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商品名DE EMI 1C151-99 618/19 コレギウム・アウレウム合奏団 バッハ・序曲集

聞き所は第3番の「アリア」での何とも言えぬ儚さが漂う優しい演奏。人間的なバッハの“粋”な感性を十分満たしている。 ― 古楽器演奏の草分け的な存在だったコレギウム・アウレウムのバッハ。J.S.バッハの管弦楽作品の中で最もフランス・バロック的な要素をもつ作品がこの「管弦楽組曲」と言っていいでしょう。それだけにソロ・パートを受け持つ楽器は色彩感や気品ある表情の表現など、“粋”な感性が大きなポイントになりますが、ここでのコレギウム・アウレウム合奏団の演奏は、この要素を十分満たしているのと同時に、ドイツ・バロック音楽としての強固な枠組みをはっきり意識した演奏で、J.S.バッハの醍醐味を満喫させてくれる演奏です。フランス風序曲の付点リズムもゆったりと弾んで、舞曲の一つ一つに典雅で生き生きとした表情があります。フラウト・トラベルソはハンス・マルティン・リンデ。奥ゆかしい音色で作品の美しさをしみじみと語りかける。当時はまだまだピリオド奏法の研究過程であったことと、弦楽器奏者たちは音楽大学のモダン楽器の教授たちで揃えられていたために、現在のような本格的ピリオド演奏ではなかったものの、柔らかくロマン的な音色による演奏は、現在でも多くのクラシック音楽ファンの耳に残っています。彼らの演奏は、古典派の明るく快活という基本精神を十分具現するもので、それに独自の柔らかさが加えられていて、曲によっては今でも十分な魅力を放っています。本盤は、旋律、楽器の響き、バランスが素晴らしい。真面目だけれど遊びもあって、人間的なバッハを感じられる。コレギウム・アウレウム合奏団の興感溢れる演奏スタイルの上に、ドイツはキルヒハイムにあるフッガー城の糸杉の間での録音です ― 曲によっては、外の鳥の声も聞こえるものも ― その素晴らしい音響・残響も話題となりましたが、ここの響きの良さも加わって柔軟で豊麗な音色に価値があると言える。
ドイツのケルンを本拠地に1962年、ドイツ・ハルモニア・ムンディの録音のために組織されたコレギウム・アウレウム。《黄金の楽団》という意味のラテン語の名称は、ドイツのバイエルン州シュヴァーベン地方にあるフッガー城の「糸杉の間」を主な録音会場としており、そのホールの構造が「黄金分割」になっているところに由来しています。フランツ・ヨーゼフ・マイヤーらによって結成された、メンバーはバッハ時代の古楽器もしくは忠実なコピー楽器を用いており、ガット弦を使った最初の古楽器の演奏団体として古楽オーケストラの草分け的存在で、幅広いレパートリーと高い演奏水準で評価を得ている。作曲当時の響きを再現するという目的の元、時代楽器をもちルネサンス期の音楽から初期ロマン派までを演奏。レコーディング・オーケストラということで、当初はメンバーも流動的でした。編成は自由に伸縮し、オーケストラ作品のみならず合唱との共演、室内楽編成と、その都度ゆるやかにメンバーが参集しましたが、ほどなくコンサート活動も定期的に行うようになって人気も出てくると、常設オーケストラ同様、メンバーも固定されるようになり、世界各国に演奏旅行に出かけるようにもなります。その後、彼らの活動は1990年代まで続けられ、約30年という長い期間に渡ってヨーロッパの古楽黎明期に大きな足跡を残すこととなりました。コレギウム・アウレウム合奏団は多くのレコーディングをしていますが、中でもモーツァルトの録音が多く、レクイエムやセレナーデに対するアプローチは、一時期モーツァルト演奏のスタンダードのひとつと目されたこともありました。指揮者をおかず、コンサートマスターがアンサンブルの要となって録音されたモーツァルトの名曲を、彼らは生き生きとした素晴らしい演奏で聞かせてくれる。この合奏団の中心にはヴァイオリニストのフランツ・ヨーゼフ・マイヤー(Franz Josef Maier)が常にいました。グスタフ・レオンハルトやアンナー・ビルスマなどの将来のピリオドシーンを担うようになる少なからぬトップ・アーティストとも共演している。優れた伴奏を聴かせるオーケストラにはフルートにバルトルド・クイケン、オーボエにヘルムート・フッケ、ヴィオラにモーツァルトのレクィエムの校訂もおこなったドイツの音楽学者であると同時に、ミュンヘン音楽大学ヴィオラ科主任教授のフランツ・バイヤーらの名も。畳み掛けるような熱い演奏は刺激的なほど。コレギウム・アウレウム合奏団のアンサンブルは素晴らしく敏感で、それぞれのパートの動きにデリケートに反応している。まさに打てば響くといったアンサンブルがこれほどの規模の団体で達成されているとは、驚異だ。演奏解釈の統一感は十分にあるが、大変音楽的である。それに弦は実に美しい。柔らかく伸びやかで、芯がある。ベートーヴェンのシンフォニーに新たな光をあて話題を提供するかと思えば、カール・シュターミッツなど知られざる作曲家の紹介にも力を注ぎました。
1969年、キルヒハイム、フッガー城「糸杉の間」で録音。1958年にフランスのインディペンデントレーベルとして発足しクラシックを中心に、ワールドミュージック音源もリリースする良いレーベル「ハルモニア・ムンディ」の一枚。2枚組。
DE EMI  1C151-99 618/19 コレギウム・アウレウ…
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