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通販レコード→DE TULIP ALLE HERSTELLER, モノーラル10㌅盤
DE DGG LPE17079 ケッケルト四重奏団 ハイドン:弦楽四重奏曲77番「皇帝」
商品番号 34-27878
「音楽する」という言葉を想起させる。意外なほどメリハリを明確につけて演奏している。
響きを揃えるのではなく、音楽の表情を揃えながらも音色がそれぞれ微妙に異なることで得られる深みが聴きどころ。 ― 冒頭から団員4人が繰り広げるせめぎあいは爽快。一貫して高いテンションで、メリハリがある演奏が比較的速めのテンポで飛び出してきます。
ドイツ国歌の元になった第2楽章は、今度はテンションを落として、枯淡の境地を聴かせます。メロディーの提示の後の変奏に入ると、各パートの味わい深さが一層深みを増して、若干古めかしい印象を与えますが、それもこの演奏の味わいのうち。たっぷりとヴィブラートをかけながらも昔を慈しむようなゆったりと、そしてあっさりとした語り口が郷愁を誘います。
メヌエットの最初の鮮明な一音で雰囲気をさっと変える見事な場面転換。こうしたセンスこそが曲のメリハリを印象付けます。
そしてフィナーレでは第1楽章のキレとテンションが戻ります。硬軟織り交ぜ、クッキリとコントラストをつけながら推進力で音楽をまとめ上げる手腕は見事。
ドイツ国歌の元になった第2楽章は、今度はテンションを落として、枯淡の境地を聴かせます。メロディーの提示の後の変奏に入ると、各パートの味わい深さが一層深みを増して、若干古めかしい印象を与えますが、それもこの演奏の味わいのうち。たっぷりとヴィブラートをかけながらも昔を慈しむようなゆったりと、そしてあっさりとした語り口が郷愁を誘います。
メヌエットの最初の鮮明な一音で雰囲気をさっと変える見事な場面転換。こうしたセンスこそが曲のメリハリを印象付けます。
そしてフィナーレでは第1楽章のキレとテンションが戻ります。硬軟織り交ぜ、クッキリとコントラストをつけながら推進力で音楽をまとめ上げる手腕は見事。
ドイツ語に〝ムジツィーレン〟(musizieren)という言葉があります。ドイツ中辞典(研究社1993年刊)には、「(何人か一緒に)音楽を演奏する」とあります。つまり音楽の重要な要素として「一緒に音楽をする」ことに根源的な楽しみがある、ということです。ケッケルト四重奏団の演奏には、このドイツ語の〝ムジツィーレン〟という「音楽を奏する」という言葉を想起させるものがあります。
ドイツを代表する四重奏団の一つとして1939年に創設されたケッケルト弦楽四重奏団は、ヨーゼフ・カイルベルトが1938年に創設したプラハ・ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器の第1奏者たちであるルドルフ・ケッケルト(第1ヴァイオリン、1939年から45年までプラハ・ドイツ・フィルのコンサートマスターを務めた)、ヴィリー・ビュヒナー(第2ヴァイオリン)、オスカー・リードル(ヴィオラ)、ヨーゼフ・メルツ(チェロ)の4人で結成された。そして1946年プラハ・ドイツ・フィルはバンベルク交響楽団へ改名され、さらにケッケルト四重奏団のメンバーたちは1949年にオイゲン・ヨッフムが創設するバイエルン放送交響楽団の第1奏者を務める事となる。1961年にはラファエル・クーベリックがバイエルン放送交響楽団の首席指揮者となるが、このクーベリックとケッケルトのメンバーたちは、かつてプラハ音楽院での同級生であった。ケッケルト四重奏団といえば1965年録音のクリストフ・エッシェンバッハとのシューベルト「ます」での認知度くらいしかないのが現状だが、当時のドイツ・グラモフォンのレーベルとしての威信をかけたベートーヴェン全集を遺していた。ドイツ・グラモフォンで史上初めてのベートーヴェン弦楽四重奏曲の全曲録音としてだけではなく、実はドイツ国内初のLPによる同曲録音でもあったこの歴史的録音は、音質は悪くないもののモノーラル録音であったためか、本国ドイツではCD化はおろかLP全集セット化すらされなかった。
