34-8806
商品番号 34-8806

通販レコード→仏ブルーライン盤
自然体のカラヤン美学が感じられる ― カラヤンはブラームス交響曲の全集録音をグラモフォンで1960年代、70年代、80年代の3回行っていますが、本盤はカラヤンとベルリン・フィル黄金期の録音として評価が高い1970年代のものです。分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていたと言える。この70年代にカラヤンはレパートリーの拡充に注力し、ヴィヴァルディからマーラー、ベルク、シェーンベルク、ウェーベルンまでを録音し、オルフの録音も忘れることはできないし、またウィンナ・ワルツ、ドイツ行進曲、国歌集までをも録音した。カラヤンのスタジオ録音演奏を聴くたびに感じるのですが、これほど感想の書きにくい演奏家はありません。楽譜の再現芸術として見るとカラヤンの演奏はいつも完璧に近いものがあります。しかもオーケストラは天下のベルリン・フィル。カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、流麗なレガートを施すことによっていわゆるカラヤンサウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。出来上がってレコードは正直どれも文句のつけようがない演奏が多いのです。録音会場がベルリン・フィルの本拠地フィルハーモニーザールに変わり、アナログ時代末期のドイツ・グラモフォン・サウンドで全体の響きと個々の楽器の定位感のバランスがよくEMI録音より少ないマルチ・マイクの成果か、フィルハーモニーの長いホールトーンも適度に入り心地よい。そのあきれるばかりのブリリアント・サウンドには、やはり抗いがたい魅力があり、記憶に残るカラヤンのイメージが最も具現化された演奏だった。本盤においても、かかる圧倒的な音のドラマは健在であり、どこをとってもいわゆる“カラヤンサウンド”に覆い尽くされた圧巻の名演に仕上がっている。特に第3番は新盤よりこちらの方が音が整理され、情感溢れる名演。全体的には1964年盤と同傾向の演奏です。第1楽章の主題を支えるコントラバスの充実した響きの素晴らしさは、スポーツ的な爽快さとでも言うのでしょうか。ベルリン・フィルの音色は64年盤より重厚さが減って華麗な音響となっているように感じられる。このためか楽章全体に軽快な美しさが感じられる。難所を難しいと感じさせない卓越した技量があるためとも言える。而も横への流れが途絶えない、64年盤が、カラヤン美学とはこういう演奏だと世に宣言する位置づけであり、思い入れが強く演奏に現れている対し、美を強調しすぎなくても自然にカラヤンらしい表現になっている。自然体のカラヤン美学が感じられる演奏である。殊更に低弦を強調することなく良いオーケストラ・バランスを保っている。相対的に金管が強調されるが、これがオーディオで再生する側からすると難度が高いレコード録音にもなっている。あれこれなしに大音響で聞ければ良いだけなのではあるが …
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とにかく、4つのシンフォニーのどこを取っても自信みなぎる響きと表情に満ちあふれた演奏で、第1番の壮麗な威容は比類ないものですし、第4番でも確信にみちた輝かしいサウンドが一貫しています。日本は春から新年度ですが、冬からシーズンが始まる西欧において、ブラームスの4つの交響曲は“冬”から“秋”までの一巡として聴くことが出来る。第1楽章を第4番、第2楽章を第2番、第3楽章を第3番、第4楽章を第1番にすると、素晴らしい一つの交響曲が出来るのではないだろうか。晴朗な叙情性と豊かな楽想に溢れる第2番は避暑地ベルチャッハで作曲され、その牧歌的な曲調から「ブラームスの田園交響曲」とも言われている。そして限りない憧憬を秘めた第3楽章が映画『さよならをもう一度』で使われ広く知られるようになった、雄渾な楽想が印象的な第3番。1855年から1876年まで約20年間、書いては破り続けた第1番に対して、第2番は翌1877年のたった1年で一気呵成に書き上げてしまった、筆の迷いのない作品だからです。ブラームス44歳の時のこと。