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端正で優美。なにより自然。 ― セリエが弾くベヒシュタインで聴くと、他のモーツァルト演奏では満たされなくなる。

フランス系ドイツ人の名ピアニスト、アレクサンダー・セリエが1956年頃にフランスの「Classiques Lumen」に残した録音。カール・リステンパルトとの協奏曲録音はいずれも高い評価を得ていますが、「Club National de Disques」への数曲などわずかしかなく、高価なコレクターズ・アイテムとなっています。

アレクサンダー・セリエ(Alexander Sellier)はフランス系ドイツ人で1924年ドイツ・ザールブリュッケン近郊のザールロイス(Saarlouis)生まれ。ザール音楽大学でワルター・ギーゼキングに師事。またエドウィン・フィッシャー、ヴィルヘルム・ケンプなどにも学んでいる。1953年にはミュンヘン国際コンクールで優勝しているが、ソリストとして大指揮者が指揮するオーケストラを控えての演奏会活動をすることはなかったようだ。1950年代中期からはザールブリュッケン音楽院で長く教授を務めた。
アレクサンドルと読む場合スペルはAlexandreとなります。アレクサンドル・セリエ(Alexandre Cellier)と混同しないようにしてほしいが、名前(Sellier)の日本語表記セリエは正確さに欠き、ゼロエまたはゼラエが現地での発音に近いらしいが、ここではセリエで統一する。フランスとドイツの国境の町の生まれで、街そのものがドイツ領になったりフランス領になったりした地域で、当時ドイツ帝国領であったアルザス地方ストラスブールに生まれたドイツ系のアルザス人であり、第一次世界大戦後アルザスがフランス領に戻った際、いったんはドイツ国籍を選択するが、のちナチスの台頭を嫌いフランスに帰化した指揮者、シャルル・ミュンシュにしてもボストンに永く住んだ日本人女性は彼のことを「ムンチ」と呼び、ゲヴァントハウスではドイツ語でカール・ミュンヒ(Carl Münch)と呼ばれていた。
閑話休題、セリエは今では蒐集家が血眼になっている名前でしかないが、当時注目はされていたのだろうか。モーツァルトのピアノ協奏曲全曲録音しようというときのプロジェクトリーダーの彗眼だった。この録音時セリエはまだ当時30歳を超えたばかりであった。19番〜26番の録音は売れっ子ピアニストでと、なるのは致し方ないが、モーツァルトのピアノ協奏曲を愛好する者にとっては、それは嬉しいものとなった。
既に達観したかのような自然体の演奏は巨匠たちからの教えの賜物か。余計な音がなく、シンプルな中から滲み出る滋味は格別。


  • Record Karte
    • 1950年代後半のモノラル録音。
    • セリエのモーツァルト協奏曲正規録音は9番、13番、14番、15番、18番、27番だけ。録音が極めて少ないので、アナログ盤は入手困難なお宝。フランスではとんでもない高値で中古盤が取引されている。高価なコレクターズ・アイテムとなっています。

販売レコードの写真

  1. FR LUMEN LD2-350 アレクサンドル・セリエ モーツァル…
  2. FR LUMEN LD2-350 アレクサンドル・セリエ モーツァル…

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アレクサンダー・セリエ ドイツのピアノ名曲
アレクサンダー・セリエ ドイツ
グリーンドア・レーベル
2011-11-16

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