これら名録音をDSDリマスタリングし、SACDハイブリッド化しています。
1975年4月ロンドン、ウェンブリー・タウンホールでのセッション、ステレオ録音。見開きジャケット。
FR  PHIL  9500 023 ベイカー グルック・アリア集
FR  PHIL  9500 023 ベイカー グルック・アリア集
FR  PHIL  9500 023 ベイカー グルック・アリア集
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