34-20435

商品番号 34-20435

通販レコード→独ブラック銀文字盤

大胆すぎるほどの鮮やかさにド肝を抜かれた ― 録音嫌いで知られた指揮者カルロス・クライバー(1930〜2004)が正規のセッション録音で残したオペラ全曲盤はわずか4つ。カルロス・クライバーのドイツ・グラモフォン・デビュー盤として知られる名盤ですが、発売当時の批評でも、「文字通りオペラティックとしか言いようがない劇場的魅力」などと早くもその才能を絶賛された。ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」は、だが昔から日本の音楽ファンにも親しまれた歌劇でもある。だから名盤と言われている盤も数多くある。ベルリン・ドイツ・オペラの来日公演で「魔弾の射手」を観て、2枚組という手頃さも手伝って最初に買ったオペラ全曲盤だったと思う。「狩人の合唱」を気に入っていて、序曲にゾクゾクし興味が湧いていたオペラを経験して、ドイツ・オペラがわたしの最初の興味事になった。ドイツ的な素朴さと、対立要因としての邪悪さのコントラストに取り憑かれ。そしてバイエルン地方特有の、ある種の脳天さとか明るさを刷り込まれた。シューベルトの歌曲に夢中だったから、素直にドイツ・オペラから入ることが出来た。この頃のドイツ系の歌手は見事にドイツ語を音楽に乗せる。当時夢中で追っかけていたエディト・マティス、ペーター・シュライアー、テオ・アダム、グンドゥラ・ヤノヴィッツが居並びそれぞれ素晴らしく、申し分ない出来映えで、永遠のレジェンドというべきだろう。カルロス・クライバーの過激で歌う特長が如実に現れた、この曲の最も人気のあるレコード。実際、レントラーなど、通常の演奏とのあまりの違いっぷり、大胆すぎるほどの鮮やかさにド肝を抜かれた。カルロスというスペイン名前だけれども、実はベルリン生まれだし、父親は大御所だったエーリヒ・クライバーでラテンの血は混じっていない。生まれ育ったアルゼンチンに、そう長くいたわけでもない。けれども、確かにドイツ的な暗さとは違うラテン的なテンペラメントを感じさせる指揮者だ。1989年のニューイヤー・コンサートに、カルロス・クライバーが初めて登場して話題を呼んだ。妥協を許さぬことで有名なこの指揮者の要求にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団もよく応え、闊達軽妙で、切れの良いリズムを随所に聴くことができる。その時に、大胆だったレントラーの謎が解けた。音の細胞の一つ一つまで生命力に満ち満ちている。圧倒的な切れ込みの鋭さや迫力と叙情的な部分の瑞々しさの奇跡的な併存。リヒャルト・シュトラウスの楽劇「薔薇の騎士」のステージが忘れられないはずだ。この「魔弾の射手」でもドイツの暗くおどろおどろしい森の世界とは違う、聴くことができるのは生命力の横溢した音楽。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとは全然違う世界だ。「魔弾の射手」の名盤とされるもので筆頭にあげられるフルトヴェングラーは、耳だけではなかなか理解できない。師と崇めたフルトヴェングラーと同様のテンポ設定ながら彫りは浅く、妙な重々しさがないので聴きやすいオイゲン・ヨッフムから聴き始め、ラファエル・クーベリック、ロブロ・フォン・マタチッチと来て、最後にカルロス・クライバーと経験してゆくことでオペラの理解を超えた感激度合いは最も高まるかも知れない。本盤は東独ETERNAとドイツ・グラモフォンの共同制作で録音されました。この盤に関しては、音質は圧倒的にETERNA盤が優れていると断言できます。
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録音が行われたドレスデンのルカ教会は、19世紀末から20世紀初頭にかけて建立され、第2次大戦中のドレスデン爆撃によって大きな打撃を受けたものの、1950年代後半からはオーケストラの練習及び録音に用いられるようになり、1960年代からは録音用スタジオとしての機能が段階的に整備され、ヨーロッパ随一の録音会場として知られるようになりました。教会といっても現在の内装は明るくモダンで、響きもクリアで明澄、過度な残響もなく、大規模なオーケストラやオペラの録音でもサウンドが混濁しないため、東ドイツが共産主義時代だったからさまざまな録音に起用されてきました。このカルロス・クライバーの「魔弾の射手」でもその伝説的なサウンドは健在で、歌手の歌唱の背後に大きく広がる深みを湛えたオーケストラは決して各パートの明晰さを失わず、カルロス・クライバーの要求する幅広いダイナミックスを申し分なく捉えています。
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」全曲
クライバー(カルロス)
ユニバーサル ミュージック
2016-09-07

1973年1月~2月ドレスデン、ルカ教会での録音、VEBドイッチェ・シャルプラッテン(当時のドイツ民主共和国、ベルリン)との共同制作。名演奏、優秀録音、解説書付き、豪華布張りボックス。