ケッケルト四重奏団の演奏は、ルーティンワークに陥らない新鮮さが常にあり、意外なほどメリハリを明確につけて現代の四重奏団の演奏では聴けない『音楽』を聴かせてくれる。まさに「ムジツィーレン」そのものを聴き手にも感じさせてくれる、暗い黒光りするようなカルテットの録音が、対位法的に書かれ、丁寧な処理が必要な箇所もさることながら、LPレコード初期でモノーラル盤であるにもかかわらず、パートごとの音量の足し算・引き算がはっきりと録らえられていてダイナミックレンジも十分に満足できる仕上がりです。初発は1956年のモノーラルながら、録音も鮮明。そして演奏も覇気がみなぎる素晴らしいもの。こうした演奏の気配というべき空気感が、録音から60年以上経ってもLPから湧き出てくることも驚きです。
ドイツを代表する四重奏団の一つとして1939年に創設されたケッケルト弦楽四重奏団は、ヨーゼフ・カイルベルトが1938年に創設したプラハ・ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器の第1奏者たちであるルドルフ・ケッケルト(第1ヴァイオリン、1939年から45年までプラハ・ドイツ・フィルのコンサートマスターを務めた)、ヴィリー・ビュヒナー(第2ヴァイオリン)、オスカー・リードル(ヴィオラ)、ヨーゼフ・メルツ(チェロ)の4人で結成された。そして1946年プラハ・ドイツ・フィルはバンベルク交響楽団へ改名され、さらにケッケルト四重奏団のメンバーたちは1949年にオイゲン・ヨッフムが創設するバイエルン放送交響楽団の第1奏者を務める事となる。1961年にはラファエル・クーベリックがバイエルン放送交響楽団の首席指揮者となるが、このクーベリックとケッケルトのメンバーたちは、かつてプラハ音楽院での同級生であった。ケッケルト四重奏団といえば1965年録音のクリストフ・エッシェンバッハとのシューベルト「ます」での認知度くらいしかないのが現状だが、当時のドイツ・グラモフォンのレーベルとしての威信をかけたベートーヴェン全集を遺していた。ドイツ・グラモフォンで史上初めてのベートーヴェン弦楽四重奏曲の全曲録音としてだけではなく、実はドイツ国内初のLPによる同曲録音でもあったこの歴史的録音は、音質は悪くないもののモノーラル録音であったためか、本国ドイツではCD化はおろかLP全集セット化すらされなかった。
ケッケルト四重奏団の演奏は、ルーティンワークに陥らない新鮮さが常にあり、意外なほどメリハリを明確につけて現代の四重奏団の演奏では聴けない『音楽』を聴かせてくれる。まさに「ムジツィーレン」そのものを聴き手にも感じさせてくれる、暗い黒光りするようなカルテットの録音が、対位法的に書かれ、丁寧な処理が必要な箇所もさることながら、LPレコード初期でモノーラル盤であるにもかかわらず、パートごとの音量の足し算・引き算がはっきりと録らえられていてダイナミックレンジも十分に満足できる仕上がりです。初発は1956年のモノーラルながら、録音も鮮明。そして演奏も覇気がみなぎる素晴らしいもの。こうした演奏の気配というべき空気感が、録音から60年以上経ってもLPから湧き出てくることも驚きです。
- Record Karte
- TULIP ALLE HERSTELLER, MONO 10inch (115g), Release 4/62.初発は1956年。1952年7月13日、ハノーファー会議センターのベートーヴェン・ホール(Beethoven Saal)でのセッション録音。
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