34-20469
商品番号 34-20469

通販レコード→独ブルーライン盤
横への流れが途絶えない、カラヤンらしさ満載。 ― カラヤンはブラームス交響曲の全集録音をグラモフォンで1960年代、70年代、80年代の3回行っていますが、本盤はカラヤンとベルリンフィル黄金期の録音として評価が高い1970年代のものです。ブラームスの交響曲は4曲とも非常に濃厚・濃密で、「味わいの深さ」という点では、他のどの作曲家の交響曲よりも筆頭であるまいか。カラヤン指揮ベルリン・フィルの1970年代のブラームス交響曲全集のリーフレットには「オーケストラの演奏会でブラームスが含まれているかどうかでチケットの売り上げが違った … 」等のことが書かれているが、確かに頷けるところもある。そして、カラヤンのブラームスはどの演奏も大変素晴らしいと思う。その理由の一つに「ブラームス特有の重厚な音色を漲らせている」という点だろう。最近の新しいブラームス像をつくろうとする演奏では、やや失われた感がある。この点、本盤はカラヤンとベルリン・フィルの黄金時代の録音として、1970年代半ばに収録された評価の高い強烈な演奏で、アナログ時代末期のドイツ・グラモフォン・サウンドで全体の響きと個々の楽器の定位感のバランスがよくEMI録音より少ないマルチ・マイクの成果か、フィルハーモニーの長いホールトーンも適度に入り心地よい。そのあきれるばかりのブリリアント・サウンドには、やはり抗いがたい魅力があり、記憶に残るカラヤンのイメージが最も具現化された演奏だった。然し乍ら特に、この1970年代の全集は毀誉褒貶相半ばするものとなっている。ブラームスの田園交響曲とも例えられる交響曲第2番は、推進力を最後までしっかり保って進んでいく。ブラームスに似つかわしくない華やかで豪華な音色も垣間見れる。華やかで豪華という点では1978年録音の本盤の演奏が、どの録音よりも上回っている。ドイツ風の質実剛健さ、武骨さに背を向け、敢えて華麗な音響と流麗な曲作りで押し通した録音で、いわゆるドイツ風の演奏とは対極にあるけれども、牧歌的で美しい曲の性格もあって、曲想的にはこの方法も良く合っていると思える。ブラームスは何も質実剛健さだけが特徴なのではないことを教えてくれる演奏である。「想い慕っていたクララ・シューマンへの想いを表現したとされる長いホルン・ソロ」を華やかで流麗なベルリン・フィル・サウンドで聴かせてくれる。重厚さも威圧感もなく、優美さが支配している。而も横への流れが途絶えない、カラヤンらしさ満載の ― カラヤン美学に忠実な ― 演奏である。
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とにかく、4つのシンフォニーのどこを取っても自信みなぎる響きと表情に満ちあふれた演奏で、第1番の壮麗な威容は比類ないものですし、第4番でも確信にみちた輝かしいサウンドが一貫しています。日本は春から新年度ですが、冬からシーズンが始まる西欧において、ブラームスの4つの交響曲は“冬”から“秋”までの一巡として聴くことが出来る。第1楽章を第4番、第2楽章を第2番、第3楽章を第3番、第4楽章を第1番にすると、素晴らしい一つの交響曲が出来るのではないだろうか。晴朗な叙情性と豊かな楽想に溢れる第2番は避暑地ベルチャッハで作曲され、その牧歌的な曲調から「ブラームスの田園交響曲」とも言われている。そして限りない憧憬を秘めた第3楽章が映画『さよならをもう一度』で使われ広く知られるようになった、雄渾な楽想が印象的な第3番。1855年から1876年まで約20年間、書いては破り続けた第1番に対して、第2番は翌1877年のたった1年で一気呵成に書き上げてしまった、筆の迷いのない作品だからです。ブラームス44歳の時のこと。素朴だからといって単調なわけではなく、情緒豊かな一面があり、聴く者を音楽に引き込んでいきます。