34-11998
商品番号 34-11998

通販レコード→独ブルーライン盤
深みのある美しい響きで繊細さとダイナミックさを両立させることを意識した色彩感豊かな演奏。 ― コンサート活動における全曲演奏シリーズへの取組みに並行して、ディスコグラフィからも、バレンボイムは『ベートーヴェンのピアノ・ソナタ』をライフワークのひとつとして掲げているようで、それぞれ時期の異なる3つの全集録音を完成させていました。ピアノのもつ膨よかな響き、ピアニッシモの美しさを意識した色彩感豊かな演奏。彫りの深さも兼ね備えている。バレンボイムはベートーヴェン的な短調の幻想曲やソナタなどは非常に力の入った演奏を聴かせるのだが、モーツァルトのイ長調ソナタに対する想い入れがあるようで、「モーツァルトのピアノ・ソナタを取り上げるつもりはない」とインタヴューで答えていた。さてアルゼンチンにヴィンチェンツォ・スカラムッツァがいた。ブルーノ=レオナルド・ゲルバーやマルタ・アルゲリッチを育てた名教師である。ダニエル・バレンボイムの父親もスカラムッツァの弟子であった。ブエノスアイレスに生まれたバレンボイムはロシア系ユダヤ人の両親から手ほどきを受け、7歳でピアニストとしてデビュー。12歳でヨーロッパに渡り、巨匠エトヴィン・フィッシャーに薫陶を受けた。それにしても同じフィッシャーの弟子であるが、アルフレート・ブレンデルとバレンボイムの個性は全く異なるのが実に面白い。資質が違うのだから当たり前といえばそうなのかもしれないが、ちなみにフィッシャーに師事したのは他に、パウル・バドゥラ=スコダ、イエルム・デームス、ヴァシャヘーリ・ゲオルグ、コンラート・ハンセンなどがいる。その後ザルツブルクでイーゴリ・マルケヴィッチに、キジアーナでカルロ・ゼッキなどに指揮法を学び、ピアニストとともに指揮者としても活動をスタートさせた。チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレとの結婚と死別という苦境を乗り越え、また指揮者として名声を得るとピアノ演奏を休止するピアニストもよく見かけるが、どんなに多忙でもバレンボイムは常にピアニストとしての活動を中心に置いているのは高く評価されて良い。指揮者、ピアニストとして屈指の実力者バレンボイムが、指揮者ではなく大ピアニストとして名を世にとどろかせた名盤として有名。演奏は即興性、的確な様式感を聴かせていて並みのピアニストではないこと証明しています。“聴かせる音楽”を高いレベルで組み立てるのが上手く、この演奏ならではの味がある。ピアノの新約聖書と称されるベートーヴェンの偉業を、交響曲を指揮している時のように楽譜通りできっちりしていて、それでもパッションを大切にしていて何よりも曲を好きでいることが伝わってくる。
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ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim, 1942年11月15日ブエノスアイレス生まれ)は演奏家である前に、独自の音楽観を持った音楽家であり、楽想そのものの流れを掴むことのできる稀有な才能の持ち主であろう。テンポの揺れは殆ど無く、凪の中で静かに時間が進み、色彩が移り変わっていく。全体的には厚めの暖かみのある音色で、煌めき度は高くなく沈んだ暖色系の色がしている。ピアニストからスタートして、もともとフルトヴェングラーに私淑していたこともあり、さらにメータ、クラウディオ・アバド、ピンカス・ズッカーマンなどとともに学びあった間柄で、指揮者志向は若い時からあったバレンボイム。7歳でピアニストとしてデビューしたバレンボイムの演奏を聴いた指揮者、イーゴリ・マルケヴィッチは『ピアノの腕は素晴らしいが、弾き方は指揮者の素質を示している』と看破。1952年、一家はイスラエルへ移住するが、その途上ザルツブルクに滞在しウィルヘルム・フルトヴェングラーから紹介状“バレンボイムの登場は事件だ”をもらう。エドウィン・フィッシャーのモーツァルト弾き振りに感銘し、オーケストラを掌握するため指揮を学ぶようアドヴァイスされた。ピアニスティックな表現も大切なことだとは思いますが、彼の凄さはその反対にある、音楽的普遍性を表現できることにあるのではないか。『近年の教育と作曲からはハーモニーの概念が欠落し、テンポについての誤解が蔓延している。スコア上のメトロノーム指示はアイディアであり演奏速度を命じるものではない。』と警鐘し、『スピノザ、アリストテレスなど、音楽以外の書物は思考を深めてくれる』と奨めている。バレンボイムの演奏の特色として顕著なのはテンポだ。アンダンテがアダージョに思えるほど引き伸ばされる。悪く言えば間延びしている。そのドイツ的重厚さが、単調で愚鈍な印象に映るのだ。その表面的でない血の気の多さ、緊迫感のようなものが伝わってくる背筋にぞっとくるような迫力があります。パリ管弦楽団音楽監督時代、ドイツ・グラモフォンに録音したラヴェルとドビュッシーは評価が高い。シュターツカペレ・ベルリンとベートーヴェンの交響曲全集を、シカゴ交響楽団とブラームスの交響曲全集を、シカゴ交響楽団及びベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とブルックナーの交響曲全集を2種、それぞれ完成させている。ピアニストとしてより指揮者として顕著さが出る、この時期のレコードで特に表出している、このロマンティックな演奏にこそバレンボイムを聴く面白さがあるのです。「トリスタンを振らせたらダニエルが一番だよ」とズービン・メータが賞賛しているが、東洋人である日本人もうねる色気を感じるはずだろう。だが、どうも日本人がクラシック音楽を聞く時にはドイツ的な演奏への純血主義的観念と偏見が邪魔をしているように思える。
近年、クラシック音楽の新録はダウンロード配信だけのケースが増え、往年の大演奏家たちの活動の把握が難しいが2014年から新たな「エルガー・プロジェクト」をシュターツカペレ・ベルリンとスタートしている。バレンボイムは言うまでもなく現代を代表する指揮者であり、また長らく一流のピアニストであり続けている。バレンボイムはもちろんワーグナーのオペラを中核レパートリーとしているが、そのワーグナーに心酔し、でもオペラではなく巨大な交響曲を書いたブルックナーも彼の大事なレパートリーだ。ブルックナーに関しては、シュターツカペレ・ベルリンとの3度目の全集(分売)が進行中である。短期間に膨大な演奏や録音をこなすことでも知られる。市場が縮小した今日においても、定期的に新譜を出せる数少ない指揮者である。
1981〜1984年、ステレオ・デジタル録音。バレンボイム2度目の全集録音です。アゴーギグにクセのあるEMI録音。細かいところがちゃんと弾けている、音が濁らない、解釈が明快でわかりやすい、本盤はベートーヴェンがぐっと身近になります。
DE DGG  413 759-1 ダニエル・バレンボイム ベートー…
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