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商品名DE DGG 2720 030 アンダ・ゲーザ モーツァルト・ピアノ協奏曲全集

演奏中の声が聞こえるのはグレン・グールドだけではない ― ピアノを演奏しながらオーケストラを指揮している本録音でも聞こえてくる。それは、モーツァルトも斯くの如くだったかと思わせる、音楽に命の息吹を与えているかのようです。名ピアニスト、ゲザ・アンダの代表的なレコーディングとして昔から知られていたモーツァルトのコンチェルト録音をまとめたセット。ザルツブルクのモーツァルテウムのオーケストラを弾き振りしたもので、それだけに作品のすみずみにまでアンダの意図が行き渡った演奏は定評あるところです。すべて水準の高い演奏が揃っていますが、特に中期の作品における味わいの深さは他の演奏者が及ばないものと、とりわけ絶賛されています。
カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグ・モーツァルテウムは、モーツァルトの妻のコンスタンツェを中心に設立された音楽院を母体とするオーケストラです。組織を背景を誇りにして、モーツァルトへの尊敬と愛情を培った伝統の響きは、今聴いても手応えがある。ぶれることない確信を以って曲に取り組んで、モーツァルトの喜怒哀楽を表現し尽くしています。ハイレゾ時代になり、毎年のようにモーツァルトのピアノ協奏曲は新しい全集を聴くことが増えた。それらはどれも発見があったり、感心させられたり面白い。それでもゲザ・アンダに戻ってきて、レコードを引っ張りだしている。それは口直しやリファレンスではなく、感触が懐かしくなってしまうのです。それは完成度は二の次にして、モーツァルトの音楽を演奏する喜びがストレートに伝わってくるのです。ゲザ・アンダはハンガリー出身のピアニストで、美しい音と自然で滑らかな演奏技巧が特徴だと思う。これより精緻な演奏はいろいろあるでしょうが、テンポは走るし、時には表情過多にも陥る。気合なのか、タイミングを取るためか、ゲザ・アンダと思しき声が聞こえる。その度に、この演奏が弾き振りなのだと思い出させてくれる。聴いていていつしか音楽だけに浸っているのを覚醒させてくれる感じで、ピアニストとオーケストラの音楽への共感がみずみずしく表出され、お互い確認し合いながらモーツァルトのピアノ・コンチェルトに命の息吹を与えているかのようです。
解説書付属、1961〜69年、ステレオ録音。ピアノ協奏曲第1〜6、8、9、11〜27番。録音技師は全曲ギュンター・ヘルマンスが担当、録音は1961年から69年にまたがっているが、音に統一性がある。
DE DGG 2720 030 アンダ・ゲーザ モーツァルト・ピアノ…
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