オリジナリティのある旋律をつくることに苦しんだといわれるブラームスにとって、あれこれいじくり回すことのなかった第2番は、純粋に彼の心の音楽といってよいものだと思います。この4作品をあくまでもドイツ・ロマン派シンフォニーの傑作として捉えたアプローチと、ベルリン・フィルの重厚華麗なサウンドが相まったその聴き応えには、脱帽するほかありません。倍管に増やした演奏は、この上なくパワフルでグラマラス。力技がやや勝るところはあるが、しなやかさや歌に欠けることもなく、総じて聴き手を圧倒する出来栄えになっている。ブラームスの交響曲に関する発見や見識のある演奏とは無縁のアプローチで、カラヤン&ベルリン・フィルが確立した「スタイル」を存分に発揮した、オーケストラ音楽とはこうあるべきというカラヤンの信念がビシビシ伝わってくるゴージャスきわまりない演奏です。チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》と、ブラームスの交響曲第1番は、カラヤンにとって録音の多いレコードですが、磨きがかかって最終録音が一番よい《悲愴》と対照的でブラームスの《第1番》は、その時々でアプローチが違っている。レパートリーとしては特別ですね。フルトヴェングラーから引き継いだ音を昇華させた、1960年代の演奏は素晴らしいものです。でもカラヤンの音楽としては1970年台が面白いでしょう。
ベルリン・フィルにおけるブラームスの演奏の伝統は、1887年にブラームスの友人だったハンス・フォン・ビューローがベルリン・フィルの芸術監督に就任したときにさかのぼります。ヘルベルト・フォン・カラヤンがしばしば好んで語ったように、ブラームスの音楽の解釈について、ブラームスとビューローの考えは常に一致したわけではありませんでした。ビューローが正確なテンポに価値を置いたのに対し、ブラームスはより緩急のある感情表現を好んだからです。後に芸術監督となるフルトヴェングラーはブラームスの考えに共感し、優れた解釈で名をなしました。豊かでほの暗いオーケストラの響きと、テンポへの自由な扱いといった演奏スタイルは、カラヤンも受け継ぐことになります。交響曲第1番は、カラヤンがもっとも多く指揮したブラームスの交響曲。キャリアの初期における重要なデビューコンサート ― 1934年アーヘン、1938年アムステルダム、1946年ウィーン ― で、この作品を指揮しています。1955年2月には、ベルリン・フィルの初のアメリカ・ツアーにおける最初のワシントン公演でこの交響曲を指揮しました。交響曲第3番は、カラヤンは大抵の場合チクルスの一環としてのみ振りましたが、それとは対照的に交響曲第2番と第4番を彼は深く愛好し、数々の忘れがたい演奏を披露しています。1938年4月8日、カラヤンがベルリン・フィルのデビュー公演に選んだのも第4番でした。大方カラヤンの1番はレガート過剰で切れ味にかけ重々しすぎる気もするが、この演奏はノリがよく金管や打楽器のリズムがアクセントとして良く効いていて「無駄のない合理的な動きの統一的集合体」が一番良く現れている。ヘルベルト・フォン・カラヤン(オーストリア 1908〜1989)は、その魅力的な容貌と優雅な身のこなしでたちまちにして聴衆の人気をとらえ、単にこの点から言ってもその人気におよぶ人はいない。しかも彼の解釈は何人にも、そのよさが容易に理解できるものであった。芸術的に高度のものでありながら、一種の大衆性を備えていたのである。元来レパートリーの広い人で、ドイツ系の指揮者といえば大指揮者といえども、ドイツ音楽にかぎられるが、カラヤンは何をやってもよく、その点驚嘆に値する。
1977年10月19日、78年1月24日、2月16日、19日ベルリン、フィルハーモニーでのステレオ・セッション録音。
DE DGG 2531 132 カラヤン ブラームス・交響曲2番
DE DGG 2531 132 カラヤン ブラームス・交響曲2番