34-19942

商品番号 34-19942

通販レコード→仏イエロー・アンド・ホワイト青文字 10inch盤

フランスの色香が非常に強い ― 古い録音の影響か、ドビュッシー作品演奏の王道を行くとされた彼の指揮のためか管楽器や低弦部などが非常に濃厚に、雰囲気豊かに鳴り響きます。こういう曲はせめて1970年代のステレオ録音以降じゃなければ、と思いましょうが、ほんとうに1954年録音なのでしょうか。何がどう良いのか、何故良いのかは定かではないですが、ソノリティが無性に良く思えて、神経が休まります。デジレ=エミール・アンゲルブレシュトは1920年代以降、彼こそがドビュッシー解釈の王道と位置づけられていました。アンチ・ワーグナーを標榜したドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」は、愛国的、レジスタンスの一環とも言えるので、その全曲録音は、それにふさわしい演奏、音楽作りだと印象付けられています。アンゲルブレシュトは、1880年パリ生まれ。同時代を生きたドビュッシーとはたいへん縁が深く、「聖セバスティアンの殉教」の初演では合唱指揮者を務め、親交は作曲家の死去まで続いた。希代の偏屈者・ドビュッシーもアンゲルブレシュトのことを高く評価していたようです。1917年7月初め、ドビュッシーはスペイン国境近くで、ラヴェルが生まれた街としても知られている避暑先のサン=ジャン=ド=リューズに赴いた。夏の住居は「シャレ・アバス」といい、イギリス人の陸軍大佐に貸与されていたもの。「魅力的な家です!」とドビュッシーはデュラン宛の手紙で「遠くのほうに、有名になりたいという野望を持たない小さな山脈が見えます」といった言い回しで書いている。8月20 日ごろ、ドビュッシーは1913年からシャンゼリゼ劇場の指揮者に就任していた、アンゲルブレシュトへの手紙で、サン=ジャン=ド=リューズにはたくさんのピアニストが来ていると書き、リカルド・ヴィニェス(スペインのピアニスト、ラヴェルの親友)、マルグリット・ロン(フランスのピアニスト、教師)、ホアキン・ニン(キューバの作曲家、ピアニスト)の名前を挙げている。8月末には、アルベニスの組曲《イベリア》を初演したブランシュ・セルヴァも乗りこんできたらしい。全4巻からなる組曲《イベリア》はドビュッシーの《前奏曲集第1巻》 ― とりわけ〈とだえたセレナーデ〉に大きな影響を与えた曲集で、第2巻はここサン=ジャン=ド=リューズで初演されている。アルベニスは30歳半ばからパリに定住し、ダンディ、ショーソン、フォーレ、デュカスなど、フランスの大家との交流を深めながら、作曲の技法を洗練させていった。そして、45歳(1905~1909年にかけて作曲)で作曲を開始したこの組曲《イベリア》において、作曲家としての到達点をむかえたといえる。洗練された技法に、アルベニスのスペイン情緒あふれる感性が加わることによって、独創性あふれる最高傑作となっており、ドビュッシーや、メシアン、グラナドス、デ・ファリャらもこれを絶賛した。ドビュッシーの「管弦楽のための映像」は1905年から1911年にかけて作曲され、ピアノのための「映像」第1集、第2集があるので管弦楽用は映像第3集ということになりますが、「映像」という作品集の一部という位置付けです。「ジーグ」、《イベリア》、「春のロンド」の3曲から成り、それぞれがイギリス(スコットランド)、スペイン、フランスの民族音楽的なイメージを持つ。組曲の体裁はとられているが各曲の作曲時期、楽器編成は異なっており、各曲は半ば独立した作品と見ることができる。第2曲《イベリア》が一番長くて、これ自体でも3曲からなる。〈街の道と田舎の道(Par les rues et par les chemins)〉〈夜の薫り(Les parfums de la nuit)〉〈祭りの日の朝(Le matin d'un jour de fete)〉から成るスペイン題材の作品で、これだけ単独で録音することもありました。本盤も第2曲《イベリア》が先に録音された10インチ盤。12インチ盤で発売するときに、「海」とカプリングされた。契約上の問題でシャンゼリゼ劇場管弦楽団の表記だが、フランス国立放送管弦楽団の演奏。アンゲルブレシュトは第一次世界大戦後の1934年に新設した、フランス国立放送管の初代首席指揮者となった。短期間でこのオーケストラの水準を第一級まで引き上げたが、第二次世界大戦に遭遇し、楽団も解散同様になってしまう。戦後はパリ・オペラ座の音楽監督(1945~1950)をつとめ、1951~1958年にはフランス国立放送管の首席指揮者に復帰。再び、シャンゼリゼ劇場等で指揮活動を行った。録音はSP時代から行っており、ビゼーの「カルメン」前奏曲・間奏曲、「アルルの女」第1・第2組曲、グリーグの「ペール・ギュント」第1組曲が代表盤であった。あまり注目されなかったらしいが、ドビュッシーの「夜想曲」も全曲録音を果たしている。LP時代には主にデュクレテ・トムソンにフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルを多く録音した。デュクレテ・トムソンの窓口が日本に無かったため、アンゲルブレシュトは長く、知る人ぞ知る、半ば忘れられた指揮者であった。それが1979年に東芝から国内盤で「聖セバスチャンの殉教」とフォーレ「レクイエム」が再発されたことが再認識のきっかけとなり、1984年に出たLP5枚組の「アンゲルブレシュトの芸術」で、この名匠への評価が確立した。CD時代になってディスク・モンテーニュから発売された1962年録音のドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」全曲録音が絶讃を浴び、1988年のレコード・アカデミー大賞を受けたことは記憶に新しい。
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DUCRETET THOMSONはジャズ、クラシック音楽のフランスのレーベルで、「デュクレテ・トムソン」と日本語表記される。「La Voix Du Monde(The Voice Of The World)」を宣伝のコピーとしていた、ラジオチューナー製作会社「デュクレテ」(1901年設立)が1950年代にレーベルを設立した。中古レコード市場ではレア扱いされているために価格が高価なレコードが多い。
  • Record Karte
  • 1954年1月18日、パリ、アポロ劇場で録音。第2曲「イベリア」が先に録音され10インチ盤で発売、後に第1曲「ジーグ」と第3曲「春のロンド」が1957年3月8、14、15、23日にパリ、サル・ドゥ・ラ・ミュチュアリテで録音された。12インチ盤で発売するときに、「海」とカプリングされた。フランス国立放送管弦楽団の演奏、契約上の問題で「シャンゼリゼ劇場管弦楽団」と表記されてきた。
  • FR DT 255C084 デジレ=エミール・アンゲルブレシュト ド…
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ドビュッシー:夜想曲、牧神の午後へ
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2005-11-07