素朴だからといって単調なわけではなく、情緒豊かな一面があり、聴く者を音楽に引き込んでいきます。オリジナリティのある旋律をつくることに苦しんだといわれるブラームスにとって、あれこれいじくり回すことのなかった第2番は、純粋に彼の心の音楽といってよいものだと思います。この4作品をあくまでもドイツ・ロマン派シンフォニーの傑作として捉えたアプローチと、ベルリン・フィルの重厚華麗なサウンドが相まったその聴き応えには、脱帽するほかありません。倍管に増やした演奏は、この上なくパワフルでグラマラス。力技がやや勝るところはあるが、しなやかさや歌に欠けることもなく、総じて聴き手を圧倒する出来栄えになっている。ブラームスの交響曲に関する発見や見識のある演奏とは無縁のアプローチで、カラヤン&ベルリン・フィルが確立した「スタイル」を存分に発揮した、オーケストラ音楽とはこうあるべきというカラヤンの信念がビシビシ伝わってくるゴージャスきわまりない演奏です。チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》と、ブラームスの交響曲第1番は、カラヤンにとって録音の多いレコードですが、磨きがかかって最終録音が一番よい《悲愴》と対照的でブラームスの《第1番》は、その時々でアプローチが違っている。レパートリーとしては特別ですね。フルトヴェングラーから引き継いだ音を昇華させた、1960年代の演奏は素晴らしいものです。でもカラヤンの音楽としては1970年台が面白いでしょう。
ベルリン・フィルにおけるブラームスの演奏の伝統は、1887年にブラームスの友人だったハンス・フォン・ビューローがベルリン・フィルの芸術監督に就任したときにさかのぼります。ヘルベルト・フォン・カラヤンがしばしば好んで語ったように、ブラームスの音楽の解釈について、ブラームスとビューローの考えは常に一致したわけではありませんでした。ビューローが正確なテンポに価値を置いたのに対し、ブラームスはより緩急のある感情表現を好んだからです。後に芸術監督となるフルトヴェングラーはブラームスの考えに共感し、優れた解釈で名をなしました。豊かでほの暗いオーケストラの響きと、テンポへの自由な扱いといった演奏スタイルは、カラヤンも受け継ぐことになります。交響曲第1番は、カラヤンがもっとも多く指揮したブラームスの交響曲。キャリアの初期における重要なデビューコンサート ― 1934年アーヘン、1938年アムステルダム、1946年ウィーン ― で、この作品を指揮しています。1955年2月には、ベルリン・フィルの初のアメリカ・ツアーにおける最初のワシントン公演でこの交響曲を指揮しました。交響曲第3番は、カラヤンは大抵の場合チクルスの一環としてのみ振りましたが、それとは対照的に交響曲第2番と第4番を彼は深く愛好し、数々の忘れがたい演奏を披露しています。1938年4月8日、カラヤンがベルリン・フィルのデビュー公演に選んだのも第4番でした。大方カラヤンの1番はレガート過剰で切れ味にかけ重々しすぎる気もするが、この演奏はノリがよく金管や打楽器のリズムがアクセントとして良く効いていて「無駄のない合理的な動きの統一的集合体」が一番良く現れている。ヘルベルト・フォン・カラヤン(オーストリア 1908〜1989)は、その魅力的な容貌と優雅な身のこなしでたちまちにして聴衆の人気をとらえ、単にこの点から言ってもその人気におよぶ人はいない。しかも彼の解釈は何人にも、そのよさが容易に理解できるものであった。芸術的に高度のものでありながら、一種の大衆性を備えていたのである。元来レパートリーの広い人で、ドイツ系の指揮者といえば大指揮者といえども、ドイツ音楽にかぎられるが、カラヤンは何をやってもよく、その点驚嘆に値する。
1977年10月18日、12月7日、1978年1月21日ベルリン、フィルハーモニーでのステレオ・セッション録音。
FR 	DGG 	2531 133	カラヤン 	ブラームス・交響曲3番
FR 	DGG 	2531 133	カラヤン 	ブラームス・交響曲3番
FR 	DGG 	2531 133	カラヤン 	ブラームス・交響曲3番
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